第49話 女子友とお買い物よ~!
「でも、よくルイスさんがOK出しましたね?」
「今、ルイスさん、メルクーア大迷宮に行ってるはずですよね? 上層階のアンデットエリアの聖域化検証で……アリスさん、監視の目がない隙をついて、こっそりとかじゃないですよね⁉」
ケイトリンさんイリーナさんの第一声。
師匠……森の家に避難は、わたしの監視込みなのか? イリーナさんじゃなくてケイトリンさんの発言だから、単純にふざけて「監視」って単語が出たという可能性もありますけど。
わたしがイリーナさんを見ると、イリーナさんギルド受付嬢っぽいにっこり営業スマイルでわたしの探りを読ませない……さすがだ。
本日はケイトリンさんとイリーナさんとサンクレルで待ち合わせて、お買い物しよう! ってことで、わたしはサンクレルにきているのです。
歩く災厄、魅了スキル持ちのわたしが、サンクレルでのお買い物なんて久々だあ!
頑張ったよ!
わたし、アリスは頑張りました。
何をって?
ネックレスタイプの、ブルーグレーの魔石を誂えたこのアミュレットを見て!
ぱぱーん
時空神の贖罪を受けし元聖女が作った隠蔽のアミュレット(ネックレスタイプ)
効果
装着者が隠蔽できる。
作り手の時空神の贖罪を受けし元聖女が装着時の隠蔽は不可。
ただし魅了スキル減。
そう、『魅了スキル減』!
ルイスさんとメルツちゃんに装着させると、二人は姿を見せない状態になった。
わたしが装着すると、姿は消えなかったけど。
「魅了スキル、抑えられてる」とルイスさんが判定。
やった、やったよー‼
不具合とかも入念に調べて(ルイスさんにいろいろ検証してもらって)これを身に着けてサンクレルに行ってもOKの許可が下りたのだ。
「やだなーお二人とも! 師匠……じゃなくて、ルイスさんには、許可もらいましたよ、ちゃんと検証もしてもらってお墨付きです!」
わたしがそういうと、イリーナさんは頷く。
「みたいですね、わたしのこの眼鏡は状態異常防止の眼鏡なんですが、レンズの色の変化が見えないので、かなり抑えられていますね」
へ~、イリーナさんの眼鏡ってそういう装備なんだ。
やっぱり冒険者ギルド受付だから、なんかそういう装備はしてそうだとは思ってたけど。
ちなみにイリーナさんがわたしを普段見ると、レンズの内側の端がピンクになるんだって。魅了だから。それが薄いピンクに抑えられてるとか。
「レンズが完全無色透明にならないから、魅了制御弱って感じですか?」
う。でも、通常よりは抑えられてるはず。
周囲の視線が以前ほど強くないもん。
「サンクレルでお買い物したくて頑張ったんですよおおおお」
「あー」
「はいはい」
ざまあヒロインの物欲センサーが働いて、キラキラ宝石とかドレスが欲しいってわけじゃないのよ? 日々の食品雑貨を入手したいのよ!
いくらアイテムバッグがあるからって、購入金額は無限じゃないからちょいちょい購入しなくちゃならないし、そのたびにこのお二人に頼るのも本当に心苦しかった。
乳製品、卵とかは食料品としては必須だし、イースト・アイランド地方の食料品も入手したいんです! これらは実際、店頭で確認してから購入したかったんだ……。
あと女子友! 女子友達とキャッキャウフフのガールズトークを楽しみつつ、サンクレル港街の商業エリアを散策とか夢みたい。
ざまあヒロインに何度も転生して、女子友とこんな和やかにお喋りとお買い物とか、初めてだよ。
魅了スキルさんのお力で、常にイケメンを侍らせて、女子から嫉妬と顰蹙を買ってきたキャラですよ。
女子友なんてこの空想二次元異世界転生を繰り返す前に経験したっきりじゃないですかー。
もう、うっきうきです!
今回のお買い物したら、また多分引きこもり生活になるので、必要物資を購入しつつ、お二人のお買い物にもお付き合い。
わたしが、お二人のお買い物で注目したのはお洋服!
衣料品店に足を運んで、お二人の普段のファッション傾向とかも知れたし、今度、僭越ではありますが、常にお世話になってるので、お好みのデザインのお洋服、お作りしてプレゼントいたしますよ!
さんざん商業エリアを闊歩したあと、『モカ・アロマ』さんで一休み。
先日。ここの制服を納品したので、様子を見たかったというのもある。
『チェリー・ベリー』さんとはまた違った感じで、お店自体は大人の人がコーヒーを楽しむ隠れ家的コーヒー・ショップ。豆の販売もしてます。あとで買っちゃお。
三人でカウンターに横並びで座る。
「は~買った買った~。すごい充実感~そして楽しい~」
もう脳内のアドレナリンが活躍してそう。
わたしがそう言うと、ケイトリンさんはうんうんと腕を組んで頷く。
「わかります。ダンジョン帰還後にサンクレルに戻ると、生きてる~って感じしますもん」
「今回ケイトリンさんは早めの帰還じゃないですか?」
「ケイトリンさんは、今回のダンジョンアタックは三階層までの新人の引率っていうオファーがあったので、それで帰還が早かったのです」
わたしの質問にイリーナさんが答える。
クエストが終了してるからこの情報は公開してもいいらしい。
それに新人冒険者のメルクーア大迷宮引率って、わりとあるクエストなんだって。
「上層階をちょろっと潜るだけだからね。普段のパーティーでのダンジョンアタックほど本格的じゃないから、お小遣い稼ぎにはいいの」
「ケイトリンさんクラスならソロでもこの件は引き受けられますよ」
「へ~そうなんだ~ねえ、イリーナさん、わたしは多分潜らないとは思うけど、潜ったらどれぐらいになりそう? ほら、一応、わたし冒険者登録してるじゃないですか、冒険者ランク昇級ってしないでしょ? それっていいの?」
「アリスさんの場合は……もう生産者でいいんじゃないんでしょうか?」
イリーナさんなんで若干震え声なのよ。
イリーナさんの様子を見て、ケイトリンさんは腕を組んだまま眉間に皺を寄せる。
いや、わたしも進んでダンジョンに潜りたーいってわけじゃないのよ?
ほら、やっぱり強制力が働いてダンジョンで死亡っていうフラグが完璧消えたわけじゃないと思うし。
「アリスさんの場合……ダンジョンに潜ったら、何がどうなるかわからないですよね……」
「うん。魅了スキルで弱いモンスターならテイムしそう……」
「それだけじゃないから、今、ルイスさんがメルクーア大迷宮に潜ってる件もあるから」
「ああ……上層階アンデットエリア聖域化の件ですね……」
イリーナさんとケイトリンさんがぼそぼそとつぶやく。
「アリスさんダンジョンに興味あります?」
「うーん……メルツちゃんもいるし、進んでは潜りたくないかな」
「ですよね、メルツちゃんがいますし、今回の検証報告でルイスさんは上手くやってくれそう」
「無理矢理アリスさんをダンジョンに連れていくことはないと思います」
「わたしをですか? なんか不穏だな。どういうことです? わたし、一介のプリーストですよ~」
イリーナさんは軽くため息つく。
「無自覚は怖い……」
「大丈夫。アリスさんのことは、ルイスさんがきっと守ってくれますから」
ええ~どういうことよ~。気になるんですけど~。
そうは言いつつも、なんだか女子トークしてるな~って雰囲気が嬉しくて楽しくて、この件のことはおうちに帰るころにはすっかり忘れたのだった。
転生令嬢は悪名高い子爵家当主、こちらのコミカライズ1話配信されてます。
ぜひ、よろしくお願いします。




