第47話 魅了スキルさん!! 全力でお願いしますよ!!
例の『恋のアミュレット』は付与魔法不具合の為、全品回収という形で購入者から返品を促してもらった。
全品回収というと、売り上げもその分、購入者に返金という形に……。
お財布が痛いよぉ。
だがこれはルイスさんからの絶対命令。
購入者への全額返金をしてでも全部回収はしなければ。頼むタリスさん。
全部回収してくれ~。
ルイスさんは今、この森の家に緊急避難している。
恋のアミュレットの回収を終わっても「しばらく匿ってやって欲しい」とルイスさん所属のクラン・マスターからお手紙がきていたのだった。
アミュレットは失敗してしまったので、普通のアミュレットもなんか作る気になれず、ひたすら森の家――自宅の飾りつけをしたり、メルツちゃんが留守の間に窯のメンテナンスとか庭の除草とか、いろいろやることがあった。
その間やっぱり新人冒険者が迷い込んできたり……ルイスさんのお昼を作ったりと、そんな感じで一週間が過ぎた頃……。
お仕事きました!
スイーツ店『チェリー・ベリー』の制服を見たサンクレルのコーヒーショップ『モカ・アロマ』さんが、従業員の制服をわたし指名でオーダーしてきたのよ!
やったああああ!!
ちょっとお洒落なバリスタの制服作るわ!!
生地の色合いはモノクロトーンで、デザイン画を見せたら、『モカ・アロマ』のオーナーさんは一目で気に入ってくれたのよ。よかった~。
商業ギルドのタリスさんは「色合い地味」とか言ってたけど、オーナーさんは「コーヒーショップだからこれでいい、いや、これがいい」とのことです。
タリスさんよ……なんでも色を加えればいいというものではないのだ!
あともう一つ。
ハンザさんが受注してるシェアハウス。
そこのオーナーさんがリネンをわたしに依頼してきた。
物件を浄化させたプリーストだがリネン系も作ってるとハンザさんがオーナーさんに勧めてくれた。
ありがとう、口コミからのお仕事大事ですわー。ありがたーい。
日々の家事をしつつ、足踏みミシンちゃんとお仕事した。
制服とリネン類がだいたい出来上がって来た頃、ルイスさんが夕食時に尋ねた。
「あの特級呪物以外のアミュレットは作らないの?」
特級呪物言うか……。
「あーえーなんかあの一件でどうも、それを作る気になれず……」
「回復のアミュレットとかはダンジョン初心者にはいい感じらしいよ」
「あータリスさんも言ってました……が、どうも……」
「きらきらしてるのダメなの?」
メルツちゃんも不思議そうに尋ねる。
「メルツの学校用のかばんにくっつけてるのは、みんないいなって言うよ、かばんもいいなって言ってくれるの」
ははは。
でもかばんはアイテムバッグ仕様だから普通に高額なのよ……。
初級学校に通う生徒さんが持つよりも、冒険者になった子がクエストの報酬を溜めて購入する感じのものだからね。
でも交通安全のアミュレットは作ってもいいかな……。
「まあ、そのうちね」
「おともだちのママからも訊かれるから……その……」
「うん。あとで交通安全のアミュレットの料金と効果のチラシを渡すね、メルツちゃんのおともだちのママから聞かれたら、渡してね」
「うん!」
アミュレット作製をストップさせていたけど、メルツちゃんの言葉で、交通安全ならいいかなと思うようになっていた――その翌日。
商業ギルド、タリスさん……この人、担当チェンジしようかなという出来事が起きたのでした。
「ねえ、ちょっと、あんたでしょ? あのアミュレット作ったの! なんで回収なのよ!!」
翌日昼前に、一人の女性冒険者と思しき人が、森の家の門扉の前で怒鳴ってる。
声が高くて、大きい。
二匹のべビ犬ちゃん達も負けじとキャンキャン吠える。張り合わなくていいよべビちゃん達よ……。
「付与魔法不具合の為ってことでの回収だと説明したじゃないですか! 料金も返金しましたよね?」
タリスさんがあわあわしながら女性冒険者に言い募る。
この女性冒険者は……タリスさんをつけてこの森の家までやってきて、文句言うのかあ?
っていうか、なんで?
「いいや、絶対効いていたわよ!」
わたしはタリスさんを横目で見るタリスさんが言うには、この女性はグランド・カーラント所属の女性冒険者で、やっぱりルイスさんのファンなんだとか。
こんなモンスターカスタマー連れてきて、あなた、ちょっと何してくれてんの?
それにしても、声がうるさい。
防音のアミュレットが欲しい……。
「それに、聞いたわよ! あんた、ルイスを匿ってるんでしょ!!」
確かにそうですけど、どこから漏れたその情報……。
「ちょっとルイスを出しなさいよ!!」
この女の人、わたしに対しても攻撃的な感じで怖い。
でも浄化結界聖域化で、最初のケイトリンさんのように、ここには入り込めない。
見えない壁で門扉すらつかめない。
その状態にイラついている様子だ。
そんなぎゃあぎゃあ言われたら、作業小屋のルイスさんにだって聞こえてしまうだろう。
どうするわたし。
「あの、効果があったと言われても……それはダンジョンから帰還後のルイスさんだったからなのでは? 万全のルイスさんなら、多分そのアミュレットの効果はレジストできるんじゃないでしょうか?」
実際わたしの魅了スキルはレジストされている。
「それでも! 機会があれば効果があって、ルイスはわたしのものになるじゃない!!」
ならないよ。どうしたものか。
わたしは指を組み、彼女を見つめる。
「純粋な恋ならば、よろしいのですが、アナタは純粋にルイスさんをお慕いしていると?」
言葉に静かに彼女に語り掛ける。
「アミュレットの効果で、恋を手に入れて、その効果が無くなった時に、あなたはどうされますか?」
魅了スキルさあああん!! 我に力を与えたまえ!!
指を組んだままお祈りポーズでわたしは静かに彼女をじっと見つめる。
「想像しましょう――ルイスさんがその効果を持つ貴女を受け入れてくださるか。思い出してください。その恋のはじまりを」
「恋じゃないわよ!! 見た目がよくて金持ってて……周囲に自慢できる男だから……」
だんだんと彼女の声が落ち着いていく。
ちょっと試したかったのだ。
この大陸にきてから、神聖魔法の効果がかなり強いものになっている。
ということは、わたしの持ちうる中で、最強最大の――魅了スキルが、同性相手に効果があるか……。
「あなたは、大きなクランに所属していて、トップメンバーにも近づけるまで、努力をされました。他人の地位や財産、名誉にぶらさがる為でしたか? それは貴女自身を美しくする為ではないのですか? 貴女を称えるのは貴女の努力の全てではなかったのですか?」
魅了スキルさん――よろしくお願いします!!
攻撃的だった彼女が結界から手を放して、泣き出す。
「だって……」
「貴女自身は、とても魅力的な方なのです。それは貴女の努力の結晶なのです。それを称える人は必ずいるはずなのです……貴女自身が――恋請われる立場にいつでもなれるのです」
「そう……思う?」
力がかなり抜けて、最初の時とは違う雰囲気になってきた。
よっしゃ、仕上げだ!!
「神は――いつも我々を見守っています。わたしも祈ります。貴女に幸福が訪れますように」
魅了スキルさん――全開でよろしくお願いします!!
パソコンが壊れました。
更新が遅くなります(´;ω;`)




