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元聖女のざまあヒロイン、強制力から逃亡しスローライフをおくりたい!  作者: 翠川稜
 

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第36話 飛び込み浄化依頼キタコレ。


 元聖女の作ったアミュレット。

 これは商業ギルドのわたしの担当であるタリスさんがめっちゃ喜んだ。

 彫金と革手芸系のスキルが上がって、アクセサリー作るのが最近のマイブームだ。

 ガラスも石も魔石のカッティングもどんとこーい!

 普通の石やガラスなんかでも、カッティングしている時に付与魔法がかかって、いろいろ効果がつく。


 女の子向け用に作った中で絶対につくのが――魅了――……。


 効果は一律して☆ひとつ分です。

 ドワーフのおじいさま方、特にハンザさんとランスさんあたりが「「やっぱりアンタ、やりすぎなんじゃ!!」」とか口うるさいからさ~。

 しょうがないからルイス師匠から借りてる本を読んで付与の研究をしつつ、魅了スキルさんのお仕事として、均一な付与っていう付与操作の鍛錬も兼ねて作製してるんだよ。

 やっぱりアクセサリーって、自分を可愛く見せたいから買うじゃない?

 ピアス、イヤリング、ヘアアクセサリー、ネックレス、ブレスレット。

 意匠も幅広いパターンを取りそろえたんだけど……。

 十字架モチーフだけは盛り盛りスキルついちゃうんだよねえ。特に浄化、回復ね。これは多分、神の加護のせい。

 とにかく、せっせと作って、かなりの量が出来上がってきた。

 このお食事どころのスペースの一角に、商品掲示スペースなんかも作ったからそこに置いておく。

 新人さんは価格的に手が出ないんだけどさ~、サンクレルのこの森周辺で順調にレベル上げしてメルクーア大迷宮にアタックするパーティーもでてくるわけよ、そういうレベルになると、メルクーア迷宮都市に行く前に立ち寄ってくれて、購入してくれる人もぼちぼち現れるようになってる。

 あとイリーナさんの口コミも効果があって、立ち寄る人が増えてるんだ。

 そんなこんなで今日は作り貯めたこのアクセサリーをサンクレルの商業ギルドに卸しに行くんだ。

 学校に行くメルツちゃんと手を繋ぎながらサンクレルへ。

 メルツちゃんを学校に送り届けてから商業ギルドに顔を出し、担当のタリスさんに作り貯めたアミュレットを卸して、お金ゲーット!

 サンクレルの商業エリアで買い出してたら、森の家に一度迷い込んだ新人冒険者パーティーの子達にばったりあったり、なんだかわたしもこの街になじんできたんじゃないかな~なんて思ったりした。

 折角だし、イリーナさんにも挨拶して、メルツちゃんのお迎えに行くまで時間をつぶそうとしたら、なんと冒険者ギルドにハンザさんとイリーナさんがいらっしゃる。

 二人はわたしを見ると「「やっぱこのプリーストでしょ」」と声を揃えておっしゃるじゃないですか。

 何があった?

 イリーナさんとハンザさんにがしっと両サイドをホールドされながら、いつもの相談ブースに入る。



「お化け屋敷?」

「そうなんですよ~ハンザさんが請け負ったリノベーション予定の不動産に出るらしくて」


 ふむふむ。


「実害がない分、うちの連中も怖がっちまってな。霊体だと、下手な冒険者には任せられんからな」


 まあねえ、冒険者は力業だから~それに破壊しても霊体なら残ってしまいそうだし。

 建物の破壊はハンザさんも勘弁してほしいところよねえ。基礎を再検査して補修してもさあ、柱、壁、梁、屋根なんかはそのままにした方がコストがいい時もあるしね。うちの森の家もそうだし。


「いいですよ除霊やりますよ」

「いやーわりいな。最近、あんたの製作活動も波に乗ってきてるから」

「いやいや、ハンザさんには良くして頂いてますし、メルツちゃんもお世話になってるし、お代はこんな感じで」


 わたしが提示した金額を見てハンザさんが声を上げる。


「はあ⁉ もうちょいまけろや! 見た目聖女なのにがめついな! あんた!」

「あはは冗談ですよぉ(半分本気)。イリーナさんの査定でお願いします」


 こんなやりとりができるぐらいの人間関係だって築くことができたし、やっぱりわたし、この大陸のこの街にきて、よかったなあ。


「はい、じゃあ、このクエストを受けた形で進めますね……でも、アリスさんって、ゴースト怖くないんですね」

「あー、うーん……そうですね」


 これはこのサザランディア大陸にやってきてプリーストというか元聖女の力というか、強制力とは別にこっちが強くなってる感があるんだよなあ。

 霊はさ、話せばわかるというか。何度も断罪転生しても、こうやってなんとか無事にやってますっていうわたしが実例ですから説得しやすいのよ。

 そういや……強制力、もう働かないよね? こんだけ魅了スキルさん活躍しても、あの森にいる限りは実質引きこもり同然だし……。


「人とかモンスターの方が怖いかな?」


 わたしがそう言う。


「そんなもんかね」

「まあアリスさんはプリーストですから、そういう感じなんですね」


 ハンザさんとイリーナさんは納得してくれたみたいだった。



 冒険者ギルドを出て、ハンザさんと一緒にひとまずハンザ工務店に足を運んだ。


「お帰りなさい親方……って、アリスさんだ!」

「法衣服もお似合いっすね!」


 わたしとハンザさんを見て、待機していた職人さんが出迎えてくれた。


「こいつらが例の物件担当なんだが、ポルターガイストっていうのか? それがひどくてな、ほら、こいつら、工具持ちだからそれがふっとんじまうと仕事になんねーのよ」


 あ~それは危ない。


「ハンザさん、わたし、除霊前にお掃除するんで、ちょっとお掃除道具拝借してもいいですか?」

「おーいいぞ。お前等もついてこい、例の物件、アリスさんが浄化してくれるそうだ」

「まじっすか⁉」

「助かります~」


 そんなこんなで、職人さん二名にハンザさんと一緒に、目的の物件に。

 その曰く付き物件は、冒険者専用のシェアハウス。

 シェアハウスあるんだ……もし、森の家の物件管理がなかったら、わたしも今頃シェアハウス住まいだったかもしれない。

『うさぎの足跡亭』はお値段は優しいとはいえ、やっぱり宿屋だから、地味に財布にダメージが入るんだ。きっとシェアハウス探していたに違いない。

 ハンザ工務店さんが手掛けるなら素敵シェアハウスになるんだろうな。


 シェアハウスの前につくと、はいキタコレ、どよおんっていかにも出ますな雰囲気がばっちりですわ。

 ハンザさんが不動産ギルドから聞いた話だと、なんでも、恋愛がらみの刺殺事件。

 二股した男を刺した女がその場で返り討ちに遭って死んだらしい。

 うは~そりゃ浮かばれないわ~。

 気持ちはわかるが、憑りつくなら男に憑りつきなさいな。

 建物に憑りつくなんてさ~

 なんかいい思い出でもあったんだろうか。

 冒険者になってキラキラ夢追ってる時のいい思い出とかさ。

 わたしはハンザ工務店さんから拝借してきた箒でまずは玄関を掃き掃除。

 事件のあったお部屋まで、鼻歌まじりに箒で掃き掃除しながら進む。

 ドアノブをキュキュっとお手製のハンカチで拭いて、ガチャっと開ける。

 窓があるのに、めっちゃ暗い。

 ここ東南角部屋よ?

 普通ならサンクレルの街並みを窓からのぞいて「わあ~」ってテンションあがるところよ?

 それがさあ、窓も曇ってる感じ。


 これはなかなかゴーストさん……やってんなあ。



ストック終了。不定期更新になります。

☆評価ブクマなどいただけると燃料になるのでよろしくお願いしますm(__)m

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