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元聖女のざまあヒロイン、強制力から逃亡しスローライフをおくりたい!  作者: 翠川稜
 

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第32話 メルツちゃんを学校にいかせよう!


「アリスおねーさんみたいに、なんか、効果がいっぱいのぶきをつくれませんか? って言われたけど、メルツ、つくれない」


 メルツちゃんがしょぼーんと俯いてる。

 そこへアインとツヴァイが、しっぽをふりふりしながらメルツちゃんの膝にのっかろうとしている。

 子供と子犬のこの光景、尊い以外の何ものでもないですわー。

 しかし、メルツちゃんの言ってることはちょっと聞き捨てなりませんよ?


「いつ、どこで、誰がそんなことを?」

「このあいだ、サンクレルにいったとき、しょうぎょうギルドの人に言われた」


 商業ギルドぉ……わたしの付与がついた冒険者ギルドに格安で販売した解体用ナイフをどこかで聞きつけたのか? 迷宮大陸では強い武器は欲しいっていう気持ちはわかるよ。

 メルツちゃん武器づくりはめきめき上達してるけど、付与はできない。

 わたしもメルツちゃんに付き合って、例の解体ナイフを三点ほどつくってみたけどさ。

 鍛冶は難しい。

 わたしがなんとなーく習得しつつあるのは、ガラス工芸と、陶器かな……。あと革手芸は好き、レザークラフトのノリでカバンとか靴もつくりたいのよねえ。

 メルツちゃんはどれも上手なんだけど。


「アリスさんが断ってあげるから、しょぼーんとしないの!」

「で、でも、メルツもつくって……みたいな……」


 おう……。

 狩猟も得意、ドワーフに育てられて、もちろんドワーフの血も残ってるから、クリエイター魂は健在。

 まるで迷宮大陸の申し子みたいな子だけど、この子はまだ6歳なのよ。

 危険かそうでないかっていうのは、多分ここにくるまでの旅路でいやというほどわかってるだろうけど、6歳の子らしく、こう、もっとのびのびと育ってほしい。

 暫定、保護者ポジションなわたしとしてはそう思うわけよ。


「魔法付与は適性があるから」

「てきせい……」

「メルツちゃんは風魔法使えるっぽいけど」

「メルツ、風魔法使える……の?」

「使ったことないの?」

「ない」


 しまったああああ。

 鑑定したことをぽろっと本人に漏らしてしまった。

 てっきり使用してるもんだと思ってたよ。


「えっと、えっと、メルツちゃんは弓、得意だし、鍛冶もするよね」

「うん」

「多分、高いところにいる鳥だって狩ることができるでしょ?」

「うん」

「メルツちゃんの体格的には、矢を放っても、届くことってあまりないと思う。それが届くっていうことは、弓矢に風魔法を乗せてるからなんじゃないの? あと、鍛冶で火を使う時はやっぱり空気も必要だから、風魔法で火力微調整とかしてるんじゃないの?」

「そうなの?」

「てっきりそうだと思ってたし、魔法書にはそう書いてあったよ?」

「まほうしょ……」

「わたしもいろいろあって、魔法は勉強中なのよ」

「べんきょう」

「メルツちゃん、どうやって、いろいろ作ったりする? 鍛冶をするのに必要なことは、実践だけで失敗しなかった?」

「最初は……失敗した」

「温度を計ったり、時間を計ったり、素材の重さとかを気にしたり、感覚でやってるんじゃない?」

「うん、でも、サンクレルのおじいちゃんたちはいろいろ、けいさんしてた!」

「基本的なところを、きちんとおさえて、みんな実践してるのよ」

「メルツ……いつも、こんな感じ~でやってる、きほん……ない」

「これから、ずーと、ものを作ったりするときに、数字を見たり、言葉を知ったり、そういうのはちょっとは大事なのよ」

「アリスおねーちゃんも、ミシンするとき、いろいろ測ってるもんね!」

「うん」

「メルツも、なんとなくで作れるけど、きほんをしりたい!」


 ふう~よかった~……知的好奇心旺盛だし、知識もこの大陸標準の六歳よりは上のほうなんだとは思ってたから、こうくるとは思ってたけども。


 メルツちゃんを学校にいかせよう!


 わたしが強制力から抜け出したコーデラインズ大陸にも学校はあった。わたしが通っていたのは、貴族の子女が通う学校だ。

 庶民は学校なんか通えない子も多かったな。特にメルツちゃんぐらいの子は。学習塾みたいな――寺子屋? みたいなところもあったけど、平民でそこに通える子ってやっぱり、お金がある商家とか小作人を大勢抱えてる農家の子とか牧場主の子とかだった。


 でもこのサザランディア大陸。

 税金さえ納めていれば、誰でも子供を学校に低額で通わせることができるのよ!

 だからサンクレルの識字率は高いんだよねえ。

 ここに来たときは税金払えるか不安だったけど、とりあえず、手芸でなんとかなりそうなんで、メルツちゃんを学校に通わせようと思ってた。

 本人も基本を知りたいっていうし、まあね、学校が合わなかったら、別に通わなくてもいいんだけど、とりあえず同い年の子達と仲良く遊ぶってことも大事じゃないかなって思うわけよ。

 メルツちゃんのお友達がドワーフのおじいちゃんばっかりっていうのはいかがなものかと。


 よしそうときまれば、サンクレルへ行くぞ!

 ママちゃんと、子犬(?)ちゃん達にお留守番してもらって、サンクレルへ。

 サンクレルの学校に直接問い合わせだ!

 最近はイリーナさんにいろいろお使いたてしちゃったけど、たまには自分でサンクレルで手芸の材料買ったり、商店の服とか小物なんかのデザインを参考にしたいし、市場価格も把握したい。

 それに、メルツちゃんと一緒に、街を歩いて、いろいろお店を見て回りたーい!

 屋台で甘いお菓子を食べるのもいいよね!

 わたしは一応プリーストの法衣を着なきゃダメだけど、メルツちゃんには可愛いジャンパースカートとブラウスを作ったので、それを着せました!

 どうだ! これで可愛い(いつもだけど)普通の街の女の子達と変わらないよ!

 メルツちゃんも可愛い服を着て、なんか嬉しそう。


「よーし、サンクレルへしゅっぱーつ!」

「しゅっぱーつ!」


 火の元、戸締り、しっかり確認。

 ママちゃんにお留守番をお願いし、わたしとメルツちゃんは手をつないでサンクレルへと歩き出した。




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