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元聖女のざまあヒロイン、強制力から逃亡しスローライフをおくりたい!  作者: 翠川稜
 

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第27話 この子どこの子まいごの子?



 さあ、足踏みミシン様! 行きますよ? よろしくお願いしまーす!

 この日、わたしは、材料をお仕事部屋に持ち込んで、足踏みミシン様と一緒に注文を受けたシェラフ作製に取り掛かって三時間。

 必死にジョキジョキつめつめ、ミシン様でダダダ、ダダダ、ダダダーンと必死に労働力を投入。

 かなり集中してたんですが、ドア外からカリカリという音に気付いて、手を止めてドアを開けると、二匹の子犬フェンリルのクオーターなんだけどがドア前に可愛くチョコ-ンとお座りしていて。

 その蒼いおめめが「遊ぶ? 遊ばない? 遊ぼ?」の三段活用でキラキラしてるのよ。

 か、か、可愛い~! ダメ。抱っこしたらお仕事にならなくなるから、抱っこしちゃダメ! そう心では思うんだけど、この手が! この手が!! 


「なんでこんなに、可愛いのよおおおおおお」


 無防備に寝っ転がって、ぽんぽこりーんなおなかを見せてる二匹をわしゃわしゃと両手で撫でまくる! えーい、ここかここなのか、よしよし!

 もふもふもふもふの永久運動~!!

 まあちょっとくらいお休みしてもね、集中力が切れたってことで。

 二匹とも、えいやっと腕に抱っこする。

 大きくなった~生まれたてでここへ運び込まれた時は、両手で掬うような形で二匹を持ち上げられたんだけど、今じゃ両腕に抱えるサイズにまで! 両腕に収まるならまだ小さい方かな。

 わたしに抱っこされた二匹とも嬉しそうに尻尾がちぎれんばかりにフリフリしてる。

 ママちゃんが狩りに行っちゃったんで、寂しくなっちゃったのか~。

 なによ~いつもは二匹で喧嘩したり仲良くしたり、自由なくせにもう~困っちゃうな~甘えん坊で~と思いつつ、ニマニマしちゃう。

 一階の店舗スペースへ降り立つと、二匹を下ろす。

 二匹はしっぽをフリフリしながら、そして時折「ついてきてね」って目で訴えながら振り返るの。

 はいはい、お庭に行きたいのね~。

 いつものワンワン達の出入り口になってるウッドデッキ側のドアを開けると、二匹は「わーい」っていう感じで庭へと降りていく。

 ウッドデッキを速足に進んでヨイショヨイショと階段を下りる様子も可愛い。

 アニマルセラピーっていうのがあるけど、これは沁みるね、わかるわー。

 ふと前庭の門扉に視線を移すと、ママちゃんと冒険者パーティーが立ちすくんでる。

 あら、ママちゃん冒険者の子達を案内してきたのね。

 門扉を開けると、ママちゃんはスルっと前庭に入ってきてまだまだベビーな二匹の方へ行く。

 わたしは立ちすくんでる冒険者のパーティーに笑いかけた。


「あ、あの、ここの家の人ですか」

「はい、ここの管理を任されてます。アリスといいます。薬草採取クエストで迷っちゃいました? 一休みしていきます……か?」


 え? パーティーのメンバーの一人におんぶされてる子がいるじゃないの、何どうしたの?


「入って! どうかしたの?」


 おんぶされてる子を見て、パーティーの子達に状況の説明を求めた。

 どう見ても冒険者に登録する年齢よりも下だよ。あれか? 最近サンクレルの外壁越えて薬草採取しちゃう子なのかな?


「この子が森で一人で倒れてたんです。俺達も三日前に冒険者登録した新人で、ここからサンクレルまで戻るのもちょっと遠いし困っていたら、あの大きい白い犬が現れて、なんか誘導するみたいな感じだったんで……」

「ママちゃんが助けてくれたのね、さ、こちらへ」


 わたしは冒険者パーティーを店舗スペースへと案内した。

 店舗スペースってさ、わたしが浄化クエストした時は、テーブルセットが多かったけど、徐々に減らしていったのよね。

 だって、ここへ迷い込む人があんまりにも少ないんだもん。

 でも、ソファは設置したのよ、意外とこのソファでお昼寝する人がいる。

 ハンザさんとかルイス師匠とか、イリーナさんはここに座ってアインとツヴァイを抱っこしてよしよししてる時が多いし、たまーにシャムさんが遊びに来てくれる時とかもお昼寝スペースなのよね、どうも寝心地がいいらしく常連様の指定席なのだ。

 そんなソファに、森で一人で倒れていたと思われる女の子を寝かしつけた。

 傷とかはないみたいだけど、どうだろう。

 彼女をじっと見つめてると、パラメーター(鑑定)が表示される。


 名前メルツ 女 年齢6 エルフ族(?)

 魔法属性 風

 スキル

 鍛冶LV30 採取LV30 調剤LV30 狩猟LV60

 備考

 遠くから来た迷子。おなかが空いて倒れてる。怪我、病気はなし。


 は~よかった~怪我も病気もないみたいだわ。

 ただ、パラメーターっていうか鑑定には遠くから来たって表示してあるとおり、長旅してきて身体とか髪とかかなりぼろぼろで臭うのよ。

 よく新米冒険者の子がおんぶしてくれた。えらい。

 おなかすいてるのよね、えーっと、じゃあとりあえず、クリームシチューでも作るか。

 わたしは立ち上がり、キッチンの近くに掛けてあるエプロンを身に着ける。


「連れてきた子はなんかおなか空いてるみたいだから、とりあえずシチューを作ろうかなって思います、よかったらみんなも食べて行って」


 冒険者の子達はキョロキョロと建物中を不思議そうに見てる。

 女の子はウッドデッキ側にあるステンドグラスに近づいて、じっと見てる。

 あはは、やっぱり女の子はそういうキラキラしたものは好きだよね~わたしも好き~。

 そのステンドグラスは自分で作ったから愛着もひとしおなのよ。


「ここに、こんな家あったんだ……っていうかここ、お店ですか?」


 パーティーのリーダーらしい男の子が尋ねる。

 三日前に冒険者登録しましたっていうからには、ほんとに年齢とかも14,5歳ぐらいなんじゃないかな?


「元、お店なの。前の持ち主がゴーストになっちゃって、ここの浄化と管理を任されてます。プリーストのアリスです」


 わたしがそう自己紹介すると、冒険者パーティーの子たちも名前を名乗る。


「リーダーのジャンです」

「ミミです」

「ポールです」

「ハイドです」


「みんな新人さんなんだね! こんなところまで来ちゃったんだ~健脚だなあ」


 わたしがそういうとみんな照れた感じだ。


「あのフェンリルは、アリスさんが飼ってるんですか?」

「フェンリルの血は入ってるみたいだけどフェンリルじゃないみたいよ? ちょっとワケありでここに避難させたんだけど、ほら、小さい子犬がいたでしょ? あの子達が大きくなったら、多分出て行っちゃうんじゃないかなー? やっぱり森って危険じゃない? 安心して子育てできそうな環境だと思ってくれたんじゃないかな?」

「でも随分慣れてますよね」

「まあね~いい子なのよ~義理堅いし」


 お喋りしながらクリームシチューを作り始める。小麦粉をフルフル篩にかけておいておく~、ジャガイモ、人参、玉ねぎの皮をムキムキする。

 そして一口大にカット、鶏肉も同様に一口大にカット。

 あ、キノコもあった、マッシュルーム! これもスライスして~。

 お鍋にバターをポーンと投入、中火でバターが溶けきったら、ふるいにかけた小麦粉を入れて炒める。そこへミルク投入。ちょっとずつ入れるのだ。なべ底を気にしつつ(すぐ焦げちゃうからね)トロミがでてきたら塩と胡椒を加えて味を調えて~ちょっと火を止める。

 もう一個の鍋にオリーブオイルをひきまして、まずはジャガイモ君、えーい、次に人参ちゃんいくぞ、混ぜ混ぜしてうん……よし、最後に火が通りやすい玉ねぎとマッシュルームそして鶏肉を入れてまぜまぜ炒める。で、コンソメが欲しいんだけどね、ないんですわ今。

 サンクレルに行けば売ってるんだよ液体で、固形はさすがにないよ、サンクレルは結構いろいろ食品加工が進んでるけど、さすがにコンソメキューブはないのだ。でね、代わりにこちらをいれます。

 お出汁の元というか鶏ガラスープもどきみたいなの。液体です。

 これモンスター食材で、冒険者ギルドが作ってるんだよね。

 ママちゃんが獲物を冒険者ギルドに卸してるから、おまけにもらったのだ。

 これをトポポと入れまして、さっき作ったベシャメルソースを投入! そして混ぜ混ぜ~。15分ぐらいコトコト煮ます。

 その間に使った器具を洗う。

 弱火にかけていたお鍋を見て、入れちゃうぞ、チーズを。

 もちろん、固まりで固いチーズなんだけど、削り入れるのだ。

 とろーりってなりますよーに!


 カウンターに座ってる子達の小鼻がぴくぴくしてる。

 うふふ、うちの子犬ちゃん達みたいだな。

 もうすぐできあがるよー!




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