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元聖女のざまあヒロイン、強制力から逃亡しスローライフをおくりたい!  作者: 翠川稜
 

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第17話 お昼ご飯を作る。



 ちょいちょい納品していた作業用ツールバッグは、新たに投入されたソリューション、足踏みミシンちゃんのおかげで受注数最後まで作成できました~!! わーい!!

 リノベーションもいい具合に進んで、水回り、屋根、床(店舗部分)、キッチン、が終わって、壁を自力でコツコツDIYしてる……んだけど、ハンザ工務店さんは手厚い!

 今はこの物件を囲むフェンス(木造ですよ)や、例の倉庫と作業小屋、店舗の一部から出入りできるウッドデッキ部分の手入れをしてもらってる。

 まだまだ職人さんやハンザさんがちょいちょい顔を見せてくれる感じなのよ。

 倉庫にある建築資材はだいぶなくなってきてるので、三日に一回ぐらいは、ハンザさんと一緒にサンクレルの街に行って布や糸と一緒に建築資材を買い足したり、食料や生活雑貨を買い足したりしてます。

 そして今現在、わたしは何をしているかというとですね、ハンザ工務店さんからレンタルした魔導草刈り機でジャングルのような庭を刈ってます。

 こんな何もない森の近くの一軒屋の庭は、当然、草ぼうぼうですよ。

 折角建物を囲うフェンスを直してくれてるので、せめて庭を庭っぽくしたい……人が住んでるようには見せたい。

 そしてこの魔導草刈り機、すごーい。

 見る見るうちに庭半分の草を刈っていくではないですか!!

 ここは庭も整えて、家庭菜園やるべきよね? 

 ちょっとスペース作って、野菜とか、ハーブとか植えて自給自足体制に。

 あ~スローライフしてる~って感じになってきたよ~!

 よくよく考えると、スローライフって自力でやることが何気に多くない?

 いやいや、予定よりも生活を整える為のリノベーションとかをハンザ工務店さんにお任せしてるあたりで、まだまだスローライフとか言っちゃうのはどうなのかって話よね。うん。


「あのー!」


 魔導草刈り機の音が大きいので気が付かなかった。

 割と前から声をかけられていたみたい。


「はい⁉」


 魔導草刈り機の電源を落として声の方へ振り返る。


「ここ、家……なんですか?」

「あ、はい、冒険者の方ですか?」

 わたしよりもほんの少し年下の少年少女の4人組がフェンス越しに立っている。

「はい、薬草採取をしてて迷っちゃって」

 お、サンクレルからきたのかな?

 薬草採取クエスト解禁になったのか……。

 物資購入メインで冒険者ギルドに顔を出さないとそっちの情報が把握できないよ~。そうだ! ものはついでだから、イリーナさんあての手紙を頼んじゃおうかな?

「このフェンスを左の方に回ってください。そしたら、門扉があってこっちに入れますから」

「はあ」

 わたしは魔導草刈り機を抱えて家に戻る。作業員に見られないように着替えなくちゃ。

 なんか、あの作業用つなぎを着てサンクレルの街に行くと「ハンザ工務店の新人さん?」とか言われちゃうんだよねえ。

 訂正してもなかなか信じてくれないの。

 冒険者ギルドの食堂でバイトに間違われた時もそうだったな。

 さっきの冒険者パーティーの子達も、きっとそう思っちゃうかもしれない。

 面倒だけど、つなぎ服から、ブルーのワンピに着替えて、手製の白いお料理エプロンを身につけた。

 本当はプリースト見習いっぽく法衣とローブ着用の方がいいんだけど、着替えが面倒なのよ。直にお昼だし、この姿で大丈夫……なはず!

 慌てて門扉の方にいくと、見覚えのある背の高い青年と、さっきの新米冒険者パーティーと思しき人が立っている。

 わたしが近づくと、冒険者パーティーは個々に頭を下げて、うちに背を向けてサンクレル方面へ向かって歩いて行く姿が見えた。

 見覚えのある青年の方は、わたしに気が付く。


「こんにちは、アリスさん」

「ルイスさん……こ、こんにちは。あ、あの冒険者の方達は……?」

「うん。迷子になっていたからこの道をちょっと進むと、サンクレルとメルクーア迷宮都市の街道に出るって案内したら行っちゃった。冒険者が来て驚いたでしょ?」

「あ、はい」

「イリーナさんから手紙を預かって来たんだ。今後、さっきみたいな冒険者がここの物件にやってくると思うよ」

「あ、じゃあ、やっぱりサンクレル冒険者ギルドの方で、薬草採取クエストが解禁されたんですね?」

「みたいだね」

「立ち話もなんですから、どうぞお茶でも、そろそろお昼ですから、よかったらお昼もどうぞ!」

「じゃあ、およばれしちゃおうかな?」

 門扉を開けて、どうぞ~っと招き入れる。

 ルイスさんにはご飯奢ってもらったり、お世話になってるから、頑張ってお昼作るぞー!


 そんなわけで、今日のお昼は魚料理~。

 サンクレルは港町だから海産物豊富で安いんだよ。

 それでもって、大陸一の港町だからいろんな食材が流通してる。

 米、味噌、醤油を入手できるとかどうなのよ? うっかり買っちゃったよ!!

 そんなわけで、本日はサバの味噌煮定食にしました。

 これはね、ハンザ工務店さんにも、一回作って出してみたら好評だったので。


「すごいねリノベーションで随分変わったね」

「はい、それもこれも、ハンザ工務店さんのおかげで」


 とりあえず、お茶を出してみる。

 お昼が前々前世の記憶に残る和食なので、お茶も緑茶に。

 紅茶用のティーカップなのはご愛敬です。


「珍しいお茶がサンクレルでも売ってたから、つい買っちゃいました。苦手じゃなければいいんですけれど」


 作業小屋のさらに裏に小さい焼き窯なんかもあったし、落ち着いたら、ちょっと陶芸の真似事してみようかなって思ってる。

 湯呑とか作るのはどうかなって。あとお茶碗とかさ……。


「アリスさんイーストアイランド地方の出なの?」

「いいえ、わたしはコーデラインズ大陸出身です」

「あ、そうなの? 緑茶なんてイーストアイランド方面のお茶だからさ」


 へ~イーストアイランド地方がコメとか味噌とか醤油とか取り扱ってるんだ……。

 さすがルイスさん物知りだな。

 お米を洗って、ちょっと置いておいく。

 フライパンにお水とお酒、しょうゆとお砂糖、みりんがあったらみりんを入れたかったんだけど、さすがにみりんはちょっと高かった。

 味噌醤油米もまあまあ高いんだけど! なによりも日本酒もどき――多分日本酒なんだろうなこれがまたいいお値段するので、ハーフボトルを入手するだけで精一杯でした! みりんも入手したかったけど、なくてもいいでしょ、いけるでしょ。

 そんなざっくり感で、調味料をフライパンに入れて味を見つつ……。よし。

 お米炊きまーす! 弱火でーす。

 その間にサバを三枚おろしにしまーす。

 なんか煮魚は二枚おろしって、「うさぎの足跡亭」の女将さんが言ってたけど。

 中骨もとっちゃお。

 包丁の先で頭からしっぽにかけて鱗を落としていくよー。

 ……鯵と違ってぜいごがついてないからいいよね~。

 胸ひれの根元に包丁を入れて~まっすぐじゃないよ、斜めにね、切り込みを入れて、裏返しにして同じラインに切り込みを入れて……からの~中骨ごとダン! っとね。

 おなかから頭の方に包丁を入れて~内臓を包丁の先でえいえいとね。

 流水でよく内臓や血合いを洗い流してから……。

 布巾でサバの水気をとって~内臓をとった腹側にまた包丁を入れてしっぽ部分中骨に沿ってすう~っと切り込んだら、今度は頭です。頭の方の中骨に沿って包丁をすう~って尻尾まで包丁を走らせる。えーいどうだ! よし、半身とれた! これで二枚おろし。

 また中骨のくっついてる半身をさっきと同じ要領で、中骨からしっぽまで、包丁を走らせて、

 これで三枚おろし! 胸骨も包丁でそぎ取る。よしよし。

 ちょっと気になる大きい骨をピンセットでとって~半身をカット。

 これでよし切り身四つできた~。これを調味料の入ったフライパンに投入!

 あとは落とし蓋をして弱火でコトコトする。

 卵焼きを作りまーす。

 一応ね、このキッチンは元がお食事処だけあって、コンロは4口という贅沢なキッチンなのだ。

 卵焼きは手早く作って、あとは漬けていたピクルスと~味噌煮だから貝でお吸い物もどきをつくろう。砂抜きしてた貝をお鍋に、塩と醤油……お高いけどお酒もちょっぴり! 味を調える。

 よし。あとは貝の旨味がいい仕事してくれますよーに!

 味噌煮とお米とお吸い物がコトコトしてる間に、水回りの調理器具を洗って、お皿を出してと……。

 うーん。お箸は買っちゃったけど一膳なんだよねえ。

 いっか、わたし以外の人はフォークとナイフで!




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