第17話 マリアさんにポーション作りを教えてもらった
「それで、攪拌したら、ポーションのできあがりですよ」
今日はジャック君とマリアさんが森のおうちにきてくれました。
サンクレルの学校は、先日、夏のお休み期間に入った。
ジャック君が遊びに行きたーいっていうし、わたしもマリアさんにポーション作りを教えてもらいたいって、ジャック君から伝えてもらっていたので、本日マリアさんにポーション作りの講師になってもらったのだ。
マリアさんは色白でしゅっとしてて、黒髪黒目で落ち着いた感じの美女なんだけど、なんとデイジーさんよりも年下なんですって。
ヒーラーとしてヘルパーで冒険者パーティーに誘われたり、治療院に勤務したりしてた人でポーションも作れちゃう。
回復とか医療系に特化した感じの人なんだな。
普段はジャック君のおうちの家事をこなしたり、農作業のお手伝いとかもしてるけど、なんでもマリアさんのポーションは効果がよくて、治療院からも依頼がくるんだって。
「やっぱり回復魔法が使えるからか、ポーションの出来もそれに影響されると思うの。アリスさんは、プリーストだし、回復魔法できるでしょ? すぐにこれぐらいは作れるようになると思います」
なんてマリアさんは言う。
う~ん。浄化魔法は何んとなーく形になってきてると思う。
これをイリーナさんあたりに言ったら、「天使の梯子をぶっ放す時点で、浄化魔法がなんとなく形になってるっていうレベルじゃないのよ」とか言われそうなんで、口にはだしませんけど。
付与魔法はなんか手作りするたびに息をするように効果がつくから……まあね、これは得意なのかもしれない。
でも回復か~。
メルツちゃんもルイスさんもケガも病気もないし、ママちゃん親子も元気なので、あんまり使わないのよねえ。
だからこそ逆に? ポーション作成することで回復魔法のレベル上げをしておくのも、神聖魔法を使うプリーストとしては、ありだと思ったわけで……。
なので、今回はマリアさんの隣にならんで、一緒に魔力ポーションを作ってみたら……。
ぱぱーん
時空神の贖罪を受けし元聖女が作った魔力ポーション
魔力回復☆☆☆☆
やったああああ!
やればできる子! さすがわたし!
いや~マリアさんの教え方が上手いんだな、これ。
落ち着いて集中すること。
ちゃんと分量を量ること、お菓子作りに通じるものがあるよね。
魔力ポーションの小瓶を持って、はわ~と声を上げてるわたしを優しく見てくれる。
あ~こういう優しいおねーちゃん欲しかった~。
頼むから「お前は物語転生でひたすら姉に向かって『ずるいずるい』とか言ってただろ」とかのツッコミは無しよ。
「これを機会にちょっと回復魔法の練習とかもしようかな」
「いいかもしれませんね」
マリアさんの方が年上なのに敬語なのよ。
「薬草をだいたい使ってしまったので、薬草採取行きますか?」
「行きます!」
わたしは道具を片づけて、薬草採取に向かう為、ミニシャベルや鎌を肩掛けバッグに用意する。
庭に出ると、ジャック君とメルツちゃんとワンちゃんズが賑やかに遊んでた。
いや~今日もいい天気だな~。
日差しが強い。
「あ、帽子持ってきます。ちょっと待っててください!」
昼下がりの薬草採取に帽子は必須。
慌てて二階に駆け上がりメルツちゃんとわたしの帽子の他に、最近作った帽子……ジャック君とマリアさん用の帽子を持って階段を降りようとしたところで、ルイスさんがお部屋からでてきた。
「出かけるの? アリス」
「はい。薬草採取に」
「うん。わかった。行ってらっしゃい」
「日差しが強いから帽子をね、これ、ジャック君とマリアさんに上げようって思って。講師代、魔力ポーション上手くできました!」
「ほんと?」
「カウンターに置いてあるので鑑定してもらっても大丈夫ですよ、あ、魔導冷蔵庫にお茶とプリンが入ってるので、一息入れるのならどうぞ!」
「うん。ちょっとお茶しようと思ってた」
「じゃ、行ってきまーす」
わたしはそうルイスさんに言って、庭先で待っててくれた三人に帽子を渡す。
「マリアさん、ジャック君、これ。帽子被って、日差しが強いから。そしてこれは本日の講師代でーす」
「え~、いいんですか? ステキ……」
「日に焼けちゃうから、マリアさん色白だから……マリアさん、化粧水とかも自作してます?」
ポーション作りが上手く行ったので、化粧水とか日焼け止めとかも自作してみようかな。
ハンドクリームとか。
「してます。ポーションの作成が上手くできたから、そっちも作りたくなりました?」
「なりました!」
「じゃあ、今度、そういったものも作りましょうね」
「はい!」
「でも今日はとりあえず、魔力ポーション用のセッテムゲットの採取で」
「了解です」
森のおうちの目の前の街道沿いを四人で歩いていく。
みんな採取に夢中になって距離がばらついた。
そろそろ日が沈むかな……。
アイテムバッグに採取した薬草を確認して、今日はこれぐらいでいいかなと思って、立ち上がったところで、ママちゃんとボス君が吠える声が聞こえてきた。
やだ、何?
うちママちゃんもボス君も大きいからそんな吠えるなんて、滅多にないのに……。
わたしが立ち上がって、ワンちゃんズの方へ小走りで進むと、灌木の横から、ジャック君も姿を現す。
「ジャック君」
「ボスの声が、違う」
ジャック君はそう呟くと走り出す。
ワンちゃんズの声が近づくと、そこには、さっきマリアさんに渡した帽子が地面に落ちていた……。
わたしは帽子を拾い上げて叫ぶ。
「マリアさーん⁉」
「ボス、マリア姉さんとメルツちゃんは⁉」
ママちゃんとボス君は吠えてその場をぐるぐる回っていた……。
え……やだ、どういうこと⁉
「……アリスおねーさん……マリアねえさんとメルツちゃんが、ここで消えたって、ボスが言ってる……」
ジャック君がそう呟いた。




