第16話 ポーションをつくってみた
先日、メルクーア大迷宮都市に行って、ポーションを作る道具をいろいろ買い込んで、ルイスさんの蔵書からポーション作成の本を見て、試してみた。
さてどうなったでしょうか!
ぱぱーん
時空神の贖罪を受けし元聖女が作ったポーション
体力回復☆☆
魅了☆
……なんで魅了がついてくるんだ……それ、いらないやつだし。
そしてこれ飲んだら惚れてまうやろー!
惚れ薬じゃん!
わたしの目指してるのは、魔力ポーションなんだよ。
どうして……どうして……。
この間から調子に乗って魅了スキルさんを使いまくったから⁉
そのせいなの⁉
教えて、ルイスさん!
「いや……ポーション作成はさすがに……でも魅了スキルが付与されてしまうのは、アリスだからとしか言いようがないよね」
「どうにかしないと……。そうだ! エプロンで作るからこうなる? 回復薬を製薬するなら白衣? じゃあ、白衣縫ったるわー!」
「え、そっち? まあアリスが作る服にはそういう効果も付与されるだろうから……」
「え……ルイスさんは服以外で何を思ったの?」
「いや、アリスのことだから調剤室作るところから行きそうな気がして」
「はっ! それもだ!」
ルイスさんの軽いノリに合わせてわたしがそう叫ぶと、カランとカウベルが鳴る。
「形から入るスタイル、嫌いじゃないぜ」
「調剤室つくるってか、まあここは土地はあるから」
「作業小屋の隣あたりに建てるか?」
「前から思ってたけど、あの作業小屋に水道管引いた方がいいだろとは思ってた。調剤室建てるなら水道引いとくといいかもな」
「配水管関係は、ハンザの弟子が会社起こしてるからそっちで頼めば?」
「ここのリノベの時もやったから、場所は覚えてるべ」
ハンザさんをはじめとするドワーフのご隠居達がぞろぞろと店舗スペースに入ってくる。
え? ハンザさんはじめご隠居様達が調剤室を建てる気満々?
ちょっとまって、資金が溜まってから相談させてほしいんですけど?
ていうかルイスさんの軽いノリ的な冗談だよ。それに乗ったわたしもだけどさ。
わかってるよね?
「でもよ、アリス嬢ちゃん。あんた、またやったろ」
ハンザさんの言葉にわたしは首をかしげる。
え?
わたし、何かやっちゃいました?
「鉱石素材屋のアルドが、ランスに泣き言を言ってたらしいぞ?」
「誰?」
「メルクーア大迷宮都市の鉱物素材屋から、魅了スキルでインゴットせしめただろ」
わ~ドワーフの情報網はやっ!
「え~だって~メルツちゃんへのあたりが強くて、ムカムカしちゃったのよ」
わたし、悪くない。
ちらっとルイスさんに視線を向ける。
なんでわたしだけよ。
ルイスさんだって、ちょっと冷気纏ってたし~。
ここの地域で一番の大魔法使いの怒髪天つくより、わたしの魅了スキルさんのご活躍のほうが万倍平和じゃん?
あとちゃんと祈っておいたし。アフターフォローもばっちりよ。
むしろ誉めてほしいわ。
「メルツが八つ当たりされたなら、しょーがねーな」
「ハンザは相変わらずメルツちゃんびいきだなー」
「お前らもそうだろうが」
お茶を飲みに来たよ風のご隠居様達の目的は、お茶ではなく、昨年漬けた梅酒なのよね。
甘さ抑え目(砂糖が高いからもう自然と甘さ抑え目に)で作って、なかなかアルコール度もあって、梅の香りがドワーフのご隠居達には人気なんだ。
この間のバーベキューの時に出したら大人気で、あっという間に一瓶空けられてしまった。
「もう~あと一瓶しかないんだからね~」
そう言って、カウンターに四本のボトルをご隠居様達の前に並べた。
ドワーフのお爺様達はひとしきりボトルを眺めて一杯だけひっかけると、カウンターから離れてドアへ向かう。
わたしもどこへ行くのかドワーフのご隠居達の後ろをついていく。
「もう~仕方ないな~じゃっ、ちょくらやるか」
「しょうがねえなあ~」
「ボトルもらっちゃったからな~」
「お、ちび犬、ちょっと大きくなったかー」
なんて口々に言う。
「え、何する気?」
わたしが尋ねるとお爺様達は声を揃える。
「「「「測量だろ」」」」
「測量?」
なんの?
「だってアリス嬢ちゃん、ポーション作るから調剤室建てるんだろ?」
お爺様達! ルイスさんの冗談を真に受けちゃダメー!!




