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今日は本当に良いことがありません。
皇太子殿下にお声掛け頂いて、お礼を言われた時は、良い思いでになるわーと思いましたが、最早、あれが発端でトラブル続き。
そしてただいま人生最大のピンチです。
「…あ…溢れ出てしまう…」
我慢…我慢です。これでも貴族の端くれ。体内から一滴も溢すわけにはいかないのです。
「淑女…私は淑女…」
ああ…なんでお父様と一緒に紅茶なんて飲んでしまったのでしょう。
なぜ、帰る前に寄るべき所に寄らなかったのか。
悔やんでも悔やみきれません。
我慢しすぎて涙が出てきてしまいました。冷や汗もダラダラです。
涙と汗の分、少しは減ったでしょうか。
心を平静に、平静にと思っていると突然雷鳴が何度も響き渡ります。
思わず体がビクリとしてしまいます。
イヤー。止めて。
しばらくすると小屋の外に人の気配が。
助けてー。
大声で叫びたい。扉を叩きたい。
その心とは裏腹にその場で声をを出すことも、一歩踏み出す事も出来ません。
…なぜなら表面張力ギリギリ状態で、ちょっとの衝撃で溢れてしまうから。
誰か気づいて。
トイレは人類の最大の発明だと思うのです