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「男爵令嬢風情が皇太子殿下に近づくなんて。身の程を知りなさい」
「地味眼鏡の癖に」
ここはどうやら物置小屋。
なんと、皇太子殿下が立ち去ってすぐ、数人のご令嬢に取り囲まれ、あれよあれよと閉じ込められてしまいました。
最近流行りのロマンス小説の悪役令嬢のようなセリフと共に。
「今日は人生ベスト3に入っちゃうような事が2回も起きるなんて…」
さて、どうしたものでしょう。
一応扉を動かしてみますがびくともしません。
窓から出られるかもと思いましたが、高い位置に明かり取り用のものしかなく。
「もしーどなたかいらっしゃいませんかー?」
扉を叩きながら叫んでみますが、人っ子一人通りません。
よくこんな閉じ込めるのに最適な部屋を知っていらっしゃるわ。
悪役令嬢ってすごい。
これが本当のヒロインさんなら、颯爽と助けが来て、恋のスパイスになるんでしょうが、なにぶん閉じ込められたのが私って…
「まあ夕方になっても家に帰らなければ、お父様もお母様も心配して探してくれるでしょう」
そんな風に思っていました。
この時は…