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~1~

「…閉じ込められてしまった」


なんということでしょう。

今朝まで16年間貴族とはいえ、可もなく不可は少々あれども平凡に生きてきた私が。


「皇太子殿下効果恐るべし…」




事の起こりは1枚のハンカチ


皇宮にある図書館で働いている父に忘れ物を届けた帰り道、ちょっと寄り道した皇宮庭園で、かわいらしい小鳥の刺繍が施されたハンカチを踏んでしまいました。


しまった…足跡がくっきりと付いています。


誰かの落とし物かしらーなんて思っていると、


「君が拾ってくれたの?ありがとう大切なものなんだ」


急に男性に話しかけられ振り向くと、そこには皇太子殿下がいらっしゃいました。


…これ皇太子殿下のなの?え?小鳥ちゃんだよ?


雲の上と下の下との未知の遭遇に動揺してあたふたしていると、


「母が昔刺してくれたものなんだ」


…母…皇后陛下のお手製…


ひぃぃぃーーー

恐れ多すぎるーーー

踏まれて汚れてるしーーー

誰よ踏んだの…私だーーー

さようならお父様、お母様…先立つ不幸を…


「あーやっぱり汚れちゃうよね。庭だし」


あら?怒っていらっしゃらない?私が踏んだの気づいてない?


私の握りしめたハンカチを見て苦笑いを浮かべる皇太子殿下を見てはっと冷静になる。


「少々お待ちを」


汚れが消えるように心から祈り魔法を使う。


待つこと5分。


「申し訳ありません。何分魔力が少なくて」


きれいになったハンカチを皇太子殿下にお渡しする。大変お待たせしました。


精一杯やったんですよ?私の微量な魔力ではこれが限界です。なんなら汚れしか落ちてません。シワは伸びてません。


「いや、ありがとう。頑張ってくれたのはわかってるから」


「畏れ多い事でございます。大切な物がお手元に戻ってようございました」


お父様ーお母様ー無事生きて帰れそうです。


動揺し過ぎて忘れていた礼を慌てて取り、皇太子殿下が立ち去るのを待つ。


「君名前は?」


「アリアーナ・ドルスコイと申します」


「ドルスコイ男爵のお嬢さんか。男爵がいつも図書館を使いやすくしていてくれて助かるよ。ありがとう」


なんと、図書館の一職員の父の事まで覚えていて下さるとは。

皇太子殿下、もはや神ですか?



「アリアーナも今日はありがとう。失礼するよ」


側近の方に促され、歩きだした皇太子殿下が見えなくなってようやく礼を解く。


やれやれ…天上人に遭遇して、名前呼ばれて、ましてやお礼を言われるとは。


これは我が人生の中でもトップ3に入る出来事です。














































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