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聖剣の担い手探し  作者: かざむき


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88.魔力調査

テスト終わった!!!!!!

 光陰矢の如し。

 あっという間に月日は流れ、冒険者ギルドが正式にスタートしてから二か月が経った。

 冒険者ギルドの設立は難航するとアズラは思っていたのだが、皇帝であるハガン、そして、教皇であるハルディーの支援もあり、かなり順調にことを進めることができた。

 ギルドの前に作られた広場や中の受付窓口には冒険者としての資格を得た人でごった返しており、皆、依頼の取引をしたり、今朝狩ってきた魔獣の素材などの売買をしていた。


 おかげで、帝都付近の魔獣の数は一気に減少し、教会もこの状況にはにっこりであった。

 受付は当初は黒騎士のロットが対応していたのだが、今では教育も進み、町で雇った人たちが働いている。


 そして、そんな大盛況を迎えている冒険者ギルドだが、その設立に一役買ったトルクスとカナ、そしてナーニャの三人は現在、帝都から少し離れたところにある広大な針葉樹林にいた。


「本当にここであってるの?」


 カナは周囲を警戒しながらナーニャにそう尋ねた。


「ええ。少なくともここに強大な魔力を感じたわ。」


 先日、ナーニャは帝都で雑務をしている最中、この場所で大きな魔力が発生したことを感知した。今日はこの三人でそれを調査しにきたのだ。

 残念ながらアズラはお留守番。ギルドを一番回せるのは彼だし、何より対人戦闘技術ならまだしも純粋な力でいうならばただの人間である彼は三人より大きく劣っていた。

 悲しいが、技術とはあくまでも戦闘が成立する相手に対してしか意味をなさない。いくら賢く、優れた判断力があっても、常人が真正面から隕石を弾き返せることはできない。そういうことだ。


「俺は結局何をすればいい。この辺を焼野原にしろと言われれば流石にためらうが。」


「そこまではしなくていいわ。取り敢えず、剣を抜いて、光化させて。その漏れ出る光だけで大抵の魔獣にとっては致命的だから。」


「浄化するのか。任せろ。カナちょっと離れていてくれ。」


 トルクスはカナが飛んでこの場から離れたのを確認して、腰に携えた剣を抜く。

 トルクスが少し力を加えた瞬間、昼間だというのに周囲が暗くなるほどの輝きがその刀身から発せられた。


「十分すぎるわ。アルマスの聖剣にも引けを取らないわね。」


 ナーニャはそう言うと、魔法陣を描き、周囲の魔力を測定し始める。


「あなたは何をしてるの?」


 カナはナーニャの行動を疑問に思い、そう質問した。


「聖光は魔と対消滅するのは知ってる?」


「バーバルムの知識から知ってるわ。」


「それなら話が速いわ。聖光が行き渡った空間には一時的に魔力濃度がゼロになるの。つまり、照射された聖光の量と周囲の空間、周囲の魔力濃度さえ把握しておけば、魔力濃度がゼロになる空間を計算できるの。」


「つまり、その計算と合わない部分が出てきたのなら、それはそこに隠された魔を有する何かがあるってこと?」


「理解が速くて助かるわ。さあ、どんどんやっていくわよ。」


 センサを例にするなら、トルクスがレーザ、ナーニャが受光体、読み取り機。カナは、、、周囲を見張る安全管理人みたいな感じだろうか。


「マジで!? この作業地味に疲れるんだけど。」


「私も疲れるわよ。この計算マジで難しいんだから。」


「私の役割雑じゃない?」


 三人はこの感じでこの針葉樹林を調べていく。

 ちなみに効率を上げようと光の量を多くすると、森が焼けてしまうため、比較的弱い光で計測する必要があり、小さな範囲をひたすら調べていくという地味な作業。ナーニャが取り敢えずとして、上げた範囲はずっと動き続けても一日で終わる範囲ではなかった。



◇ ◇ ◇

 


「疲れた~!!」


 空は既に暗くなった時間、冒険者ギルドの一室にて、トルクスの情けない声が聞こえてきた。


「まともに動いてないのに疲れたなんて、鍛え方が甘いんじゃないの?」


 ナーニャはその声に毒舌で返す。


「単純作業のリピートは精神的に疲れるんだよ。」


「それも含め修行でしょ。こんなんじゃ魔王に負けちゃうかもよ。」


「なんで俺が戦う前提になってんだよ。」


「まあまあ二人とも落ち着いて。」


「飯だぞ!!」


 トルクスとナーニャが言い争っていると、ご飯を持ったカナとアズラが二人をなだめつつ配膳していく。

 三人は周囲が暗くなってくる時間に調査を切り上げ、ナーニャの転移魔法でギルドまで戻って来ていた。


「で、調査の方はどうだった。」


「微弱な魔力の反応があったわ。まあでもこれは魔獣がいただけでも出るぐらいの反応だから、異常があったと言えないわ。」


「そうか。まあ明日からも頑張ってくれ。」


 アズラはちらっとトルクスの方を見ながらそう言った。トルクスはとても不機嫌そうな顔でアズラを睨んでいた。


「そういや、お前は今回の件、何が関わってると思うんだ?」


 トルクスは不機嫌感ましましの声でナーニャに聞いた。


「普通に考えたら野良の特殊個体だと思うんだけど。」


「直感で。」


「そうね。魔骸や魔泥と同じで魔王の要素を多大に受けた魔人とかかな。」


 ナーニャの直感はこれを放置してはいけないと叫んでいた。


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