83.来ましたタノラ
いつも通りゆっくり投稿していきます。
今、免許取るために教習所に行ってるんやけど、運転ってめっちゃ大変やな。修了検定すら突破できる自信がない。
「あれがスラルの使者かな?」
初老の男が遠くから男女の二人組を見ながら、隣の従者に質問する。
「そうかと。というか、城まで招いてわざわざ話し合うのも面倒ですし、そこらの喫茶店で要件を聞いた方が楽ではないですか?」
従者の発言から考えるに男はかなり高貴な身分なのだろう。男の服装は若干汚れていて、そこら辺を通っている平民と大差ない服装ではあるが、髪や髭、肌の艶が明らかに何かしらの化粧品を使っていることが見て取れる。
ダメ押しに周囲からは、「またお忍びしてる。」といった生暖かい視線が向けられていたりする。
「それは威厳がないんじゃないかな?」
「この時点でもうありませんよ。公然の秘密になってますし。一定期間滞在されたらこの噂も彼らに伝わりますよ。」
従者が周囲を見渡すと、周囲の人達は軽く会釈をした。
「もう、一種の風物詩です。いつ暗殺されても知りませんよ。」
「俺強いし。ダカスとタイマン張れるし。ロットともいい勝負できるし。お前もいるから問題ないっしょ。」
「そう言う人に限って毒でコロッと暗殺されるんすよ。」
「跡継ぎいるしモーマンタイ。」
「引継ぎされる息子の気持ちになって考えなさいよ。」
「権力ゲットでハッピー。」
「う~ん。ダメだこの人。」
「俺に向かって"この人"とはなんだ!」
「あんた、そんなこと普段気にしないっしょ。」
「その通り!」
「それでも一国の長ですか。」
「イエス! アイアムタノラエンペラー!」
「ダメだこの国。」
この初老の男はどうやら、タノラ帝国の皇帝であるようだ。次いでに言うと、この従者も近衛騎士団団長であったりする。
この二人はこの後もこんなノリの会話を続けた後、二人組に接触すべくその場から移動し始めた。
◇ ◇ ◇
「ここがタノラか。カルワルナより人通りは少ないが綺麗なところだな。」
「あそこは商業都市だったからね。」
トルクス、カナ、アズラの三人はタノラ帝国の帝都に来ていた。そして、現在トルクスとカナは適当に帝都を歩き回り観光をしている。アズラは「ちょっと買い手がいないか探してくる。若い二人はデートでもしときな。」と言い残して早々に何処かへと行ってしまった。
「でも、食べ物は美味しいし、故郷補正とかを抜いたら私はこっちの方が好きかも。」
「俺はカルワルナの方が好きだったな。こっちも食べ物も美味しいが俺の口はあっちの方があってる。」
「それって今現在の味覚が変わってるだけの可能性もあるんじゃない?」
「それもそうだな。」
二人は食べ歩きをしながら、周囲を見渡す。建物は白色のレンガで建てられたものが多く、地面は石で整備されおり、ゴミなどはあまり落ちていない。
「あの建物はなんだろうか。」
トルクスは壁に大きくて少し質素な剣が飾られている建物を指さしてカナに聞いた。武器屋という雰囲気ではなく、法衣を着た人間が出入りしていた。
「多分、宗教関係の建物じゃないかな? タノラでは国教があるって習わなかった?」
「あー。あった気がする。」
「絶対覚えてなかったわね。」
カナは少しあきれ顔をした。これがまともに授業を受けていた優等生と適当に聞き流していた一般生徒の差である。
「凄いな。そこの娘さん。」
そんな二人に二人組の男が話かけてきた。一人は初老の男、もう一人は剣を装備したその男の従者である。つまり、この国の皇帝と近衛騎士団団長である。
「最近タノラに来たようだし、いろいろと案内しようか?」
普通に考えれば不審者であり、カナは皇帝の誘いを断ろうとしたが、トルクスはそれを手で制した。
「何か御用でしょうか?」
トルクスは少し威嚇気味に皇帝にそう言い放った。トルクスは初老の男が皇帝どうかは気が付いていない。ただただ、男の強さに警戒しているようだ。
「まあまあ、そんな熱くなんなさんなって。ちょっとそこの喫茶店で話さんか? ロットからの伝言も聞きたいしの。」
初老の男は白銀の煌びやかな紋章をチラリと見せながらそう言った。それは皇帝の証であり、カナはそれに気が付いた。トルクスも男の言葉からただ者ではないことに気が付いた。
「トルクス。この人に付いて行くよ。」
「わかった。」
「思ったより効果あってビックリ。」
そして、初老の男、皇帝は思った以上にスムーズに伝わったので少し驚いていた。従者の男は皇帝を横目にこの人って気楽だよな~、と諦観のまなざしを送っていた。




