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聖剣の担い手探し  作者: かざむき
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82.小人鬼

モチベが湧かん。

 目の前に広がる光景にトルクスは激しい怒りを覚えた。


「悪魔より悪魔だな。」


 苦悶の表情すらも読み取れないほどぐちゃぐちゃになった死体を見ながら、彼の剣は眩く光を放ち始める。


「カナ。ちょっと外に出といてくれ。」

「わかったわ。」


 カナはトルクスのすることを察し、転移して洞窟の外に出ていった。

 トルクスの目の前には数十の緑の小人鬼。力量差を理解しできるほどの知能を持たないのか、それとも多対一だからゴリ押せると思っているのか、小人鬼は武器を構えて今にもトルクスに襲い掛かろうとする。


「屑共が。」


 トルクスの苛立ちに呼応して、剣の光が増す。


「カキャグクィカッキ?」


 漏れ出る光はそれだけで小人鬼の肌を焼き、小人鬼もトルクスとの力量差に気が付き始めたようだ。


「ガアアアア!!!」


 だが、気が付き始めている個体もいるだけで、ボス個体は気が付いていないようだ。

 ボス個体の咆哮と共に小人鬼はトルクスに一斉に跳びかかる。 


「光よ。」


 剣を振る必要もない。放たれた光は小人鬼を焼き消す。

 残っているのはボス個体の一体。この一体とトルクスを除いて、この洞窟に生体反応はない。


「聖剣解放」


 カッと眩い光が洞窟内を照らし、洞窟は入り組んでいるというのにその光は出口まで届いていた。


「せめて、冥府では祝福があらんことを。」


 次の瞬間、凄まじいエネルギーが放出され、洞窟は消滅し、山には大きな空洞ができあがった。


「それにしても、俺もまだまだ人間だな。」


 トルクスは空洞の中で迷宮での会話を思い出す。

 あの時、トルクスはカトに対して大した憎しみを抱かなかったことから、自身に人としての心は消失していると考えていた。

 だが、トルクスは今回小人鬼に激昂し、少し前には人類の守護者として虚ろの剣に光を満たして聖剣を得た。


「人として、どれだけの間精神を保っていられるかな。」


 はたして心は永劫の寿命に耐えられるのだろうか。トルクスの中に一つの不安が増えた。



◇ ◇ ◇



「ははは。聖剣ってヤバいな。」


 そこから少し離れた森の中、泥人形に抱えられた頭蓋骨だけの魔骸がそう呟いた。


「一応先輩だから敬った方がいいのかな?」


「その必要はないのでは?」


 隣には真っ黒い影のような人型の何かがいた。


「おお。ガラン。計画はうまくいってるか?」


「はい。魔獣に生存欲を与える与える計画は成功しました。しかし、それでなんの意味か?」


「保険だよ。最悪魔獣が全て狩りつくされる日が来るかもしれない。その時に最後の一(ラストワン)として最強の魔王を顕現させるのさ。従来の魔獣で悪魔共に勝てるのならいい。だが、最悪は想定しとかないとな。」


「何年後の話ですか?」


「分からない。早ければ100年後にでもあるだろう。まあ、俺からしたらどうでも良いことだ。」


「適当ですね。それにしても私は次はどうすれば?」


「トルクスを倒せ。何をしてもいい。いくら時間をかけても良い。主目的は魔王という厄災があることを人々に知らしめることだ。」


「なるほど。わかりました。魔王の配下の一人として活動しろと。」


「ああ。魔王は現在存在しない。何より存在強度が足りない。ワルナトロティカとの接触が痛すぎた。癪だが、神と同じ方向で作成する。それ以外に道はない。」


 そう言うと、ガランと呼ばれた黒い何かは闇の中へと姿を消していった。



 

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