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聖剣の担い手探し  作者: かざむき
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76.名前パート2

レポート、、辛い、、です。

「ハーロルや北部に比べればまったくではあるがここら辺でも結構魔獣が出てるから気を付けろよ。」


 カイニャールに来て、四日目の夜、アルマス達は自室で晩御飯を食べていた。いつものように風丸が料理した、という訳ではなく、今回は各自で町で買ってきた料理を持ち寄って、分け合って食べているという感じだ。


「アルマスとカノンは魔獣に出くわしたのか?」


トテトテトテ


「ああ、昼食を取った後な。軽く砂漠の方を見ていたんだがな、一度気にすると結構気になってな。サクッとやってきな。」


「いきなり地中から飛び出してきた蛇に飲み込まれかけて本気で術を行使してなかった?」


「おいカノン。それは言わない約束だろ?第一お前が標的なら結構ヤバかったんじゃないか?」


「私は基本的に風を常時纏ってるから大抵の攻撃は弾けるし、空中に浮いてるから対処の時間もあるよ。」


「何?!それを言うなら俺は不死身だから何くらっても問題ねえよ!」


「そんなんだとまた氷漬けになるわよ。」


 カノンとアルマスの会話を肴に風丸とワルドは飯を食う。


カチャカチャ


「でだ、ハク、、」


 そして、一息ついてアルマスはハクを見た。


「そこの少女はなんだ?」


 アルマスはさっきからの物音の主を見ながら言った。


「やっぱりバレてた?」


 ハクの言葉に一同は頷いた。


「空気の流れから」


「似たような術は良く使うので」


「直感」


 ハクは三人の状態を確認して少しため息をついた。一応その物音の主の姿は見えていない。


「面白いタイミングでお披露目しようと思ってたんだけどな。、隠形といていいよ。」


 ハクの言葉と共にアルマスの視線の先に少女が現れた。どうやらハクの指示で能力で姿を隠していたようだ。

 少女の第一印象はハクと同じ白。年齢的にもハクの性別を反転させたような感じだろうか。真っ白な髪は肩まで掛かっており、人としての耳とは別に猫耳が頭についている。


「、、、、」


 少女は次の行動をどうすればいいか、無言でハクの指示を待っている。対してハクはジェスチャーで何か喋ってっと伝えた。

 アルマス達は少女を注視する。

 少女は少し考えて、


「、、、、ワン!」


「「おいー!」」


 少女の元気な鳴き声にアルマスとワルドはズッコケた。ハクはあっちゃ~という表情をしており、カノンと風丸は小さく噴き出した。


「?」


 少女は周りの人の反応に疑問符を浮かべている。


「猫じゃねえのかよ。」


「で結局誰なんだよ!」


 ワルドが四人の気持ちを代弁し、アルマスはもとの質問を言う。


「僕の同種?後継?眷属?ってところかな。」


 その言葉に四人やっぱりかと納得した。

 最後の一(ラストワン)は時に最初の一(ファーストワン)、または祖獣とも呼ばれたりする。理由としては最後の一(ラストワン)が繁殖や何らかの方法で眷属などを作ると、それが元の種より進化した種として生まれるからだ。


「ヒヒーン?」


「それも違う。」


「メー?」


「それも違う。」


 ワルドとカノンが少女をかまっている間、アルマスとハク、風丸は少女について話していた。


「旅の仲間になるのは特に問題ないんだが、正直身元確認はしときたいな。あの少女、十中八九死にかけの奴隷だろ?」


「うん、そうだね。でも、少女の物質的な構成要素も魂的な部分も全くといっていいほど別物だよ。形としては転生っていった方がいいかな。」


「それでも避けれるトラブルは避けておきたい。風丸、調査を依頼していいか?」


「わかりました。奴隷商がもし彼女を追いかけていたらどうします?」


「人間に魂が変わったから別人ですは通じないしな。最悪殺すことも視野に入れておく。勿論手を汚すのは俺だから先走るなよ。」


「へ~、僕じゃないんだ。」


「あくまでもこの旅を始めたのは俺だ。形だけでも責任くらいは取っておきたい。第一、俺達はお前に見逃されているだけの存在だ。意思は極力聞いていたほうが安全ってもんだろ?」


 アルマスがそう言うとハクはそう言えばそう言う関係だったと思い出した。そこでついでにあることも思い出した。


「そう言えばまだ名前つけてなかったね。」


 その一言で四人はあっとなって固まった。ハクの名づけのことを思い出したのだろう。


「アルマス、正直な話どこまで覚えている?」


 ワルドはアルマスに聞く。


「俺はハクラス=プロクスぐらいしか。中にハルルとかフィーネとか混ざってなかったか?」


 アルマスは数か月前の記憶を引っ張り出そうとするがなかなか引き出せない。


「一応、役所にはハクラス=プロクスで出してるから、、」


 ハクの名前は、、、正直私もよく覚えていない。途中で表示を諦めた気もする。まあ、前は戦い後ということもあってテンションが可笑しかったのだろう。そうだ、きっとそうだろう。


「なんかいい名前あるか?ポチとか?」


 ワルドがまずは火蓋を切った。


「ポチはなんか犬のイメージがあるんだが?この子はどちらかと言うと猫だろ?」


 アルマスがワルドにそう言う。良かった。全肯定して馬鹿長い名前が生まれることは無さそうだ。


「一旦、外見のイメージから離れましょう。名前は祝福であるという考えかたもあります。」


 風丸は前の反省を生かして、そう話す。


「将来への期待を名前にして与えるってことかしら?」


 カノンは正しくそれを理解したようだ。

 

「はい。」


「僕の数ある名前の一つからとるっていうのはどう?」


 ハクの主張もまっとうである。まあ、その名前の内容が問題なのだが。


「確かお前に与えた名前の大部分は既存の怪物や地名とかがゴチッチャになってるから迂闊に使わないほうがいいと思うぞ。」


 アルマスの言う通り、ハクの名前の九割はロクなものでない。


「ワルナトロティカなら俺が許可するぜ。」


 まあ、所有者が許可するなら問題ないか?


「それじゃあ、お前の子供みたいにならねえか?第一、黒晶の怪物の名前が白い少女につけられていたら不自然じゃねえか。さらにワルナトロティカは不吉の象徴の一つだろ縁起が悪すぎないか?」


 問題だらけでした。


「そんなの気にせず厄ネタの名前を入れまくった人たちはどこのどいつかな?」


「そんな酷い奴らがいたのか!世界は広いな!」


 アルマスは思いっ切りすっとぼけた。


「コントかな?」


「コントですね。」


「と言うか、もとからの名前があるんじゃないか?」


 ワルドの一言にカノンは確かにと思う。


「名前思い出させる?」


 カノンは少女に聞いた。


「、、、」


 少女は眷属化の際に多くの記憶が燃え尽きており、思い出すのに時間がかかっている。


「、、い。」


「ん?」


「、ない、、らない、、いらない!!」


 少女は名前、、を思い出したようだが、はっきりとその名を捨てた。少女の顔が少し青ざめており、汗をかいている。やはり、いい記憶はないようだ。まあ、記憶を遡ったことで言語能力も少しずつもとに戻っており、まともに喋れるようになるのも時間の問題だろう。


「そうか。ではいい名前があったら、言ってくれ。いろんな候補を出していくから。」


 アルマスがそう言うと、再びハクの時と同じように、大量の単語がこの空間を飛び交い始めた。


「リリィとかどう?」


「風丸、和風な名前考えてよ。」


「そうですね。、、凛とかはどうでしょう。」


「ハクとは被らない方がいいよな。」


「でも、白要素は入れたくない?」


「シロネコは安直すぎるしな。」


「一旦そこから離れようぜ。例えば強く育ってほしいから、パワーとか。」


「そういう方面か。なら語感でコロンとかはどうだ?」


「ハナ!」


「ノンとか?」


「フランはどうかしら。」


 やはり、こいつら名前を考えるのは大好きなようで話は長く続いた。夜は終わり、朝が来た頃、少女は表として出された自分の名前の候補を見つめていた。候補の数は千近くあり、全てに目を通すだけでも一苦労であろう。アルマス達はいたって真面目だが、明らかにふざけないと出てこないやつも多々ある。

 少女は一つ一つ丁寧に名前を見ていく。そして、


「フェリン」


 そう言って、指をさした。ハクはそれを見て、本来の白獣の姿に変化する。その強靭な体躯と純白の毛並み、神々しい二本の角。やはり、何度も見てきているが、通常の生物とは一線を画した存在であることが伝わって来る。誕生して一年も満たないような獣は既に幾星霜の時間を生き永らえてきた生命の威厳が感じられた。


「そうか。では主である僕が君に名を与えよう。」


 白獣は少女に二つ目の祝福(呪縛)を与える。


「フェリン=プロクス。これからよろしくね。」


 いつの間にか、ハクはいつもの少年の姿に戻り、手を差し伸べていた。


「うん!」


 少女はその言葉を受諾し、その手を掴んだ。その瞬間、新たな種がこの世界に誕生した。

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