71.夜が明けて
夜が明けてから、人々は砂漠へと歩いていく。お目当ては勿論、砂漠に出来た巨大なクレーターである。
「何かぎ爆発したのか?」
「バカ言えこんな威力の爆弾なんてあるはずないだろ。」
「深さどのくらいだ?誰か測ってこいよ。」
「空から何か落ちてきたのか?」
「バカかお前。空は虚空。何にもないだろ。周期的に明るくなったり、暗くなったりするだけさ。」
「地面がガラスになってる。明日からガラスの価格は暴落だな。」
人々はワイワイとクレーターについて話している。
「昨日の地震の原因か?」
「それにしては地震の規模が小さくなかったか?」
町の方を見てみると幾つかの建物は倒壊し、罅が入った建物も大量にあった。怪我人も多く、死者が出なかったのは幸いである。
「風丸、二人居た?」
「こっちは見つかりませんでした。」
そんな町の中を走り回っていたのは、風丸であった。カノン、ワルド、風丸の三人は深夜に地震があった後、アルマスとハクが居ないのに気が付き、二人を探し続けていた。風丸は町を、カノンは空から、ワルドはクレーター内を捜索している。
「十中八九、あのクレーターと何かしらの関わりは有るのでしょうがあの規模は今のハクでは不可能だと思いますので、可能性としては魔王案件もありえます。」
二人が話しているとそこに現状を伝えにワルドもやって来た。
「あそこ、マジで熱いんだが!」
「ワルド何かありましたか?」
風丸の質問にワルドは首を横に振る。
「まったく。あえて言うなら、ところどころ、不浄と言うか、魔に汚染されているような感じだ。部分的に黒晶化させて上書きしたから多少なら問題はないと思うが、人が生きれる環境ではないな。あと、熱い。底の方はまだまだ熱を持っていて、魔も結構湧いてやがった。あれの処理はダルい。」
ワルドは汗を拭いながらいう。当たり前であるがそこら辺の魔では黒い怪物のワルドを傷付けるのは不可能である。
「マジで、あれの処理には苦労した。」
「本当に大変でした。一滴でも残すと際限無く増殖するのはいけないと思います。」
アルマスとハクも同意する。
「だろ、、、、ん?」
三人は二人を凝視する。アルマスとハクは
「ただいま。」
「お腹が減ったのでご飯ください!」
自然に溶け込もうとしたが、無理な話であった。
「あんたら今までどこほっつき歩いてたのよ!!!」
二人はこの後三人にボコられた。
アルマスとハクはどうやらさっきまで残っていた泥を処理していたようだ。シャルの行方は追えなかったが、あの爆発の中で結果無傷だったのは、流石としか言えない。
「そういや、処理してる途中で久しぶりにナーニャとあったぜ。」
どうやら魔女のナーニャは今回の騒動を察知し、爆発の威力を抑えたり、泥が飛び散らないように対魔結界を張ったりと奔走していたようだ。本来なら爆発はこの町も飲み込む規模であったことが推定され、内部にいたアルマス、ハクの生存力の高さが窺える。
また、今回の騒動に合わせて大陸中でも泥による侵攻があったらしいが、それは全てヘーテスによって鎮圧されたらしい。
ナーニャはヘーテスについて、
「魔王が出現したんだから、一部力解放してもいいよな、って言ってたけど、やっぱ格下に手こずるのにそうとうストレス溜まってたんでしょうね。あと、あの悪魔の本領は獣使いらしいから多方面作戦とかが得意とかカトが言ってたよ。」
と言っていた。
「それにしても、アルマス、なんか背伸びた?」
カノンは今までの経緯を話していたアルマスに聞いた。確かに比べてみれば昨日までより十センチ弱伸びている。 答えから言うとこれはアルマスが聖杖を使ったため、その力がアルマスに流れ込み、それが完全に制御できていなかったため、偶然にも背が伸びたというのが正解である。
アルマス自身も今まで気が付いてなかったようで、アルマスは明確にカノンと身長差が生まれたため、カノンに身長でマウントをとった。
そんなアルマスに、勿論カノンはイラついたので腹パンして黙らせた。
そんな光景を見て、風丸達は笑っている。近くの住人もこんな若者達の姿を見てクスッと笑っていた。
笑っていなかったのは怪我をしてもろくに治療もして貰えず、近い未来使い潰されて野垂れ死ぬような何処にでもいる奴隷であった。




