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聖剣の担い手探し  作者: かざむき
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6.誕生

宿題が面倒です


「歩きずれ~!何でこんなに木々が倒れてんだよ!いっそのこと俺が切り開いてやろうか?」


ジャングルの中、ワルドの声が響いた。


「暑いし、虫とかも多くてうざい!風で全部吹っ飛ばしていい?」


カノンも同調し声を上げた。


「やめろ、やめてくれ。何がいるかわからないんだ。海喰いの二の舞にはなりたくない。」


アルマスが止める。ジャングルは彼らにとって未知の場所であり、どのような怪物がいてもおかしくなかった。刺激しないためにも地道に歩いて行くしかなかった。海から回って目的地に向かうという手もあったが、知らない海路より、知らない陸路のほうが即座の対応がしやすいという風丸の意見でジャングルを通るという方針に決定したのだ。


 今現在、トラブルは無いわけではない。不定期に魔猪や大猿の群れなどの魔獣が餌を見つけたと言わんばかりに襲いかかって来る。しかし、そのたびに風丸の空間転移を用いた殺戮で壊滅させられ、それからくぐり抜けて来たものも、ワルドに切り殺された。


「この先に少し開けた場所があります。そこまで行って休憩しましょう。」


いつの間にか、辺りを偵察していた風丸が戻ってきていた。しばらく進むとジャングルの中に花畑か現れた。一面に白い花が咲いている。その景色はとても綺麗だが、見ているものを寂しさを感じさせるものであった。


「皆さん引き返します!ここは俺が偵察した場所と違います!!」


 風丸が叫ぶ。風丸含むここにいるアルマス達はその景色に見とれていた。見とれてしまっていた。だから、反応が遅れた。風丸が元々いたジャングルへ転移しようとした時、彼の移動できる範囲内にジャングルはなく、白い花畑しかなかった。


 アルマスはこれと似た状況を知っている。以前と違うことは、花畑の風景と自我が私に移っていることだ。花の色は白のみで寂しさ、悲しみに満ちている。よく見ると、やはり湖がある。魔法陣はない。私の手助けは必要ないようだ。なので、私は新たなる種の誕生を見守ることにした。しかし、本当に面倒事が増えるのは気が滅入るな。


 湖の中心からの閃光が世界を照らした。瞬間、花は燃え尽き、至る所で火柱が上がっている。世界には怒りと憎みに満ちている。熱くはない。材料にしか影響は無いようだ。仲間の誰も燃えてはいない。本当にたまたま迷い込んでしまっただけのようだ。灰は湖へと集まっていく。世界はひび割れ間からは炎が立っている。そして、再び閃光は世界を照らし、世界は崩壊した。



 風丸は目を覚ます。彼はすぐに元の世界へと戻ってきていることに気付き安心した。仲間も全員ここにいる。しかし、安心したのもつかの間、自身の本能がここから今すぐに離れろと告げていた。広場の中心には途轍もないエネルギーを秘めた何かがある。それは今にもそのエネルギーを解き放とうと尋常じゃないくらい輝きを増した。


「転移」


彼は本能に従い全員を無理やり出来る限りの遠くへ転移させた。転移した先で、爆炎に襲われた。爆心地は広場のようだ。ジャングルは火に包まれている。アルマスが自身らに掛けてくれていた結界で、ダメージはあまり無い。広場からは2kmは離れている。三人ともさっきの衝撃で目を覚ましている。


「何が起こってやがんだ!ここはどこだ!花畑の次は山火事とは意味かわからん!」


ワルドが真っ先に発言した。

 

「ここはジャングルだったところです。爆発から逃れるために俺が言っていた広場から2kmほど後方にいます。」


風丸が現状を話す。


「爆発!?爆心地は広場でここから2キロ先!?ふざけた威力だな!」


「取り敢えず落ち着きなさい!」


カノンの声が響いた。


「風丸、広場の偵察にいって何があるか確認してきて。アルマス風丸にバフをお願い。」


「身体強化、結界、疲労回復、並列起動」


アルマスは詠唱を結構省略して魔法を全員に掛けた。そして、


「総員戦闘態勢!偵察の必要は無い。来るぞ!!!」


   ガキィーーン!!


アルマスが指示した瞬間、甲高い音が響いた。いつの間にか、アルマスは杖から剣を取り出して、広場方向から突っ込んできた獣の爪を受け止めていた。が、次の瞬間、アルマスは獣の咆哮でぶっ飛ばされた。


     グオォォォーーーー!!!!


辺りの温度は更に上昇し、至る所で火柱が上がる。先ほどまでアルマスのいた所には、枝分かれした二本の角を持った白い獣が立ってしいた。


上陸二日間昼、カノン一行は最後の一(ラストワン)の誕生に遭遇し、戦闘状態に突入した。

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