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聖剣の担い手探し  作者: かざむき
66/92

65.事故

ガタガタガタガタ


 草原の中にある道を馬車が走る。


「何で僕が引いちゃ駄目なの?」


 馬車の中にはアルマス、ワルド、風丸、カノン、ハクがいる。馬車を引いているのは馬ではなく、魔法で稼働しているカラクリのようなものである。まあ、それでもアルマスが本の術で馬と誤認されるようにしてあるので問題はない。

 現在彼らはハーロルから出発し、大陸の東へと進んでいる。


「ロット曰く東のほうには奴隷制度が結構あるらしい。で、能力持ちまたは獣人などであってもそういう仕事は奴隷のすることっていう風潮があるらしいんだ。奴隷と見られるのは面倒だろ?」


 アルマスはハクにそう答えた。


「あと、奴隷は法的には物となるので気をつけて下さい。現在、あなた達はロット王の直属の配下という建前ですので、問題を起こした場合処理が面倒なことになるので。」


 風丸はアルマスの発言に補足した。

 現在、アルマス達はいろいろ話し合って立場上ロットの配下となって大陸を旅をしたほうが得策であると判断した。風丸に関して、彼は元からにしゆめ姫直属の配下であるため、姫の許可を得て食客のような立場になっている。


「今思えば人口六人の国とか笑えるよな。」


 ワルドはカノンとチェスをしながらそう言って笑う。


「風丸は入ってないから、私、アルマス、ハク、ワルド、ロット、あと人狼の彼で六人。人口の三分の二が国内にいないと考えると面白いことになってるわね。あっ、でも、カルワルナも国土に加えるつもりだからヘーテスとかもカウントするのかな?チェックメイト。」


 カノンは現状を考えて笑う。


「あっ!負けた!」


 この瞬間ワルドがこの中でチェス最弱が決定した。


「おめでとう。これから、最弱王名乗れるじゃないか。」


 アルマスは愉快そうに笑う。ちなみに一番強かったのは風丸、次いでハクであった。


「うっせー、ワースト二位!」


 アルマスは四位であり、ワルド以外には全敗している。


「知らんな、お前が最弱なことには変わりないだろ?」


「なんdぐえふ!」


 馬車が山を登り始めたため、ワルドはバランスを崩して転がる。


「この山越えたら町でしたっけ?」


 風丸がアルマスに聞く。アルマスはヘーテスに貰っていた地図を確認した。


「ああ、合ってる。この山がスラルの国境でここら辺から砂漠になっていく感じだ。砂漠の移動は結構大変だから運び屋を利用してくれる客も多いと思うんだが、どうだろうか。」


 馬車は勢いよく山を駆け上がり、山の頂上付近からは壮大に広がる砂漠が見ることが出来た。


「うおっ!すげぇー!砂ばっかだ!暑そー。」


「本当に植物が少ないね!夜は冷えそうだなぁー。」


 初めて見る砂漠にワルドとハクは興奮する。声には出していないが風丸もカノンも目を輝かせていた。アルマスは下り坂になり、暴走しかけている馬車の制御でそれどころではなかった。


「ヤバイヤバイヤバイ!、、こうなったら!、、よっっと!!」


 アルマスは馬での制御を諦め、魔法で馬車全体を操り無理矢理馬車を制御しようとした。馬による力と魔法の力がぐちゃぐちゃになって馬車は暴走し、中にいる奴らはその勢いで外に投げ飛ばされた。


「おい、アルマス何やってんだよ!」


 ワルドはアルマスに言う。


「しゃーねーだろ。不安定な足場でお前らが急に場所を移動したからバランスが崩れたんだよ。」


「おう、それはすまんかった。」


 怪我人はなく、また、馬車が少し暴走した結果もう山はほぼ下りきっていた。


「まあ、ショートカット出来たと思ったらいいんじゃない。」


 カノンの言葉で全員納得しアルマス達は町へ向かい始めようとした。


「おーい、そこの奴ら大丈夫か?」


 アルマス達の馬車の暴走を見ていた奴らがいたのか、山の方からアルマス達に声をかけてくる者がいた。


「問題ないよ!」


 ハクが答える。


「マジで!?」


 声をかけた者は驚いた。確かにあんな事故、普通なら全員死んでいるのが当たり前だ。こいつらは異常なのだ。

 アルマス達のほうに男女二人ずつの四人組が走ってきた。


「うわ、怪我人どころか馬車も傷なしだ。」


 四人組はアルマス達の状態にそう感想を漏らした。


「あー、心配かけてしまい申し訳御座いません。私の名前はアルマスと申します。運悪く馬の調子が悪くなってしまいまして。こんな事故を起こしてしまったんですが、運び屋をやっております。以後お見知りおきを。」


 アルマスの普段とは全く違う口調にハクは吹き出す。


「信頼性ガタ落ちだな!」


 ワルドは笑った。


「えーと、俺の名前はヨドリ、こいつらと冒険者?いや狩人とかをやってる。まあ、無事で良かった。鬼と、、いや何でもない。」


 ヨドリはアルマス達の種族に言及するのをやめた。視線はアルマスとハクにいっており、異常な存在であることを察したのだろう。他の三人は特に気が付いていないようである。


「砂漠は初めてと言っていたけど、文化の違いは大丈夫かい?わかりやすいのだと奴隷制とかあるんだけど。私の名前はマターラ、よろしく」


 大きな盾を背負った女性が聞いて来る。


「そこはまあ、慣れれるように頑張ります。」


 アルマスはそう返事する。

 そうこう雑談をしていると山の方から物凄い勢いでこちらに突進してくるものが風丸の眼に写った。


「あれって、誰かの能力関係だったりしますか?」


 風丸はヨドリ達に聞く。すると黒髪の少女アリサがあっ!と声を出した。


「しまった!罠仕掛けっぱなしで忘れてた!」


 どうやら、罠に掛かった獣をほったらかしにしてしまっていたようで、何とか脱出した獣が仲間を呼んできた感じらしい。

 アルマス達はさっさと処理しようとするが、ヨドリの方が動き始めるのが速かった。


「あれは俺達の撒いた種だからな、俺が回収させて貰うぜ!」


 ヨドリは獣の群れに突っ込み、一瞬にして獣達を血祭りに挙げた。


「一瞬何かに変身してなかったか?」


 ワルドは遠目で見ながら聞く。


「黄色と黒の縞模様の足、茶色の毛が生えた胴体、猿の頭、蛇の尻尾かな?弱くだけど雷を纏っていたようにも見えたよ。」


 ハクの目にははっきり見えたらしくそう答えた。


「鵺ですね、それ」


 風丸がハクの発言を聞いてそう言った。アルマス達は聞いたことがない動物の名前に?を浮かべた。


「和に存在した妖怪といった方が良いでしょうか。身体の特徴はハクの言った通りで、大昔にとある術使い、魔法使いみたいな者ですね、が討伐し取り込んだことである家系においてごくまれに鵺の力を使う者が生まれるんですよ。」


「ということはヨドリは和出身なのか?」


 ワルドは風丸に質問する。


「何とも言えません。数十年前に鎖国体制は事実上崩壊しましたし、海を渡る者も多いので大陸生まれの可能性は否定できません。ですが、、、いえ、何でもありません。」


 風丸はそこで話を打ち切った。アルマス達もそれ以上話を聞くことは無かった。




「それじゃあ、運び屋頑張ってね!」


 アルマス達はヨドリ達が山に戻っていくのを見送り、すぐ近くにある町へと向かう。


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