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聖剣の担い手探し  作者: かざむき
61/92

60.失言

今更ながら戦闘描写って難しいなと思いました。




"ナイブ ヒト カクニン シッパイ"


 仮面の男はそう言うとすぐ障壁を張った。


ガーーーン!!


「ちっ、気付かれたか。」


 障壁を思いっきり殴り付けたのは黒い怪物であった。仮面の男の目の前には胸がポッカリ空いた黒い怪物がいるが、それとは別の個体である。どうやらワルドは仮面の男を警戒し、結晶の人形を戦わせていたのだろう。

 ワルドは障壁を結晶化させ、破壊し男を切り裂き、ぶっ飛ばす。


「えらく頑丈だな。」


 男に傷は一つもなく、着地せず空中で体勢を整えると塵となった髑髏を自身の中に取り込んだ。


"カイセキ カンリョウ"


 すると、黒球を生み出し、そこから黒いビーム何本も放つ。


"モホウ セイコウ"


 ワルドは結晶を纏っているが先程のように壊せないはずの結晶を消滅させられることを恐れそれを全て避ける。

 案の定、ビームに当たった部分は例外なく消失しており、周囲は穴だらけである。この穴は一体どこまで続いているのだろうか。

 仮面の男はワルドをビームで追い詰めると同時に影から大量の人の形をした何かを出現させる。そしてその全てが何らかの能力を持っていた。


「多種多様過ぎだろ?!!」


 あるものは炎を放ち、あるものは獣となり襲いかかる。強力な身体能力で大剣を振り回すもの、巨大化するもの、透明化するもの、数えだしたらキリがない。

 大多数は一瞬にして結晶化されるが、その町一つの全ての人間から集めたぐらいにはある能力の多彩さによって、着実にワルドはダメージを蓄積されていった。


「鬱陶しいわ!!!」


 そして、疲労により苛つき冷静さが少しずつ削られ攻撃が少し大振りになった瞬間を男は見逃さず、必殺のタイミングでビームを放っ、、


「空斬り!!!」


 男は空間ごと頭から綺麗に真っ二つにされた。空間の裂け目からは負のエネルギーが溢れ、男はそれに飲み込まれた。


「増援に来たぞ。」


 少し遅れてアルマスがカノン、ハク、ロットを転移で連れてきた。アルマスはすぐにワルドに疲労回復をかける


"イレギュラー ハッセイ タイオウ フカ"


「何で生きてんだよ。」


 アルマスは真っ二つになり、さらに負のエネルギーに飲まれたのに生きている仮面の男にそう言った。


「お前はそれを言える立場かよ。」


 ロットは昨日の模擬戦を思い出しながらそうツッコむ。アルマスの不死性も大概だが、ロットお前も大概だぞ。


「予想だがあいつは負のエネルギーを操作できる。俺の結晶が消滅させられた。考えたくはないが何かしらの耐性を持っている前提でやったほうがいいと思うぜ。」


 ワルドは全員にそう忠告すると、風丸は男から距離をとり、取り敢えず、ハクが適当な火力で男を炙った。


「負のエネルギーって何?」


 ハクはワルドに質問した。


「初戦でお前を貫いたり、ダメージを与えたりした時に使ったもんだ。原理としては、この世界は正で、外の世界にある負のエネルギーと衝突すると対消滅が起こるって感じだと俺は認識している。」


「それは面白いね。で、こいつの耐久性は何なの?燃え尽きそうにないんだけど。」


 ハクの能力により周囲を火の海と化しており、岩などは既に溶けていた。他の奴らはアルマスの結界により問題ないが、男は火の中で真っ二つの状態で全く動きを見せない。


"タイオウ フカ チエ ホッス   ケンサク          モホウ   セイコウ     ギジジンカク サクセイ     セイコウ シュドウケン ジョウト"


 瞬間、炎は吹き飛んだ。


"ホウソク カイヘン   セイコウ"


 中からは赤みを帯びた三メートルぐらいの黒い骸骨が現れた。


「我こそは、、、、何だ?見覚えがあるようなないような顔ぶれだな。取り敢えず、殺して、、、食うか。」


 骸骨は長い骨を生み出し、手始めにカノンにそれを投げつける。

 ハクは咄嗟に白い獣となり、それを破壊する。

 

グオォォォーーーーン!!!


 大量の熱を伴ったハクの咆哮が骸骨に浴びせられる。骸骨は吹き飛び、辺りの岩石は一気に溶解した。


「雷撃!」


 すかさずロットが雷撃を放って追い撃ちをする。骸骨の逃げ道はワルドの結晶によって断たれており、周囲はカノンによって出鱈目な暴風とハクの炎で囲われている。


「うざい!!」


 骸骨は能力で爆発を起こして体を吹き飛ばし、そこから脱出する。骸骨は直ぐに影から盾を取り出し風丸の攻撃を防ぐが、鬼化と身体強化がかかった風丸の横なぎに大きく吹き飛ばされる。

 ハクは人型になり、刀身が赤く変化した虚剣を持って骸骨に斬りかかる。


「頑丈だね」


 骸骨はハクの攻撃を腕で受け止めている。骸骨はすぐさまビームを放ち、ハクを離れさせる。ハクはこのビームはまずいと感じたのか大袈裟にビームを避け、地上に着地した。剣による衝撃は骨にダメージを与えているようには見えないが、少なくとも熱は感じているようだった。しかし、ハクの虚剣に触れた地面が簡単に溶けていることから、骸骨の耐熱性が凄まじいことも窺えた。


「ちっ、大人しく死ねよ」


 ロットが骸骨を首を飛ばすが骸骨は問題なく動き、手刀でロットを貫き、黒い鎧がそこに倒れる。


「貴様も大概だがな。」


 骸骨はまだまだ存在しているロットを確認してそう言った。骸骨は飛んだ頭を回収しようとするとカノンの竜巻により胴体も吹き飛ばされた。

 竜巻のなかにはアルマスが用意した様々な物が飛んでおり、骸骨の胴体はガンガンと弾かれまくる。


「この程度でこの俺を殺せると思ったか!!」


 相当イラついたのか、明らかに必要以上の大爆発を起こして骸骨は竜巻から脱出する。骸骨は力をため更に巨大な爆発を起こそうとするが、


「ここだ!」


 アルマスがタイミングを見計らって細工を施した虚剣を発射し、暴発させた。


「うざい、うざい、うざいうざいうざいうざい!!!!!能力検索、、発見、模倣、成功、結合、成功、増幅、起動、雨鉾」


 骸骨は天に手を掲げ、下ろした。その動きに合わせ巨大な鉾状の水の固まりが空から落ちてくる。直径は二キロあるだろうか。高さについては先が見えない。


「食欲も湧かないゴミは綺麗に洗い流なければな!!」


 骸骨は明確な自我を得てから自身の力に酔いしれていた。真っ二つになっても死なない体、数千、数万とある自身が把握しきれないほどの能力の数、万物を見透かせることのできるであろう眼、増長するには十分な程の性能であろう。なので、彼は格上に対して失言をしてしまったのだ。


「僕がゴミ?舐めるなよ!!」


 骸骨の発言にハクが切れて角が光輝く。ハクの目にはもう水の塊と骸骨しかない。本能的に危険を察知した風丸はハク以外全員で限界まで転移し、ハーロルへと帰還し、アルマスとワルドが高速で障壁を作成した。

 ハクに与えられていた虚剣は白い炎に変化してハクと同化した。

 骸骨は危険に感じたのか、雨鉾の数を増やし、それぞれの密度を上げ、落下速度を増し、自身には障壁を何重にもはる。しかし、その作業も中途半端に終わってしまう。


スウウウウッ!!


 ただハクが大きく息を吸っただけて、この周囲の熱は完全に奪われてしまった。先ほどまで大きく燃えていた炎は一瞬にして消え、周囲の全てが固体となって全ての動きは停止する。

 骸骨は逃走する必要があると判断したが、固体化した空気によって少し動作が遅れた。その一瞬が致命的であった。


「なっ?!」


 アルマスと風丸が遠くから空間を歪め骸骨の転移を妨害した。骸骨は逃げれないことを悟り、ハクに向かって今この瞬間に出せる最大のエネルギーで黒いビームを放つ。


「クソがぁぁぁ!!!」


グオオオオオオオオ!!!!


 ハクの咆哮と共に凄まじい勢いで白炎の柱が天を貫く。骸骨の漆黒の光線は刹那たりとも拮抗することできず、雨鉾も瞬時に蒸発した。

 水が蒸発したことによる巨大な水蒸気爆発、ハクの白炎の熱による地面の蒸発と上昇気流により、周囲はクレーターのような大きな窪みとなり、ある程度離れた森も炭化、全焼した。


 ハーロルからアルマス達は火柱を呆然と眺める。ここからの眺めでは細い一本の線であったが、その熱はここまで伝わってくる。全員がその威力に絶句しており、彼らは生物としての格の違いを改めて実感した。


「ハクってスゴいんだね!」


 名前のない少年は呑気にそんなことを言っている。アルマス達は頷くことしか出来なかった。

 因みに骸骨はアルマスの探知にはもう引っ掛かっていない。蒸発したのか、吹っ飛ばされたのか、上手く逃げたのかは不明の状態であった。


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