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聖剣の担い手探し  作者: かざむき
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5.上陸


「これじゃ幸運か不幸か分からんな。」


アルマスは辺りを見張りながらぼやく。ほかの三人は真昼間だというのにぐっすりだ。港を出てから7日目、つまり、海喰いに襲われた翌日である。昨日、風丸によるかなり無理をした転移でハルルの口の中から脱出した後、彼らは大嵐に襲われた。波の高さは軽く10㎞を超えており、カノンの力でもどうにかするには限界があった。それ以前にカノン、ワルド、風丸は疲労困憊により動くことも困難であった。唯一動けたアルマスができたことも自身らに結界を張って破られないことを祈ることだけだった。現在張れる最強の強度にするために、持っていた鉱石のほとんどを利用した。大渦に巻き込まれた彼らを待っていたのは予定より早すぎる大陸上陸であった。


「鉱石のストックは、、、後20個くらいか、、」


辺りの砂浜には、切り殺された魔獣の死体が散らばっていた。


「そろそろ、剣による近接以外にも遠距離攻撃できる手段が欲しいな。武具製造(剣)、再起動」


彼の手に水が集まり、剣と変わっていく。


ヒュン、、、ドス!


「ウゥゥッ!?」


ズサッ


狼のような魔獣が投擲された剣に貫かれて砂の上に倒れる。剣は水へと変化し、死体を濡らして水たまりを作った。他の場所にも水たまりがある。


「楽だからよくするけど、水が対象だと耐久性が著しく低いな。」


「いい感じに暴れてんじゃねえか、アルマス。まあ、唐突だがすまんかった」


ワルドはアルマスに海喰いの件で謝った。


「そのことはカノンに言ってくれ。俺は一応護衛だ。誰も死んでないから言うこともないさ。それより、魔獣ってこんな大量にいるもんだったか?」


奥にあるジャングルからは無尽蔵に魔獣がわいてくる。


「いいや、普段はこうじゃない。こいつらのお陰で生態系はぶっ壊れたらしい。」


ワルドは魔獣を殴り殺していく。


「そこまででいい。今から結界張る。二十八頁、陣を空間に固定、範囲10、対象無差別、実体化、結界、起動」


「詠唱は必須なのか?」


「いや、使う術について理解してるならいらない。理解してるやつでも口にした方が安定するから、基本的には詠唱しているだけだ。」


「ほへ~、理解してなくても使えるのか?便利だな。」


「バカ言え、詠唱は普通アホみたいに長いんだ。理解できないと只のバフ配る奴ぐらいのことしか出来ない。もっとも、こんなもの理解したくなかったがな。」


アルマスは魔法に対して何か後悔するかのように呟いた。


「二人とも重い空気だけど、なに話してたの?」


いつの間にかカノンと風丸は目を覚ましていた。風丸は薪になりそうな枝とかをいつの間にか探してきて火を起こしていた。


「いや、特にはなにも。これから大変だなっていう話。後これ、魔獣の肉。害はないから風丸のところ持って行って調理してもらってくれ。」


アルマスはカノンにさっき殺した魔獣の肉を渡し、自身は魔法で調理器具を作り始めた。ワルドはカノン、風丸の所へ行き海喰いの件を謝りに行った。風丸とカノンからは厳しい説教(物理込み)を受けてボコボコになり、調理器具を持ってきたアルマスは笑い転げていた。


「カノン怖い、カノン怖い、カノ・・・」


ワルドは説教がよっぽど辛かったのか、カノンの説教がトラウマになってしまっていた。その後、風丸の「飯出来たぞ~」という一声まで、彼はずっと「カノン怖い」を繰り返していた。


大陸1日目はこうして大事もなく過ぎていった。


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