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聖剣の担い手探し  作者: かざむき
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48.罠

「ここら辺の奴らはつまらんなー。」


 アルマスは草むらから出てきた大型のサソリを斬り殺す。


「そんなこと言って、一層目のマケシヘビみたいなのが出てきたら困るから止めなさい。」


 アルマスにナーニャは魔法でマッピングをしながら言う。

 彼らは現在四層目である巨大な森の中を探索していた。二層目は巨大な迷路であったが、浮遊に結界、マッピングなどができる彼らには何の障害にもならなかった。

 三層目は本当に何もなく、地面も空気も無く、ただ広いだけの空間であり、常人には耐えられないような空間であったが、空気を含む大量の物資を持ち、更に転移を使ってショートカットでき、浮遊できる彼らにはこれまた障害にはならなかった。

 そして、この四層目は上の層とは違い罠などはあまりなく、大量にモンスターが出てくる。それらは即死級の毒を持っているが、攻撃をくらっておらず、また、実質毒無効みたいな二人は知らなかったりする。


「マッピングどうだ?次への道は見つかりそうか?」


 アルマスはナーニャに聞く。


「それが分からないのよ。もう、ある程度この層の空間を歩いていけど、それらしい場所が見当たらないのよ。勿論、魔法的な部分でも。」


「まじかー、ここ蒸し暑いから嫌いなんだけどなー。」


 三層から四層への道は魔法で作成されていたため、アルマスは今回も観測出来ないのでそうではないかと疑ったがナーニャによってそれは否定された。


「そう感じてるだけで体には何の影響もないし疲れないのに良く言うわ。」


「五感はしっかり残っているから、精神的には変わらずに疲労が溜まり続けるぞ。常に身体的には完璧な状態だから、今まで以上に精神的疲労は重要になってんだよ。」


「身体的な部分は常に完璧とかチートですね。あっ、20メートル先、巨大な虎がいまね。」


 ナーニャは気配を殺して接近していた虎に気がつき、大鎌を出現させて、虎を両断した。


「討伐は俺の役目じゃないのか?」


「最近私自身、戦闘してないからちょっとぐらい良いでしょ。」


「確かにそうだった。まともに戦ったの謎の場所に行った時が最後か。じゃあ、お前も適度に体を動かしとくんだな。」


「ありがと。あっ、面白い物を見つけたわ。」


 アルマス達は歩いていると、ナーニャの使い魔は大仕掛けな罠を発見した。


「本当だな。召喚系だな。」


 少し遅れてアルマスの探知にも引っ掛かった。

 二人はその罠がある方に向かっていく。ナーニャの使い魔はその領域に侵入した瞬間、接続が切れた。何かに殺されたのだろう。しかし、その一瞬の間にそこにナーニャは下層に続く穴を感じ取った。


「やりますか?」


 アルマスはナーニャが何かを見つけたように感じたため、ナーニャに聞いた。


「やりましょう。」


 ナーニャはそれに応える。



 少し時間をかけて二人は準備を整えてその罠に向かった。


「さあ、入るぞ。準備は問題ないな?」


「もちろん。逆に足を引っ張らないでよね!」


 二人は同時に罠の領域に足を踏み入れた。


シャアァー!!


 まず二人を出迎えたのは猛毒を持った大蛇であった。


「ファイヤー!!!」


 大蛇はナーニャによって消し炭にされる。


「詠唱ってそんなに適当でいいのか?」


 アルマスは質問する。


「自分の中でしっかり陣のイメージができるなら正直何でもいいわ。」


「なるほど、勉強になった。」


 アルマスはナーニャに後ろから迫るカバを杖で殴ってぶっ飛ばす。この先にいた召喚された獣は殴り飛ばされたカバに吹き飛ばされて壊滅状態になるが、その場所にすぐ新たな獣たちが出現する。


「思ったよりも数が多いな。」


 アルマス達がその領域に入った瞬間、その領域は異界化して空間が拡張されていた。その空間には大量の巨大な獣が常時召喚し続けられる。突破条件は召喚陣の全破壊であった。


「潰れろ。」


 アルマスは大岩や大木を本から取り出し転移させて獣達を潰していく。ナーニャはそれで生き残った個体を複数の大鎌を操作して斬り殺していく。


「きりがないわね!アルマス、何か策でもないの?」


「そういうのを戦場で即興で考えられるほど俺は戦闘なれしてないんだ。俺が得意なのは圧倒的な物量、豊富な種類で対応すること、、だ!」


 アルマスはそう言うとナーニャに結界をはり、マケシヘビから抽出、解析、量産した毒をばらまき、爆弾を放り投げて一気に拡散させる。


「あなたって容赦って言葉知らなかったりする?」


 召喚陣はほとんどが毒で崩壊し、喚び出された獣は毒により、腐食されてもがき苦しんで死んでいく。また、異界化、空間拡張自体、魔法によって維持されていたため、その魔法に綻びが生じ少しずつ元の四層の世界に戻っていく。

 ナーニャはその光景を見ながら、召喚された獣を哀れんだ。アルマスは毒を中和しつつ、残った召喚陣を探す。異界化の解除の理由が召喚陣の全破壊でなく、異界化自体の魔法に干渉していたことであり、召喚陣が全て破壊されたから異界から戻されたということになっていないからだ。


「ナーニャ、陣あったか?」


「無さそう。毒で全部壊せてたんじゃないの?」


 ナーニャも魔法で地上を探知してみるが、全く見当たらない。


「そうかもな。さっさと切り上げてこの穴から五層にいくか?」


 アルマスは罠を解いたことで可視化された穴を覗きながら言う。


「そうしましょ。さっさと行ってペテテル達を探して助けないとだし。」


「何言ってんだ。ワルドやハクがいるし、お前が頼りにしている悪魔やノブの話では馬鹿みたいに強くなったトルクスがいるんだぞ。あいつらが助けを求める場面なら、俺たちが行っても意味ないって。」


「あなた、私たちがバッファーってことを忘れてない?」


「確かにそうだった。最近ずっと自分で戦ってたから忘れてた。」


 ナーニャはアルマスを冷めた目で見る。アルマスはそんな目も気にせずに穴を降りる準備を進める。ナーニャも冷めた目をやめてアルマスと共に五層に降りる準備を始めた。


「アルマス、こっちは準備出来たよ。」


「わかった。こっちも問題ない。」


 二人は忘れ物が無いことを確認して穴に飛び込んだ。まだ、罠が残っている五層への道へ。


「ナーニャ!!」


 先にアルマスが気が付いた。自身らの落下速度が不自然に変化していることに。そして、すぐそこに脅威が出現したことを。


「ちょっ!!アルm」


 アルマスはナーニャに魔法を掛けて強制的に四層に転移させた。その瞬間、アルマスは巨大な鉄の針に串刺しにされる。


「やられたな。」


 針からはさらに針が枝分かれして生え、鉄の針はアルマスの全体に広がり、アルマスを完全に動けなくしていた。そして、更に針からは冷気が出始めアルマスは氷漬けにされ、アルマスは完全に停止した。



 アルマスによって急に転移させられたナーニャは今の状況が緊急事態であると感じた。


「アルマスが本気で焦るってこの下に何があるの?」


 ナーニャが抱いた疑問にはすぐに答えが示された。ナーニャはこの場が危険であると感じ取ってすぐさま空を飛んでその場から離れ、自身を結界で守る。

 穴からは冷気が溢れ出し、辺りの世界が凍り停止していく。豊かな自然は瞬く間に氷の大地に変化していった。下層へと続く穴からは巨大な氷の鳥が現れた。


「へ?」


 ナーニャは咄嗟に炎を纏わせた大鎌を氷鳥に投げつけるが、氷鳥にたどり着く前に凍りつき空中に停止する。魔法を放つがどれもたどり着く前に停止する。


 ナーニャはこの氷鳥を自身とは桁違いな存在であると確信した。氷鳥はただ存在するだけで世界を塗り潰す。もう、この階層では彼女以外、何も動いていない。

 氷鳥は羽ばたくと大量の鉄の針がまき散らされ、針は刺さった先から侵食を始め、刺さった対象の芯まで凍らせ停止させる。


「私の持つ魔法では無理ね。でも、」


 ナーニャは氷鳥との実力の差を理解しながら覚悟を決める。探知でアルマスの現状も理解し、彼が自力ではどうにもならないため、助けなければいけないことも彼女を動かした原因であろう。


「魔女っていうのは不可能を可能に変えれるんだから!!!」


 ナーニャは無謀な戦いを始めた。


 

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