45.バーバルム
ヘーテスはハクが現れた時にワルドと戦っていたペテテルからナーニャが運び屋と転移したきり帰って来ず、転移先も特定できないという連絡を魔法で受け取った。その連絡を受けてヘーテスはとあることを確信し、ペテテルに連絡こちらに来いと連絡した。
そのやり取りをしている間にハクとカナの体を乗っ取ったバーバルムは戦いながら言葉を交わす。
「ラストワン、いや、登録名はハクラスだったか。お前さん、突撃隊にいたんじゃなかったか?」
バーバルムは植物を操って、ハクに襲い掛かせる。
「それについては、風丸とかカノンがいる時点でわかってたんじゃない?魔女とか悪魔とか、良く分からない人が来て色々有ったんだよ。」
ハクは炎で一瞬でそれを焼く尽くす。バーバルムは陣を地面に描く。
「暴れ狂う緑の魔軍」
バーバルムの足元を中心に魔化した植物の魔が大量に生えてくる。それは獣型、人型、龍型、異形型など様々な形であり、さっきバーバルムが邪竜の時に出現していた個体よりも強力な個体であった。
ハクは炎を放出して魔軍を焼き尽くしていく。魔軍は耐火性を魔法で付与されていたが、ハクの火力の前には無力であり、根っこまで完全に焼き尽くされて、壊滅した。
ちなみに、範囲はトルクス達がいる辺りまで及んでいたが、トルクス達はヘーテスがさっき回復魔法を軽く掛けていたため、多少戦える程度には回復していた。なので、カノンの暴風が魔軍を蹴散らし、生き残ったものはアズラと風丸が転移を使った移動で各個撃破、行動不能にして、最後にトルクスが光で根もろとも魔を消滅させたため、彼ら付近の魔は壊滅した。
「この程度で僕を殺せるとでも思ったのか?」
ハクはそう言い、虚剣を抜いて火を纏わせて、バーバルムに斬りかかる。バーバルムは火を気にせずに、刀身を掴んで、そのまま空中に投げ飛ばす。ハクはて白い獣となり、空を駆けて空中から火炎弾を放つ。バーバルムは魔法でそれを相殺しながら、弓矢を生成する。
「雷閃」
バーバルムが矢を放つと、その矢は雷となってハクを貫く。ハクは撃ち落とされて地面に叩きつけられる。矢はハクの体を簡単に貫通していた。
「流石にここまで魔力を込めれば貫けるか。それにしても、魔法によって再現した雷に微弱とはいえ、神気が宿っているのはどういうことだ?」
バーバルムは一瞬思考を巡らせたことで一瞬の隙が生じた。その瞬間、バーバルムは転移してきたペテテルの斧に両断され、何もなかったかのように再生したハクが両断したバーバルムを白炎で焼いた。しかし、ヘーテスはバーバルムに攻撃できるのにも拘わらず、何もしなかった。というか、彼自身はもう何もする必要はないと考えていた。
「ああ、そうか。最後の一がいる時点でこの世界の仕組みが変わってないことは明白なのか。あの時は途切れさせただけだったからな。そして、また天秤が大きく揺らいでいるということは、また重ねたと。しかし、歴史が浅すぎる。封が解け始めているのか。、、、ん?」
バーバルムは白炎を吹き飛ばしながら体を再生させて、思考を纏めていると体に違和感を感じた。
「時間切れだ。さっさと消えろ。」
ヘーテスはそう言って銃を放った。バーバルムの額に直撃し、バーバルムの意識は消失し始めた。
「ふははははは!!そうか、案外、人の意識は強いな。しかし、お前は気付いているのだろう?また、更地にするのか?殺し尽くすのか?出来なければ秩序は崩壊し混沌が始まるぞ?」
バーバルムはそう言うとヘーテスは答えた。
「俺はまだ諦めていない。」
その一言を言聞き届けた後、バーバルムの魂はカナの体から退去し、カナはその姿のまま、そこに倒れた。
「あれ?もう終わっちまったか?」
そこに怪物状態で全力ダッシュして来たワルドが現れる。
「うん。何か自然と消滅したよ。カナさんの体を乗っ取ってるし、バカみたいに強いし、何か急に消えるしで、本当に理解不能だよ。」
ハクはそう答えた。ハクはヘーテスに対して警戒をしている。
「そう殺気を飛ばすな。ラストワン。俺の仲間が反応するだろ。邪竜は単純にこの人間を乗っ取り続ける体力が尽きただけだ。自然と復活することもない。」
ヘーテスは二人に襲い掛かろうとしたペテテルを止めている。
「彼らはお嬢様の敵でございますが、よろしいのでしょうか?ヘーテス様」
ペテテルはヘーテスに確認する。
「様付けは止めろ、ペテテル。それで、こいつらが当初殺すつもりだった運び屋の一行だろ。もう運び屋を殺しても意味が無いどころか状況が悪化するぐらい天秤が不安定になってきているようだ。第一、あいつらと共闘した手前、ここで敵対するのは気分が悪い。」
ヘーテスはトルクス達の方を見ながらいう。ハクは納得して、いつもの人の状態になる。ワルドは怪物状態は解除したが、まだ腕は鱗(結晶)を纏っている。
トルクス達は大将を失った植物の魔軍を殲滅させながら、ヘーテス達と合流する。ヘーテスとは緑の怪物の核がカナであったことを黙っていたことで少し揉めたが戦闘までとはならずに和解した。
カナも目を覚まし、全員が取り敢えず戦いは終わったと思った時、ヘーテスとワルドは途轍もない何かの流れを感じた。
"ヒラケ ゴマ"
声を出す暇もなく突然、元々町があった範囲に暗黒に塗り潰された。後には地面も残らず、大きな穴が空いた。




