41.脅威
「あはははは、この町を滅ぼs」
高笑いをしていたカールの頭をヘーテスの鎖で貫かれた。
「チッ、こいつもクローンか。さて、困ったな。俺だけではこいつは討伐出来んぞ。あいつらを喚んだら、現在加速中のインフレがさらに速まりかねない。ここにいる人間程度では足手まといにしかならんし、いや、トルクスという奴ならば結構な戦力になるな。そういや、ナーニャと戦っている奴らは一部こちらに向かって来ているのか。そいつらも戦力カウント出来そうだな。」
グラガアァァァァ!!!!
邪竜バーバルムがヘーテスに向かってブレスをする。ヘーテスは魔法でそれに対抗する。
「竜と言えばその耐久性が一番厄介なんだが、火力が俺には足りないんだよな。」
ヘーテスはブレスを押し返し、魔法を邪竜にぶつけたが、竜には効果が無かったようだ。
「カトが居れば、腹に風穴を開けることくらいは出来るんだがな。まあ、それでも死んでくれないんだが。」
ヘーテスはうだうだ言いながら、陣を組み立てていく。
「取り敢えず、時間稼ぎだ。」
邪竜を囲むように大量の陣が現れる。そこから、大量の黒鎖が出てきて邪竜を拘束し、絡まった先から凍結させていった。
「カールとナーニャが結んだ契約は、城壁破壊を含む城攻め、障害の妨害、ラカレー家の根絶だけだったか。よし、契約は履行し終わったな。では、あとはナーニャからの増援を待つとしますか。」
ヘーテスは全方向から襲い掛かってくる魔を容易く消滅させながら、決定打を持つ者の到着を待った。
「ん、、ここは?」
カナは瓦礫の中の空洞で目を覚ました。衝撃がきたのと同時に植物のバリケードを作成したため、瓦礫に押し潰されるという惨事は免れることが出来た。しかし、まともに覆えたのは自分だけであり、他の人がどうなったかなど、想像に難くない。
「誰か、お願いだから返事して!誰か!…」
カナは叫ぶ。仲間の生存を願って。また、瓦礫を植物で崩れないようにしながら除去していく。
カタカタ ガラガラ
カナは瓦礫が動く音に反応する。そこからは光が差し込んでいる。カナは取り敢えず、そこの穴を広げて外に出た。
「えっ、、、」
目の前に広がっていたのは、獣や虫などの特徴をごちゃ混ぜにした大量の異形の魔の大群が瓦礫とかした城塞を這い回るという光景だった。
そして、魔が多くなる方向をよく見ていくと、そこには巨大な竜が大量の鎖に繋がれて凍結していた。魔は人を瓦礫から掘り出して生死関係なく弄ったり、切り裂いたり、食べたりしている。
その光景を見てカナは吐き気がした。
その光景を呆然と見ていると一体がカナに気が付いた。カナはヤバいと思って瓦礫の中に戻り、瓦礫と植物で自分の守りを固める。
ガンガンという音が空洞に響く。音はどんどんと大きくなり、それに対抗して、カナは植物を増やしていく。
カナの頭からは、さっきの人が魔に弄ばれる光景が離れてくれない。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないもうやめてもうやめてもうやめてもうやめてもうやめ…」
カナは迫り来る死に恐怖する。ゲキカの最後を見て、人は簡単に死ぬことを理解した彼女はパニック状態になっていく。植物は空洞を埋め付くし、次は外へと外へと成長していく。
ある時を境に音は止んだ。魔は植物に拘束され、エネルギーを吸い尽くされて死んでいた。しかし、植物の成長は止まらない。止めなければいけない彼女はパニックでもう何も見えていない。彼女は自分を守るために植物を成長、増殖させ続ける。
緑の怪物は彼女の能力と魔から奪っているエネルギーでどんどん侵食を続ける。
緑の怪物の出現と同時刻に城塞の地下では、巨大な陣が何者かによって密かに起動された。
それは本来、城塞付近で当時の基準で人類の脅威レベルの何かが出現した時のために造られた巨大人型兵器を起動するためのスイッチ。起動されれば辺り一帯を破壊しつくさない限り止まらない。魔槍の影響で不具合が起こり、フルスペックには遠く及ばないが、それでも、この時代には十分過ぎる力を持っていた。
ゴゴゴゴゴ!!
バゴォォォォーーン!!!
兵器は城塞の地面を突き破って地上に現れた。兵器は腕からレーザーを放ち、辺りの完全破壊を開始した。
この時点で城塞内にいた人の数は、元々いた数の1割程度に減少しており、9割は既に死亡していた。




