38.謎の場所にて3
「迷惑掛けて、本当にすいませんでした。次からは先に言ってから、実験します。」
「論点がちがーう!迷惑を掛けられたのはそうだけど、あんな実験は金輪際するなー!何ですか、世界殺っちゃいたい系の人なんですか!?あなたってどっちか言うと救う系じゃなかったっけ?」
魔女はアルマスに説教をしていた。魔女は実験自体が世界に害を与えるレベルに発展しそうだからやめろという建前で行っているが、本音は、心配していたこと、魔法を一瞬で習得してしまえる才能への嫉妬、長く話したいといった様々な感情が渦巻いており、それをぶつけているだけだったりする。このやり取りも差異があるものの、もう十回目だったりする。
因みに、アルマスの実験で描かれた陣は魔女が読み切れていなかったが、本当にヤバかったりする。
「わかった。実験は最小限に、理論詰めを中心に行っていくことにする。」
「よろしい、魔法が使えるようになったので、当分はこの場所の解析を一緒に行ってもらうわ。実験は当分はできないと思うことね!」
「えーー、いいよ。」
アルマスは魔女の提案を受け入れた。
「それにしても、術で容姿を偽るのはやめたのね。てっきり、その状態は嫌っていたと思っていたのだけど。」
「ああ、隠すの面倒くさくなってな、俺自身もこの体を受け入れたからな。まあ、お前には気づかれていたから、隠してた意味はなかったようだがな。」
アルマスは自分の白い髪を触りながら、そう言った。
「本当にあなた、人間じゃなかったのね。」
魔女は呆れながら言う。アルマスは笑いながら、肯定した。
「人間でありたかったんだがな、この体になって出来ることも増えたから、トントンだな。雑談はやめて、そろそろ解析に移りますか。」
魔女はアルマスの言葉に同意し、現在の進捗を話す。アルマスはそれを聞きながら、この空間を魔法で解析し始める。魔女から、魔法に関しての助言を貰い、どんどん精度と範囲を上げていく。
アルマスは魔女の示すカルワルナ付近の空間の性質、大気の構成などと、この場所を比較して、調べていく。アルマスの情報処理能力に魔女は若干引いていたりする。
しかし、手掛かりは思うように得られず、アルマスは面倒臭くなり、手っ取り早い手段を使う。
「いっそのこと、転移の魔法に馬鹿みたいなエネルギーを乗せて見るっていう博打するか?」
「絶対に嫌。」
「よし、やろう!」
「話聞いてた!?」
「大丈夫だ。転移した瞬間、転移させる対象、今回は俺が実験で作ったやつを同時に起動させるだけだからさ!魔女、転移魔法の用意頼む!」
アルマスは魔女の静止を聞かずに実験を始める。アルマスは既に高火力、広範囲、高コストの陣を描き始めている。魔女もアルマスの雰囲気に圧されて、転移魔法の陣を用意した。
「そこの部分とここを繋げてくれないか。」
アルマスは魔女の転移の陣と自身の陣をうまく結合して、実験の準備を終える。
「お前は離れておけ。予想だと近くにいると死ぬぞ。」
アルマスは魔女が離れたことを確認して、魔法を起動させる。転移対象はアルマスの陣で、それは転移が行われ、転移先に到達する間の0秒間の間に行われた。
それにより、世界に穴が空き、そこから一気に負のエネルギーが流れ込んだ。負のエネルギーにより、辺りの物質が破壊、消失されていく。もちろん、アルマスもその影響に巻き込まれる。
アルマスの片腕は失われ、腹には風穴が空き、足は辛うじて繋がっているような状態だ。頭も大きく抉れ、人ならば即死している状態だった。
魔女はアルマスの姿を見て、無駄だという考えを捨てて、急いで治そうとする。
しかし、魔女が魔法を起動させる前に、アルマスは自身で体を復元した。魔女はその光景にポカーンとしていた。
「人間やめてから、俺って死ねないようになってるんだ。実験に持ってこいだろ。」
アルマスは笑いながら話す。魔女は何とも言えない気持ちになっていた。
「で、いいデータは取れたの?」
魔女は、アルマスの肉体の状態を思考から遠ざけて、実験の結果を聞く。
「あぁ、面白いことが分かった。世界に穴が空いた時に流れ込んでくるエネルギーが少し特殊でな。多分だが、こいつを使えば帰れるぞ!」
アルマスはその方法を魔女に教える。魔女はあまり、理解出来ずにいたが、アルマスは取り敢えず、タイミングが来るまで、待とうと言って、焚き火に戻り、本を読み始めた。
「ねぇ、アルマス。人間をやめること、、いいえ、やめて、どう?」
しばらく、時間をあけてから、魔女はアルマスに聞いた。
「さあな、人外であることを受け入れてしまってから、俺の中にもう、純粋な人間としての俺は既に居ないからな。この空間に来るまでなら最悪の気分って即答できたんだがな。」
アルマスは笑って答えた。
「じゃあ人間に戻りたい?」
魔女の質問にアルマスは悩んだ。
「俺は戻りたい。だが、それは後のことだ。人で無くなった今の俺にじゃないと、達成できないことがあるからな。」
そう言うと、アルマスは空を見上げ、その景色を本に記録し始めた。
二日後
アルマスは魔女と協力して、帰還のための陣を描いていく。理論自体は昨日に完成していたが、陣に起こしていく作業が思いのほか難しく中々出来上がらなかったがやっと完成したようだ。
「身体強化、守護結界、起動」
アルマスは自身と魔女に術を掛ける。
「いくわよ。、、起動!」
陣は魔女によって、起動された。
「ナーニャ」
魔女は突然呟く。
「ん?ナーニャ?」
「私の名前、秘密にしといてね。」
「わかった。」
陣は光輝き、二人を光ので飲み込んでいった。




