37.謎の場所にて2
謎の場所生活二週間を迎えたころ、いつもアルマスが焚き火に戻った時、魔女は寝ていた。地面には様々な陣が描かれていた。焚火は薪を追加されていなかったのか随分弱くなっている。
アルマスは焚き火に薪を追加して、陣を踏まないように座った。随分と長く歩いていたようで足はもう動かない。
アルマスは退屈しのぎに、魔女の描いた陣を眺める。アルマスは陣の読み取りを始めた。どうやら、彼が使う術とは随分形式が異なるようだ。アルマスの目の色が変わる。
「うっ。」
アルマスは突然目を手で押さえる。アルマスの息は上がっており、休憩の予定が更に疲れが増す結果となった。入って来る情報が多すぎて、頭も痛くなっているようだ。
アルマスは空中に杖を走らせて陣を描く。陣からは小さな火が現れた。魔法についての基礎中の基礎の習得に成功したようだ。エネルギー源には、いつもの鉱石が使えた。しかし、彼自身の中のエネルギーを使おうとすると、普段の本の術を使っている所とは別の物を使われているようだった。
「これが魔法なら、俺の術は一体何なんだ?いや、俺は何なんだ?」
アルマスは自問する。彼自身、既に自身が特別であることは認識していた。聖剣を造った時から、いや、本を召喚した時からだろうか。最初は本を読んだとき、体に違和感を感じた。聖剣を造った時、体に何かが入ってきた。数年前の遭難時に明らかに体の構造が変わった。ハクが誕生した花畑で精神が何かと融合した。そして、ワルドの結晶の侵食に呑まれそうになった時、完全に肉体が別物になった。
ついさっき、魔法を再現できたこと、最近、本に記された術の量が増え、練度が増したことはワルドの結晶、ハクの件が大きく関係していた。
アルマスは杖を取り出して、自身に掛けていた術を解いた。青かった目は目は赤く、黒かった髪は真っ白に変化した。焼けていた肌も白くなっている。さっきまでの頭痛は無くなっているようで、ついさっきに少しだけ再現できた魔法を使って、いとも容易く空を飛んでいる。
アルマスはこの体になってあることに気が付く。物事に対する理解力や考察力、プラスで身体機能のスペックがやばいくらいに上がっていたのだ。既に魔女がやっていた程度の魔法は再現できるようになっている。相変わらず、本は読めないところだらけであるが、読める範囲が増えた気がする。
魔法を再現できるようになったアルマスは今まで出来なかった大規模破壊用の術を真面目に考え始めた。大規模破壊が出来るようになりたい理由は、ハルルみたいにバカみたいな規模の奴に少しでも対応するためとか、今回の魔獣の大群をサクッと倒せるようにしたいとかではなく、単純に高威力ってロマンがあるよねっという心からきている。
アルマスは現在とてもウキウキしていた。本に書かれている術は、一つ一つが独立したやり方で確立されており、一つ術が分かっても他のところで応用できることは一切無かった。エネルギーを多くして出力を上げるために術の形式がガラッと変わることはザラだった。しかし、魔法は違う。応用が利き、組み合わせも容易?なため、簡単?に幅広い範囲の現象を引き起こせるからだ。
アルマスは空中に結界を展開し軽い実験から始めていく。とりあえず、まずは火を出現させることに関してを調べていった。
「同じ陣を使う場合、消費エネルギーに比例して火力、難易度が変化するか。陣の大きさはどうだろうか。…やべ、制御ミスった。陣が細かいと発動までの速度が速いし、陣を描く体力も減って楽なんだがな~。難易度が上がるのが難点だな。…陣がないと詠唱が必要だし、消費エネルギーが多いな。……あっ。………」
アルマスによる魔法の実験は続く。時折、結界が砕けているがアルマスは問題ないようだ。アルマスは実験の規模が大きくなる度に高度が上がっていった。
三日後
「出来たぞ、出来たぞ!これこそ、俺が求めた究極、最高、必殺技、ロマン砲!!!あーはっはっはっはっはっは!!!!」
アルマスのテンションはおかしい。休憩無しでぶっ通し頭を使い続けたアルマスは、魔法と本の術のハイブリッドの陣を展開し、空に向けてぶっぱなした。
「あの馬鹿はどこ行ったのよ!」
アルマスが遥か上空で魔法に没頭している中、魔女は叫ぶ。
アルマスはもう三日は帰ってきていない。いづれは敵に戻る(はず)ではあるが、魔女は悪魔に大切に育てられたこともあり、孤独になれていない少女にはこの場所に置いて、アルマスは心の拠り所となっていた。
今日になってから、魔法を使って捜索を行っているが、アルマスは全く見つからない。足跡などの痕跡すら見つからず魔女は本当に焦っていた。
彼女は、アルマスがここに来てから何かについて悩んでいる節があることを知っていた。なので、最悪精神が滅入って自殺してしまっているのでは、という考えも頭に過ったが、それはないと否定しアルマスを探し回った。
突然、焚き火場所の遥かに上空で途轍もない閃光が走った。アルマスを探すために飛行していた彼女は地面に落ちる。途轍もない魔力の乱れがこの空間で起こり、それをによって自身の魔法が壊れたのだ。彼女は何があったのか確認するためにその発生源に向かった。
「何かが落下して来ているって、アルマス!?」
魔女は急いでアルマスを受け止める。アルマスは疲れて眠っているようだ。魔女はアルマスを寝かせた後、光の発生源に向かった。
発生源についた魔女は魔法の残滓を読み取り、卒倒しそうになる。頭が狂っているかのような精密さと出力の魔法が発動されていた。魔女はアルマスの方を向く。天才な馬鹿っているんだなと実感した。
そして、こんな奴を心配していたのかと思い、
「反省しなさい!」
大量の水を生成し思いっきりぶっ掛けた。
「あばばっ!??」
アルマスは盛大に流され、焚き火の火は消えた。




