36.謎の場所にて
「あーあーあー、聞こえているか、こちらアルマス。ゼロ地点より3時の方角に直進したところに水溜まりを発見した。」
「わかったわ。水の成分分析したいから、持って帰ってきて貰えるかしら。」
現在、アルマスは転移先の謎の場所を探索していた。もう既に1日以上経過しているが朝になることはない。アルマスは周辺の探索、魔女は魔法による解析を行っていた。二人の間で今のところ、特に問題は起こっていない。食料に関してはアルマスが大量に収納していたので、少なめに見ても、1年は問題なさそうだ。
アルマスは光があるほうに歩いて行き、魔女のいる焚火に帰ってきた。アルマスはかなり離れた位置にいたが、焚火の光はしっかりと見えていた。
「これがサンプルの水だ。俺が簡単に調べてみたが、水ではあるが何かおかしいところがあった。」
「わかったわ。詳しく調べてみる。」
アルマスは魔女に水の入った瓶を手渡し、魔女は解析に取り掛かる。そして、アルマスはここに飛ばされてから気になっていたことを質問する。
「魔女、解析中で悪いんだが、この空に広がるの発光している点々は何かわかるか?」
「そんなの分からないわよ。カトとかヘーテスなら知ってるかもね。」
魔女は首を振って答えた。アルマスはその二人とワルドと戦っていた女のことが気になり質問する。
「なあ、そのカトやヘーテス?そいつらって、どういう奴なんだ。」
「カト、ヘーテス、あと、黒い奴と戦っていたペテテルがいるわ。みんな悪魔で私の育て親よ。ヘーテスは滅茶苦茶古くから存在しているらしくて、カトもヘーテスほどではないけど結構古いらしくて、ペテテルは結構最近に生まれたらしいわ。まあ、普通に数百年存在してるらしいけど。」
「へー、悪魔って存在していたのか。しかし、資料とか読んでると存在できるのは刹那の間だけらしいんだが、そこらはどうなってんだ?あと、やっぱ強いのか?」
アルマスは悪魔に関しての質問をする。
「十数年前に突然来れるようになったらしいわ。何かしらの器に精神を入れることで活動してるらしいわ。本体が直接出向くことも一応は可能らしいわ。あと、魔法は悪魔の中では体系化されてるから、人に広がるのも時間の問題かもね。強さに関しては、契約の内容とか器の強さに依存してる感じかしら。魔法とか体術に関しては知識の差でいろいろあるけど。じゃあ、あなた達のパーティーはどういう感じなの?」
アルマスは答える。
「メンバーとしては、俺と人類2人、鬼との混血、ラストワンだな。ラストワンはお前に噛みついた奴だ。」
「ちょっと待って、黒い奴、人間なの!?あなたも大概だけど、すごい厄ネタ抱えているよね!?何か別のものに変質してないの!?」
魔女はワルドに言及する。
「厄ネタに関しては時代だけに結構な奴が持っていると思うぜ。あいつはその中でもダントツだがな。俺とは違って、まだ、人類から逸脱していない。今分かっているのは、俺とあいつは確実に今後、役割があることぐらいか。」
アルマスは本を開ける。
「お前、これ読めるか?」
「文字くらい読めるわ。、、、、、、何この暗号。暗号?文字は分かるし、文も読めるけど、理解はできないようになってる。」
アルマスは少し残念そうにする。
「魔法に精通してるお前なら、ワンチャンと思ったんだかな。やっぱ自分で解読しろってことだな。」
アルマスは休憩がてら、本の解読を始め、魔女は魔法での解析の続きを始めた。
「疲れも取れたし、また、探索に行って来る。」
しばらくして、アルマスは再び辺りの探索に向かった。
アルマスは徒歩でひたすら、荒野を進んでいく。時間を忘れて、ただひたすらに歩く。
遠くへ行けば行くほど、世界は変化していった。
最初に焚火の光がある地点を境に突然失われた。それと同時に荒野に辛うじて生えていた枯れかけの草木は完全になくなり、世界は砂漠と化した。
次に各地に小さな炎が現れ始めた。この炎の光は離れていくごとに弱まるものもあれば、明るくなるもの、変わらないものがあった。砂漠には少しずつ芽生えが起こり、草木や花がある青々しい野原へと変化していった。
その光と炎はとある地点を境で急激に増え始めた。辺りは昼のように明るくなり、空に広がる点は見えなくなった。植物もそれにつられて急激に大きく変化していく。しかし、所々で炎に近づきすぎたもの、強い光を浴びたものは発火し、世界は次第に火の海へと変化していった。
さらに進むとそこには地獄が広がっていた。暴風が吹き荒れる。雨の様に雷は降っている。弱い光は消えた。強い光は辺りを焼き続け、強い火は暴風で広がり、植物は焼かれ吹き飛ばされていた。大地はひび割れ、割れ目からは溶岩が所々噴き出していた。
少し進むと眩い光が世界を包んだ。
そして、地獄は終わった。再び世界は暗くなった。植物は少しずつ復活しているが、以前のように生命力は感じられない。暗くなったのに、空に広がっていた点は見えなくなっている。
アルマスは足を止める。これ以上進んでは行けないようだ。足元の植物は少し枯れ始めている。
アルマスは先を見る。世界の風景はコロコロと変化しており、まだ確定していないようであった。アルマスは本を開いて、バラバラっと読んで、自分の目と髪を元に戻す。
アルマスが振り返ると、世界は荒野に戻っており、空には点が広がっていた。相変わらず、どれだけ離れていても、焚き火の光が見える。アルマスはその光を頼りに、魔女の元へと戻っていった。




