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聖剣の担い手探し  作者: かざむき
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35.魔女


 イグテスが去った後、アルマスはワルド達に疲労回復などを掛けた後、ハクに話を聞いていた。


「…で、イグテスが言うにはアルマスが聖剣を複製して造った剣のことを虚剣って言うんだって。それで虚剣とかそういう系の武器にはそれのコピー元を鞘付きで保持出来るかどうかを判定する役割があるらしいよ。でも、コピー元を十全に扱えるかどうかはそこにプラスで違う判定があるらしいけど。あと、虚剣って持つ人によって形状が変わって来るんだって。」


 アルマスが質問する。


「聖剣や虚剣を持つことが出来る者の条件って、定まっていたりするのか?」


「虚剣に関してはその者が持つ世界の強度、聖剣に関しては聖剣の世界との相性が問われるみたいだよ。虚剣は世界の強度とか言ってるけど、基本的に精神とか力が強かったら誰でも使えるらしいよ。」


 そこにアズラが話に入って来る。


「へー、そんな不思議剣があるのか!アルマス、俺に見せてくれねえか。」


 アルマスは自分用のを本から取り出す。アズラは少し顔を顰める。そして、少し考えてから話す。


「んー、何っていったらいいのか。空虚、空っぽって感じだな。俺は普段鍛冶師として活動しているんだが、普通、剣を見たら、剣って感じ以外に刃物とか鉄とかかっこいいとか感じるんだけど、こいつからは剣としか感じられねえな。世界っていうのが抜け落ちてるんだっけ、もしかしたらそこが関係してんのかもな。」


 アルマスはアズラの話を聞きなるほどと思う。


「ちなみにこれが僕の剣さ。貰って間もないけど、並べて置いてみると確かに細部が異なってきてるね。」


 ハクはさっきアルマスに貰った剣を取り出して比べてみた。


「確かに何か違うな。」


「こっちの剣には炎って感じがするな!面白れえな!アルマス俺にも一本売ってくれよ。代価はそうだな、望みの武器を造ってやるぜ!」


 アズラは虚剣の性質の特異性から、一本欲しがった。アルマスとしても、数本のスペアを創っていたことから了承し、剣を地面に突き刺す。


「ありがとう!さあ、俺は抜けるのだろうか?いくぜ!」


 剣は簡単に地面から抜けた。


「よし、これから俺も聖剣のコピー使いを名乗れるぜ!」


 アズラは普通に剣を振る。


「じゃあ、こっちも試してみるか?第一拘束解除。」


 アルマスは杖を取り出して、呟くと杖は光となって弾け、鞘付きの剣が現れる。ハクとアズラはそれを見て息をのむ。


「アズラ、汝はこれに挑戦するか?」


 アルマスの口調が変わる。アズラは答える。


「いや、辞めておこう。英雄願望はあるが俺が使うには上物過ぎる。」


「賢明だな。拘束。」


 アルマスは聖剣を元の杖に戻す。


「えー、閉じちゃうの。私、もうちょっと見たかったんだけど。」


 突然の第三者に3人は驚く。


「アルマス、ワルドが起きたよ!もう疲れも吹っ飛んでるって。あと、そこの少女誰?迷子?」


 その時にちょうど、少し離れたところにいたカノン、風丸、そして、完全復活したワルドがこちらに来た。


「あっ!全員集まった。迷子じゃないよ。自己紹介するね!私の名前は、、やっぱり名乗るのやーめた。魔女だよ!!!それじゃあ、死んで!」


 魔女は巨大な陣を空中に出現させる。


「串刺しになりなさい!」


 魔女は魔法を発動させ、大量の巨大な釘が降り注ぐ。


「転移」


 風丸により、アルマス達は釘の降り注ぐ範囲から逃れる。


「風丸、カノンとアズラを連れてカルワルナに向かってくれ。嫌な予感がする。ワルドは万が一能力が暴走してもいいように俺とあの少女と相手してもらう。ハクは、、」


「僕も魔女の相手をするよ。直感だけど奥の手にヤバそな物を持っていると思う。」


 アルマスは指示をする。全員異論は内容だ。


「それでは、ご武運を。」


 そう言って、風丸達は町の方へと向かった。


「あんた、私を舐めてるの。」


 魔女は別行動を始めたアルマス達を見て舐められたと思い苛立つ。魔女は空中にそして地上にも巨大な陣を展開する。


「魔法の恐ろしさを味わいなさい!」

 

「二十九頁、陣を自身に固定、対象魔、対魔結界、起動」


 アルマスが魔に対して効果の大きい結界を発動させる。それに少し遅れて、魔女が二つ魔法を発動させる。

 辺り一面が火の海と化し、雷の降り注ぐ世界へと変貌した。アルマスは結界を張ることで、ワルドは鱗もとい結晶を纏うことで、ハクは素でそれに耐える。


「反撃させてもらうよ。」


 ハクが白い獣に変化し、魔女に跳びかかる。魔女はハクに対して、極大の魔弾を放つ。


「嘘!」


 ハクは魔弾程度で止まるはずがなかった。ハクは炎を纏い、そして嚙みついた。


「ああっ!あああああああああ!!!」


 魔女は悲鳴を上げ、焼き尽くされた。そして、残ったのは人の灰ではなく、人形の灰だった。


「あなたにルールを与えます。私の魔力半分を代償に1時間ここにいることを禁じます。」


 ハクがその声に気づいた時にはもう遅かった。ルールを課されたハクは強制的にこの空間から弾き出された。


「やっぱり、本体じゃなくて良かった。何でここにラストワンとかいるの?やっぱり、悪魔に任せてやってもらうのが一番楽ね。ヘーテスは任務中だから、カト、よろs、え、退去してるから無理!?あなたが退去するってどういう状況!?とりあえず、ペテテルあっちの結晶の男よろしくね!」


 魔女がそういうと、魔女の影から、ペテテルという黒い翼を持った長髪ケモ耳女が出てきた。


「わかりました、お嬢様。あの黒い尻尾の生えた男ですね。」


 ペテテルはそう言うと巨大な斧を取り出し、ワルドに切りかかる。

 ワルドはいつものように四腕の黒い怪物となり、対抗する。当たり前だが、まだ結晶としての扱いには慣れておらず、物質を結晶に変換し侵食していくことも出来ていないようだ。しかし、前よりも強度は高くなり、防御力は比較にならないほどであった。

 一方、ペテテルはワルドの攻撃を器用に避けて、斧で攻撃する。通常、彼女の攻撃をくらえば一発KOだが、ワルドが硬く有効打にならない。

 速度と力、硬さで暴れる怪物と、それを器用に避けて隙をついて効果があるかも分からない攻撃を繰り返すペテテルとの泥沼の戦いが始まった。

 


「お兄ちゃんは弱そうだから、私が相手してあげる。」


 魔女はそういうとアルマスの足元に陣を展開し、下から炎を出現させる。アルマスは咄嗟に横へ跳びそれを回避する。

 アルマスは多重に自身に身体強化を掛けて、フェイントをかけて、一気に魔女に斬りかかる。


「うわ、はっや!」


 魔女はアルマスに反応出来なかったが、剣は常時展開されている障壁に阻まれる。

 魔女は複数の大鎌を出現させて、遠隔で操りアルマスに斬りかかる。アルマスは本から障害物を出したり、杖や剣でそれを弾いていく。


「絡め手が必要だね。」


 少し考えて、魔女はそう言うと、アルマスの足元に陣を出現させ、自分も一緒に転移した。





 アルマスは転移されてから、すぐに結界を張る。


ガギギギギ!!


 背後から、結界に大鎌があたる。


「あれ、君の結界、こんなに強かったっけ?あの蛇にあっさり破られる程度の結界で私の大鎌を防げないと思うんだけど。」


 魔女はアルマスの正面にいた。大鎌は触れずに操ることが出来るらしい。


「さあな。強化イベントでも入ったんじゃないか。今の俺の役職と力が釣り合ってる気がしないからな!」


そう言うとアルマスは爆弾を取り出し、魔女に投げつけた。


ドゴーン!


 爆発の隙にアルマスはその場から離れ、周りを見渡す。辺りは真っ暗で、そこは遮蔽物のない平坦な荒野であった。


「マジで、ここはどこだ!」


「君の隙を作るために遠くに転移したんだよ。君のお仲間に来られるとこっちが負ける可能性があったから、君を遠くのここに移動したのよ。ここはカルワルナから100㎞離れた森の、森の、、、ってあれ?ここどこ、私、、ミスった?やっちゃった!?しかも。夜だし!えーと、どうしよ、どうしよ。座標は、、割り出せない!!!!界渡りしちゃった!、、悪魔達とのパスも切れてる!!!、、、もしかしたら、帰れない!」


 魔女は不穏なことを言う。先程まで、朝だったのに、夜になっている。魔女は想定と違う状態になったせいで少しパニックになっている。

 アルマスは空を見上げる。そこに広がる光景から、ここがこの空間が自分達がいた時空と違うことを悟った。


「おい、魔女、落ち着け!今お前が最優先することは何だ?何が出来る?」


 アルマスは魔女の帰れないという言葉に反応し、魔女を落ちつけようと声を掛けた。


「わっ!えーと、私がするべき任務は邪魔者を消すことです。」


「そうじゃない。今、自分が一番したいことだ!」


 アルマスは結構キツメに言う。


「はい!えーと、、とりあえず、帰ること、、です。」


 アルマスはその言葉を待っていた。


「魔女。俺も元の場所に戻りたい。殺し合いは後からでも出来る。とりあえず、協力しないか。」


 アルマスは優しく言うと、魔女は少し考え、アルマスに問う。


「あんた、何が出来るの?」


「主に収納、コピー、一時的な武器製造、バフと回復、虚剣創造、召喚、結界を張るくらいだ。」


「ふーん、ほとんど私も出来ることだけど、まあいいでしょう。今からあなたは私の臨時の助手です。わかりましたか。」


「ありがとさん。で、早速なんだがここがどこかっていう見当はついているのか。」


「な~んにも。今から探っていきましょ。」


 こうして、ついさっきまで殺し合っていた二人の共同作業が始まった。


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