32.ワルナトロティカ
テスト終わった!!
漆黒の結晶で造られた巨大な怪物は蛇ゴリラを蒸発させた後、バランスを崩し倒れた。見ていたアルマス達は風丸により、少し離れた場所に移動していたため、特に問題はなかった。
怪物の体は崩れ始めている。アルマス達はワルドの体力が尽きたため、崩れ始めているのかと思い、ワルドの方へと近づいていく。
「警告する。そこに近づくな、離れろ。」
突然、天から声が聴こえる。その瞬間、怪物は黒く輝いた。地面は凄まじい速度で結晶に覆われれいった。アズラが反射的に鍛冶場を展開するが、関係なく破られる。
風丸が転移しようとするが、空間を弄ることに必要な力が急激に大きくなり発動できない。
仕方がないので、私はアルマスの体を借りて、一瞬だけアルマス達のいる範囲の空間を隔離する。
バチバチバチ、、、バァァーーーン!!!!
ゴロゴロゴロ
凄まじい規模の雷が怪物に直撃し、結晶による侵食は止まる。結晶の侵食は僅か1秒で止められたが、その影響は約半径五キロに影響を及ぼた。アルマス達のところだけは結晶に飲み込まれていなかった。
「何が起こったんだ!?」
アズラが全員の気持ちを代弁する。
突然の結晶による侵食で地面は結晶のせいで地面は黒く、そして、剣山のようになっていた。
一番困惑しているのはアルマスだろう。私が一瞬乗り移ったため、一瞬だけ気を失い、気が付くと手には杖と本があったのだから。また、彼の体には私が此処からこれ以上、直接干渉しなくて良いように、少し細工をしたので違和感もあるようだ。
「あれ?何で結晶に閉じ込められてないのかな?」
ハクが気絶しているワルド背負いながらを降りてきて驚く。辺りにいたものは植物、動物、死骸、無機物関係なく結晶へと変換されており、ハクは正直、アルマス達も結晶になってしまっていると思っていたからだ。
「アルマスがやってくれたんじゃないの?」
杖と本を持ったアルマスを見ながら、カノンがそう言うとハクも風丸もアズラも確かにという感じに納得する。当の本人は沈黙したままだ。
「アルマス、起きてる?」
カノンはアルマスに話し掛ける。ようやく、アルマスも気付いたようだ。
「あぁ、すまん。考え事をしていた。で、何の話だ。」
「この結晶の回避はあなたがやってくれたのかどうかを問い掛けていたの。」
「ん?、、あー。確かに俺がやったと思う。必死過ぎて、記憶が飛んでるけどな。で、ワルドはどういう状態だ?」
アルマスは話を変える。これ以上追及されると、ボロが出そうだからだ。
「それについては、俺が話そう。」
頭上から声がして、アルマス達は上を向く。そこには巨大な龍のイグテスがいた。
「彼はイグテスの分身体らしいよ。話も通じるし、攻撃はなしでね。僕でも瞬殺されるだろうから。」
ハクは特にアズラに忠告する。アズラも流石にやる気はないようでジェスチャーで伝える。
「まあ、先ほど紹介が有ったように私はイグテスの分身だ。今日は物見遊山に来たぐらいの感覚でここに来た。事情が変わったがな。でだ、今回こいつ、えっとワルドだったか?が引き起こした、この黒い結晶について何だが、俺達と同格の存在の怪物ワルナトロティカが関係してる。あと、多分だがお前の聖剣らへんの話にも若干関係してくるだろうから、よく聞けよ。」
「質問させてくれ。」
アズラが質問を挟む。
「ワルナトロティカっていうのは伝承通りのヤバさなのか?流石に伝承は誇張されているのか?あと、イグテスは伝承で鳥だった気がするんだが、どうなんだ?」
アズラの質問にイグテスは少し考えてから答える。
「俺に決まった型が無くてな、単純に鳥型がコスパ良いだけだ。ワルナトロティカは人が残している伝承より、遥かにヤバいぞ。まあ、本題に入るとして、まず、ワルナトロティカの力についてだ。あいつがする事は、今地面を覆っているこの結晶を生成し、操ることだ。生成と言っているが実際は物質をこの結晶に変換していると言うのが正しい。この結晶の効果は近くの物体を結晶に変換することで、変換の速度はワルナトロティカ自身で変化させることができる。第一あいつは結晶そのものだから、殺すためにはこの結晶を全て消滅させなければならない。あと、結晶は基本不滅で正攻法では傷付けるのも無理だ。あいつが気紛れで結晶を消滅させるのを待つしかない。質問ありそうだな、そこのカノンくん。」
「はっはい!え~とですね。伝承によるとワルナトロティカは遥か昔に封印されたとあるんですが、今回の結晶の広がる速度やスペックを聞いてると到底不可能そうだと思いました。なのでワルナトロティカが封印されたのは嘘だったんでしょうか?」
カノンはイグテスに質問した。
「あーー、あれね。ワルナトロティカは人類(仮)野郎に単独で封印されたぞ。どうやったかは口止めされてるから言えんがな。やはり、何時考えても俺達と同格の存在を封印するとか、笑いが止まらん。ガハハハハハハ!!」
全員がポカーンと口を開ける。それもそうだろう。ハルルとかと同格の存在を封じるのは今の全人類を持ってしても不可能なのだから。
「で、本題だが、そこのワルドとワルナトロティカの関係だな。結論から言うと、ワルナトロティカはワルドの中に封印されている。実は元々は人類(仮)野郎によって、こいつの先祖の世界に封印されていたんだ。そいつ自身も結構な奴だったんだが、どうしても邪魔が入ってほしくない戦争が起こったんだ。まあ、その戦争で、俺らレベルの奴らが数体封印されたんだがな。あれは本当にヤバかった。で、話を戻して、そいつが死んで復活させられても困るから、遥か遠くの未来の子孫の中にぶっ飛ばそうぜとなった。そして、今はワルドの世界にワルナトロティカが封じられているという結果になったって訳だ。」
「ワルドに害はあるのか?あと、ワルドの世界とかの世界ってなんだ?」
アルマスが質問する。
「ワルドに影響はあるが、デメリットは少ないと思うぜ。ワルナトロティカの能力が使えるんだからな!まあ、敢えて言うなら、今回みたいに暴走するとほぼ手が付けられなくなるくらいだ。あと、世界については自分達、人類で解明しとけ。ちなみに言うと、、、いや、やめておこう。俺は用事が出来たので帰るとする。それではさらばだ。」
イグテスは唐突に帰って行った。そして、戻ってきた。
「言い忘れていた。最後に我々と同格の存在は自身の役割を除いて、同格以外に干渉することはない。なので、我々が本来、戦いに干渉することはなかった。しかし、現在、数体の奴らは封印され、その内の一体は個人が振るうことのできる力へと変貌した。この先の世界は我々が本格的に介入出来てしまう世界であることを頭に入れておけ。あと、ハクにいろんな事を話しておいたから、質問はそっちで。では、この先会わないことを祈る。」
そう言って、イグテスは天へと昇っていった。
「やっと帰ってくれた。あれの相手は流石に無理だからね。城攻めはやっと始まったようだし、ここの奴らは、、障害確定だし、、、殺そう!」
アルマス達から少し離れた所で少女は笑みを浮かべていた。
そして、カルワルナの街が変化して出来たメヤタルナの城塞は突如、半壊した。




