27.防衛機構
夜になり、アルマス達は関所に向かった。関所の近くは人で溢れかえっている。アルマス達は問題なく手続きを終わらせ、突撃兵が待機する部屋へと移動した。
「おっ、人間が三名、鬼人が一名、あと、、見たことない種族の奴が一名。俺以外にも自ら突撃したいって奴らががいたのか。これゃ気が合いそうだ!」
中に入ると、既に一人、入っており、武器の手入れをしていた。床には、剣、弓、槍、短剣、斧などのさまざまな武器が置かれていた。
「こんばんは、あなたは望んで突撃兵に?」
カノンが男に尋ねる。
「おうさ!やはり、男たる者として、突撃ってもんには引かれるのさ!」
男は大声で語った。
「俺の名はアズラ!覚えておけ!いずれ、英雄と呼ばれるようになる男だからな!感謝するといいぞ!俺は今回の戦いで手柄をあげ、英雄への階段を昇り始める!その歴史的な瞬間に出会えるんだからな!」
あまりの勢いにアルマス達が入る隙がない。というか、こちらが一瞬でも疑問に感じた瞬間、わかってますと言わんばかりにその話を持ち出してくる。こいつは心が読めるのだろうか。
「ん?そんなに大量の武器をどうやって持つんだだと?それは、俺の能力に関係があるんだよ。俺の能力の中には武器庫ってもんがあるんだ!自分で創ったもんなら、いくらでも出し入れが出来て、便利だぜ!」
今のはハクが並べられた武器に疑問を持ったから、起こったことだ。
結局、彼の話し出したは、出撃時間を兵士が伝えに来るまで続いた。
「貴様らの出撃は魔獣の進行が本格的に始まってからだ。予測では今から五時間後の早朝に出て貰うことになる。任務としては、多数の親個体の魔獣の撃破、核の破壊だ。では、それに備えて準備をしておけ。」
兵士が出て行った後、アルマス達とアズラは真面目に作戦会議を始めた。
「じゃあまず、俺の能力だが、鍛冶場を展開することだ!種別としては陣地系だ!さっき言ってた武器庫はその副産物だぜ。自分で創ったもんなら何でも入れられるし、取り出せる!俺自身は武器全般が使えて、ワイバーンぐらいなら、簡単に屠れる程度の実力だな!」
アズラの実力であるが、話が本当なら、この国においてはかなりの実力者である。彼の能力では、武器庫から武器を用意すれば、いくらでも補充できるとは言え、技量だけでワイバーンを討伐しなければならないのだが、それが出来る人間はそれほど多くない。さすが、英雄を目指しているというだけの技量はあるようだ。
ちなみに、大陸では、人の持つ能力を大雑把な括りに分けている。例えば、アルマスの場合は本を召喚するので道具召喚系、カノンは風を起こすので自然操作系、ハクやワルドは変化系という感じになっている。正直、この括りは能力は個人差が大きいということから、まともに機能しておらず、役所の人達がかろうじて使ってる人がいるという程度である。アズラも普段は使わないが、一応と言うことで使ったという状態だ。
「次に俺か。能力は本を召喚することで、出来ることはバフや結界を張るのがメインだ。収納や取り出しも出来るが本を開くというアクションが入るから、戦闘ではあまり多様したくない。個人としては、適当な素材、土とか水とかから、剣を作成して、斬るっていうのを基本に戦っている。こんなとこか?」
その後、ワルド、カノン、風丸、ハクも能力を紹介した。その後、全員で話し合って、作戦が纏まった。
「ワルドに乗って突撃、ワルドじゃ難しくなったら、カノンが暴風で蹴散らす、ハクが炎を放出する。本陣に到着したら、俺とカノンの結界と暴風の鉄壁で防衛しつつ、抜けてきたやつを残りの奴らでボコるでいいな。」
作戦も纏まり、装備の確認などをしていると、すごい音が聞こえた。
ゴゴゴゴ!
"防衛機構の起動を確認しました。これより、メヤタルナを要塞へと変換します。"
突如、声がきこえると、町を巨大な魔方陣が現れ、町は光に飲まれた。
光が収まるとそこには巨大な要塞が出来上がっていた。名を対王用城塞メヤタルナ。遥か昔、とある天才達と王がロマンを追い求めて、来るはずのない決戦のためだけに設置した機構が、遥か未来の現在、町での防衛のためについに使われた。町の下からは石垣が上がってきて、町全体が持ち上がり、町は構造ごと変化して、巨大な城へと変わっていた。カルワルナの町の周辺にいた人達は自動的に各員の持ち場に移動させられた。
「この城って、ヤバくね!?」
この変化が終わった後、皆が唖然とする中、ワルドが呟いた。
「少なくとも、フルスペックで使えるなら、魔獣の大軍は恐れる必要はないな。また、今の俺たちにはオーバースペックだし、エネルギーも足りていないから、結局、ギリギリの籠城をする必要があるが。」
アルマスも肯定した。アルマスは、アズラとワルドとハクで白熱している何のためにこれが造られたのかという議論に耳を傾けつつ、外を見た。
現在時刻は午前2時、出撃までは残り三時間。魔獣は侵攻を開始した。




