26.病院にて
「ここは?」
病院でカナは目を覚ました。横を見ると両隣のベッドでトルクスとワルセペスが寝ていた。
「お、起きたか。ここは病院だ。あの大量の魔獣から、よく数分持ちこたえたな。おい、お前ら、一人起きたぞ。」
カナが前を見るとそこには、尻尾が生えた男がいた。さらに何人かがこちらに来る。そこには一人、見慣れた顔があった。
「カナさん、おはようございます。よく寝れましたか?」
ハクは普段通りに話し掛けて来た。その言葉はカナからすれば、戦いの途中で気を失ったことを煽っているようにもきこえたが、相手が十歳の少年であることを思い出し、怒りを抑えた。
「おはよう、ハクくん。疲労はなくなってるわ。助けてくれたのはあなた?」
「僕は違うよ。僕は救助活動に参加してないし、やったのはワルドだよ。」
ハクはワルドを指差した。
「助けていただきありがとうございます。」
カナは即座にお礼を言った。
「まっ、大したこと無かったがな。どういたしまして。」
ワルドは笑いながら、上機嫌に言った。大したこと無いという言葉にハクの言葉で少し不安定なカナの心にクリティカルが入った。
「獣の大群など俺の敵じゃないな。」
ワルドはカナを意識して追撃した。カナの心にクリティカル入った。
「海で龍を殺した人が何か言ってるようですね。」
「理性がない獣にボコボコにされた人が何か言ってるね。」
ワルドに大ダメージが入った。二人の口撃で硬直したワルドに代わって風丸がカナと話す。
「仲間がすいません。」
「いえいえ、こちらに力がなかったのが悪いので、、」
「その通り俺たちの落ち度です。あの状況を打開する策が無かったのが悪い。」
奥のベットにいたワルセぺスが起きたようだ。同時にトルクスも起きている。
「俺は結局、一発しか撃てなかったな。」
二人共、自身の力のなさを痛感していた。
この病室に重い空気が流れる。空気に関係なく思うことを喋るハクも何かを考えているのか話さない。ここにいる者にこの空気を打破できる者はいなかった。
「邪魔するぞ。おっ、目覚めたか。」
「カナ、お見舞いに来てあげたわ。」
「カナさん、お怪我大丈夫ですか?」
病室にアルマス、ゲキカ、カノンが入ってきた。アルマスは役所に行った後、カノンらと合流し、病院へやって来た。
「三人とも、疲労は有るようですが、問題は無いようです。」
風丸が三人の容態を軽く説明した。アルマスは本を出す。
「三十八頁、陣は部屋に固定、対象トルクス、カナ、ワルセペス、実体化、疲労回復、起動」
三人の疲労は、ほぼ無くなり、普段通り動けるまで回復した。すると、ゲキカが話す。
「私はここに、ラカレー家の人間として来ました。ここにいるワルセペスさん、トルクスさん、カナさん、アルマスさん、ワルドさん、風丸さんには、発生した魔獣に関しての聞き取りがあるので、この後お時間を頂きます。場所は…」
ゲキカが喋り終わると、ワルセペスら三人を連れて行った。
「皆、これからどうするんだい?」
ハクがアルマス達に聞いた。どえやら、徴兵の話を聞いていたようだ。ハクは正直、今回の件は間違ってが滅びようがどうでもいいと言う考えのようであり、次に何をするかはアルマス達に委ねるようだ。
「俺は参戦したいぜ。集団行動はできねえから突っ込むだけだがな。」
「俺としては、出来れば参戦せずに傍観していたい。情報を持って帰るのが任務だからな。」
ワルドは突貫、風丸は傍観したいようだ。
「私は町を守りたいな。思い入れがあるし、何より窓口が減るから。」
カノンは思い入れや仕事から防衛に参加したいようだ。
「俺は参戦したくないが、参戦するだろう。」
アルマスは自分は参戦すると断定した。
これにより、アルマス達の参戦が多数決で決まった。その後、どうせなら、突撃しようぜとか、雑談をしていると、ゲキカにアルマスらの三人が呼び出された。
夕方 宿
アルマス達は宿に戻ると倒れ込んだ。
「なんだよ、あの聞き取り。どこまで聞けば気がすむんだよ。」
アルマスが声を上げる。ゲキカの聞き取りというか、取り調べは面倒臭く細かいところまで聞いてくるので、とても大変だった。彼女は私情は挟まないと言っていたが、特にアルマスには、あたりが強かった。ほぼ確定で居間まで共同でやった研究の実験の不満が現れていただろう。
「まあ、自由に突撃してくれるように、してくれたのは良かったな。」
ゲキカはアルマスらに徴兵された時に何を望むかを聞かれて、俺たちは自由に突撃したいと言ったら、容認してくれたのだ。
ゲキカとしても集団行動出来ないやつに足を揃えさせて防衛するよりは、突撃してもらったほうが良いと考えたのだろう。
魔獣に対する徴兵は今夜7時からだ。なので、アルマス達はそれまでゆっくりすることにした。




