19.旧友
ハクの年齢設定を10才に変更しました。
「え~と、僕は7クラスの6班だったよ!アルマスとカノンは?」
ハクが少し嬉しそうに、アルマスに彼のクラスを聞く。
アルマス、ハク、カノンは現在、校舎の中で試験の結果の書類を渡された。書類には、試験と面接の結果から入るクラスと班が記載されていた。
「私も7だったよ。」
「残念だったな、俺は9だ。」
アルマス、カノンが入るクラスはそれぞれ9、7であった。補足しておくと、彼らが短期間在学するこの学校は国立カルワルナ学校といい、かなりの名門校だ。5から18までしっかり勉強しても、8以上のクラスに上がって来れるのは少数である。今回のような、外部から入ってくる人間の場合、普通は2や3、頑張って4ぐらいが精々である。
アルマスは二人とは、クラスが違うのでここからは、別行動になる。アルマスは9クラスのある研究棟へと向かった。
アルマスは教室に向かいながら考える。なぜ、自分が9のクラスに配属されたのだろうかと。確かに成績としては7クラスに配属されたカノンやハクよりも良かった。しかし、その成績で9まで行けるのかと言われると少し疑問が残るところである。アルマスが考えながら歩いていると教室に着いたようだ。すると教室の中から、
「アルマス君、入ってきなさい。」
担任と思われる人に呼ばれた。アルマスはそれに従い教室へと入る。
「ハルル諸島から来た2班のアルマスです。数ヶ月間よろしくお願いします。」
アルマスは普通に挨拶をして、指示された席に座る。2班と言った瞬間、周りがざわっとちたのは気のせいだと、アルマスは思う。担任は仕事は終わったとばかりに、教室を出ていった。
「よう、久しぶりだなアルマス。お目当ては見つかったのか?どうせ、まだだろうがな。」
隣に座っている班員がアルマスに声を掛けてきた。
「久しぶりだな。まさかと思うが、俺がこのクラスに来たのはお前のせいか?そして、相も変わらず、班員がお前しかいないのか?シャル。」
アルマスも言い返す。
「その通りだ。ということで、昔みたいにお前にはいろいろ手伝ってもらう必要があるからな。最近になってやっとお前の見せてくれた魔法の解析に進展があったんだ。」
シャルはアルマスの言葉を肯定した。シャルとアルマスの雑談はしばらく続いた。
カラーン カラーン
鐘が鳴り、クラスの奴らは自分の班の研究室へと向かう。9クラスは基本的に授業は無く自主研究の時間になっている。アルマスとシャルもみんなと同じように2班の研究室へと向かった。
この学校には、9クラスの学生に与えられた特権が、いくつかある。そのうちの一つは学生一人を一定期間、助手として班員にできることだ。もちろん、選出された学生が相応しくないと判断されれば却下されるが、基本的には却下されない。アルマスは数年前に基礎学力認定証を獲得するために在学していたことがあること、運び屋としての評判が良いこと、試験の成績が優秀だったことから問題無いと判断された。
補足として、アルマスとシャルの関係は一時期、同じクラスであった時に馬が合って、いろいろしたという感じであり、旧友というのがふさわしいだろう。後、班員がいないのは、シャルのペースに周りがついていけないからである。
研究室についてから、アルマスとシャルは己の成果を話し合った。アルマスは無詠唱や聖剣のコピー、花畑のことをシャルに話した。シャルも自身の研究の成果や馬鹿げた仮説を話す。その内容にアルマスは唖然としながら、話を聞いていた。アルマスはシャルの仮説を聞いて、衝撃を受けた。そして、面白いとも感じた。
アルマスとシャルはその後も議論を続ける。そして、その議論は夜まで続いた。
「この世界に存在する事象は、物理現象と何かによって成り立っていると考えられている。その何かをお前は、願いや信仰などと言った思念みたいなものだと言いたいのか?」
アルマスはシャルの仮説の詳しい内容、根拠を聞いていた。
「ああ、そうだ。良く理解したな。さっきも言ったが、最後の一が分かりやすい例だ。生物は基本的に種としての存続を本能的に願っている。その願いは生きているだけで溜まっていく。そして、いざ最後の一体となったとき、種を残すため、いや、その一体が消えて、種の血が完全に途絶えることを防ぐために、最後の一体をその願いの力が進化させる。どうだ、やはり、否定できないだろ。」
「お前の仮説は、、否定できないな。しかし、お前の仮説が本当なら、極論、この世界にある意思ある物は神だと定義することになるぞ。」
「最後の一や聖剣に関わりのあるお前に否定できないなら、この馬鹿げた仮説が真実味を帯びて来たってことだ。」
シャルは自身の仮説をやっと受け入れてくれる人が出来たと、喜んでいた。
カラーン カラーン
下校の鐘がなる。現在時刻は8時だ。許可をもらっている学生は、まだ学校に残って居られるが、アルマスはまだ貰っていないため、帰らなければいけなかった。
「アルマス、改めて、実験の助手を頼むぜ。」
シャルはアルマスに助手を頼み、
「もちろんだ。あと、こちらからも本の解読の手伝いを頼む。」
アルマスも快く引き受け、下校した。




