16.森での休憩
現在、アルマス達の空の旅が始まって二日目の夕方。彼らは既に、カルワルナ近郊の森まで来て薬草の採取や魔獣の討伐を行っていた。
昨日始まった空の旅は何のトラブルもなく終了した。一日目は昼休憩のために下りてからは、皆が能力の確認、ハクの空中歩行の練習などで、それ以上進むことはなかった。
二日目の今日、皆がふざけた。どれだけの速度が出せるのか気になったワルドは全員に呼び掛けたのだ。
「俺は今日中に目的地へと到達してみたい!」
アルマスが賛成する。
「お前が昨日みたいに空飛ぶならなら手伝ってやる。バフは任せろ。」
カノンも賛成する。
「追い風くらいなら手伝えるよ。」
風丸も賛成する。
「緊急回避はお任せください。」
最後にハクも賛成する。
「炎で噴射して速度を上げる手伝いならできるよ。」
満場一致となり、作戦が考案される。
作戦がこうだ。
1 アルマスが流線型の結界を張りワルド以外はそのなかに入る。ワルドは結界を背負う。
2 ワルドは結界を背負って空を駆ける。この時、カノンの追い風と、結界の後方からはハクの炎の噴射も同時に行われる。
3 アルマスが全員に身体強化をかけ、疲労回復も一定周期でかける。
4 何か障害物などがある場合、風丸による緊急回避を行う。
結果からいうと、この作戦は成功したが、本人達は疲労の大きさに、もう二度とやりたくないようである。
そして、現在、彼らが、カルワルナに入らず、近郊の森でぶらぶらしている理由は、入場の審査をする門つまり、関所がとても混雑していて、もっと空いてから行きたいというのと、ハクの立場をどうするかという事を詳しく考えていなかったからだ。
ちなみに大陸に存在する都市は基本的に壁で囲われている。
「ハクの名前結局どうする?登録するのはハクラスでいい?」
カノンが薬草を採取しながらハクに聞く。
「別にいいよ!みんな、悪のりしたせいで、あれは長すぎるしね。」
ハクは魔獣を焼き殺す。
「ハク殿。焼き殺したら素材が悪くなることがあります。ですので、基本的に首を跳ねるが理想的です。」
風丸が魔獣を斬り殺しながら言う。
「ハクの能力は炎を出せる獣に変身するでいいんじゃないか?あと、状況としてはハルル諸島に住んでる10歳の少年で、あ、基礎学力認定証を取るために来たとかどうだ?俺は三ヶ月くらい、カルワルナに留まるつもりだが。」
アルマスが本の解読をしながら提案する。ちなみに、ワルドは昼寝中だ。
基礎学力認定証とは、何らかの理由で学校にいけない人に対して、行われる試験で一定の成績を取ると取得できる。スラル国民で学校に行ってない人が仕事するためにはほぼ必須の物である。受ける条件は学校などといった施設で合計1ヶ月以上学ぶである。
「最低でも1ヶ月か~。まあ、面白そうだし行ってみようかな!」
ハクは賛成し、ハクの立場も固まってきた。
「それじゃあ、確認するね。ハクの登録名はハクラスで出身地はハルル諸島、親は不明。能力は大きさの調整がきく白い獣になる、炎を出して操る。私の船に乗った理由及び、入場する理由は、学校に行って基礎学力認定証を得るため、そして、大陸の常識を知るため。これでいい?」
「オッケー!!」
最後にカノンが確認し、ハクは承認した。
「皆さん、あっちが比較的に空いてきたので、そろそろ移動しますか?」
いつの間にか転移で関所を見てきた風丸がアルマス達に発言する。
ハクとカノンは魔獣から得られた素材、採取した薬草を集めて、アルマスにわたす。アルマスは素材を本に閉まってから本を閉じて、寝てるワルドを起こす。
「準備できましたか?、、、それじゃ行きます。」
風丸が合図し、アルマス達は森から消える。
魔獣の汚染された森の内、彼らがいた一帯からは完全に魔獣が消失した。