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聖剣の担い手探し  作者: かざむき
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0.プロローグ

初投稿ですがよろしくお願いします。


「ゲホッ!ガハッ!」


少年は突然の息苦しさに目が覚める。体は砂の上に横たわっている。砂を吸い込んで咳き込んだようだ。立ち上がり、辺りを見渡す。そこは前方に断崖絶壁がそびえ立つ砂浜であった。少し離れた所には巨大な洞窟が、後ろには彼と同じくらいの木片がある。


「すぅ~~、、は~~~」


彼は空を見上げながら息を吐いた。


「ここどこだよ」


こぼすように吐かれた言葉には哀愁が漂っている。彼は絶望からか、虚ろな目をしていた。

 彼の名はアルマス、船乗りである。船乗りといっても精々目に見える範囲を繋ぐ運び屋といったところである。数日前、彼は突然現れた大渦に巻き込まれ今に至るというわけだ。

 5分ほど立ち尽くした後、突然、彼は横へ跳んだ。直後、もといた場所には崖の上から高速で何かが飛来した。衝撃で彼は少し吹き飛ばされ、アルマスと飛来地点との距離は15mほどになっている。砂埃が舞い終わると、そこには4mほどの大猿が立っていた。


「いきなりかよ、ふざけんな!」


アルマスは自身の境遇に文句を言っている間に彼の左手の上には少し大きな本が出現していた。


「十頁、陣は自身に固定、対象俺、実体化」


「グウォォォ!!!」


大猿が雄叫びを上げこちらに迫ってくる。本は十頁が開かれており、彼の真下にはちょっとした魔法陣が刻まれている。


「身体強化、起動!」


なんとか、大猿の速度に対応できるまで体を強化し、大猿の横なぎを避け大猿から大きく距離をとる。大猿は砂埃が舞ったこともあり、アルマスを見失っていた。


「五十二頁、陣を空間に固定、範囲20、対象砂、実体化、武具製造(剣)、起動」


再び、本が開かれを彼を中心に半径20mにもなる魔法陣が現れた。魔法陣の範囲内にある砂は陣の中心に集まり、圧縮され剣の形へと変化していく。でき上がった砂の物体は"誰が見ても"剣と認識できる"ものであった。


「グウォォォ!!!、、スゥー、ゴバァ!」


 大猿は彼に気付き、口から火の玉を打ち出してきた。火の玉は人一人分程の大きさに膨張し、彼に迫る。彼は剣を握り、自ら火の玉に接近して、


「剣とは断つもの!この程度屁でもない!」


両断した。そして更に加速し、


「死ね!サル!!」


突然の反撃に一瞬の隙を見せた大猿は首を断たれ絶命した。

 息をつく暇もなくアルマスは剣を崖の上めがけて投擲した。剣が崖の上に刺さったと同時に剣は形を保てなくなり、爆発した。アルマスが剣の維持に当てていた魔力を全て絶ったため、砂を圧縮させていた力がなくなり、剣が膨張しようとしたためだ。

 これにより、アルマスは仲間を探しに来ていた大猿の群れの目をくらまし、とりあえず、巨大な洞窟に身を隠した。


「二十八頁、陣を空間に固定、範囲10、対象無差別、実体化、結界、起動」


アルマスが洞窟に入って最初に行ったことは、隠れるのに丁度良い大きさの行き止まりのある洞穴探しだった。運よく早々に見つけられたため、結界を発動させ、彼は自身の現状確認を行うのだった。


「現在の所持品は、魔法の本、大猿の肉一切れ、そこら辺で拾った鉱石のみ!これだけで生き残れる時間は約1週間程度!まともに動けるのは3日目までとみた!ということでどうしよう?」


アルマスは大猿を倒したことで少し、気分が高揚していた。とりあえず、1週間以上経っても満足に活動できることを目先の目標にすることにして、疲れているので寝ることにしたようだ。


 ちなみに、この世界において使えるかどうか置いておいて魔法、呪術などの存在はメジャーである。魔法、呪術とあるが人それぞれに引き起こせる現象は大きく異なり、二人以上の人が全く同じやり方で同じ現象を引き起こせることは在り得ないとまで言われているほどである。そのため、とある地域では自身の力に目覚める事無く死んでいく人の方が多いということもある。

 アルマスの本は彼が物心つく頃には呼び出せるようになっており、彼の場合はこれがそのような力であると考えられる。本には様々な知識や絵、魔法陣が書かれており、アルマス自身、絶賛解読中である。空白のページも大量にあり、物を収納した際は、そこに物の絵と解説らしきものが書かれているがアルマスには読めないものの方が多い。


 アルマスは5時間ほど眠ったあと、適当な鉱石を本にしまいながら洞窟を進んでいた。偶然かどうかはわからないが本に魔力補給できる鉱石がゴロゴロ転がっていたため、彼は自身の体には常に結界を纏わせ、身体強化をかけている。普段の彼なら、洞窟など怖くてたまらないところであるが、光る鉱石などがあり持って帰れたら高く売れそうだなどと考えているため、恐怖が紛れて、冷静?に探索を進められている。ちなみに最終目標はざっくりと人の住んでいる所にいくという形になった。


アルマスの今回の洞窟探索の意義は、主に以下の通りである。

・人の痕跡を探す

・自身に有用な鉱石、素材の採取

・何かやってみたかった!!


 三つ目は置いておくとして、一つ目は最終目標に到達するためには必須なことではあるが、彼はあまり期待していない。在ったらラッキーくらいの感覚である。二つ目についてであるが、正直これがメインである。先ほど手に入れた鉱石のように本との相性の良い素材は結構あったりする。また、ある程度の魔力を使えば、本に収納しているものを狙った方向へ飛ばせれることも先程わかったようだ。なので、できれば良い感じに弾丸になる物も欲しかったりする。今の彼は質の良い鉱石が採れて内心ウキウキであった。


 それから、しばらく洞窟を探索し続けて彼はあることに気が付いた。


「この洞窟には蝙蝠どころか虫の一匹も見かけねーな。どうなってんだこりゃ?」


彼はまだ洞窟に入ってから、生物の痕跡すら見つけていない。彼はなぜ何もいないのか疑問に思った。そして彼はこう思った。


「もしかして、この先にヤバい生物居ったりすんのか?もしくはまだできて間もないとか。ってうおぁ!!」


 突然、洞窟全体が揺れだした。所々で洞窟が崩れ始めていおり、その内、天井ごと降ってきそうである。鉱石も十分採取した彼はさっさと脱出しようと出口へ向かおうとすると、


ベキベキ、、、バキャ! 

       ドグアァァァァン!!!


後ろ轟音が鳴り響き、後ろから日の光が差した。洞窟の天井の一部が落ちたようだ。崩れた岩石はまるでここから登れと言わんばかりに階段の様になっている。階段を登っていると何かが自身に取り付いたかのような気がした。

 洞窟から出た先は森であった。一度森に入ると方向感覚を失って二度とここ森から出られないような気がした。しかし、それでも、森を通ってでも、どこかへ行かなければいけないと彼は思った。


 こっちで合っているという根拠のない自信が湧いてくる。進むたびに自分が自分じゃなくなっていく気がする。まるでこの世全てを観ている気がする。アルマスという自我が消えそうになった時、突然、視界が開けた。森を抜けたのだ。視界に広がる大きな湖。湖の周りには花畑が広がっている。穢れが、罪が何一つとして存在しない希望と愛、そして勇気に満ちた綺麗な世界。私の後ろに森はもうない。世界が変わったようだ。


 私は花畑を歩いて湖の前に立つ。左手には本が、右手にはいつの間に杖が握られている。本には知らない頁が開かれていた。そこには、剣が描かれていた。何と書いてあるかは分からない。何をすればいいかは分からない。しかし、どうすればいいかは思い出した。材料はある。後は私が混ぜるだけだ。


「陣を空間に固定、範囲はこの世界、対象は私以外、実体化」


湖を中心に巨大な魔方陣が現れる。果ては見えない。そして、


「刀剣鍛造、起動!」


湖を中心として世界の全てがそこに集った。そして、世界に閃光が走る。


気が付くとそこは元の森の中、私の目の前には鞘に納められた剣が置かれていた。私は運び屋として仕事を受けることにした。

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