第八話 ネズミの知恵 人類の……
ネズミの実験の話から
ネズミが一匹居ました
罠に かかりました
そのネズミの一生は そこまで
しかし、仲間が居れば、どういうことが起こるかというと、仲間が助けてくれることがある。
これには、幾つものポイントがありまして、まず、共感が働くと云うことですね。はじめは、罠にかかっていないネズミもパニックになるそうですが、落ち着きを取り戻すと、仲間を救出しようとする。知恵を使う。
一匹なら、罠にかかればそれで終わりですし、罠にかからなければ、罠を外す工夫もしない。ところが、仲間と居ると、ふだん使わない能力が発揮される。
以上は、たぶん神経とか心理学の研究者の話。
別のところで、脳科学者が「誰かのためにやれば、自分の持ってる力以上のものが発揮される」と云ってたと記憶してますが、合致しますね。
以下は、実験ではなく現実の話……
(※戦場での出来事です。作り話、プロパガンダの可能性があることなので、判断は各自でなさってください)
甲部隊が民間人を救出しました。
若いお母さんと男の子でした。
感謝されてハグして見送りました。
すると、銃声が聞こえて
母親が倒れました
背中に銃弾が当たるのが見えました
甲部隊の兵士たちは
大声で男の子に 走れ! と叫びました
しかし、お母さんを置き去りにして
駆け出すには男の子は小さすぎました
また 銃声が響き
男の子も倒れました
乙部隊の狙撃手の腕は確かでしたが
二発目を撃ったことで
甲部隊の兵士たちに居場所を知られました
甲部隊の兵士たちは
その建物にまっしぐらに押し寄せました
甲部隊の兵士たちは歴戦の強者で
普通ならそんな無謀なことはしないのですが
絶対に、許せないと思ったからです
案の定、建物に潜伏していた乙部隊の攻撃を受け
犠牲者が出ました
建物に突入すると、さらに犠牲者が増えました
しかし、そこにいた者たちを殲滅しました
戦争に狂気はつきものです
さらに その狂気の中には
特殊な薬による作られた狂気もあるようです
常識の通用しない世界ではあります
しかし、母子を殺す狂気と
残虐な敵に突入していく狂気は
同じだとは思えません
これは実験ではありませんが、何も学ばなければ辛すぎます
このケースに共感はもありますか?
甲部隊の兵士たちは
母子の悲しみに共感したのだと思います
そこはわかりやすい
では、乙部隊の狙撃手はどうか?
狙撃手に復讐の気持ちがあったのなら
同胞の犠牲者への共感があったことになります
また 直接、甲部隊を狙撃せずに
母子を狙うことで
甲部隊を感情的にさせる意図があったのなら
共感を逆手に取ったことになります
共感があったけれど悪用したのかもしれない
人間の営みは かなり複雑です
甲部隊は、戦場慣れしていて
戦場での道徳や正義をわきまえているのかもしれません
それに比べて、
乙部隊の狙撃手ははじめての戦争で、
やり返すため、勝つためなら何をしてもいいと
思ったのかも知れません
しかし、それにしても
この出来事から何を学べるのでしょう?
甲部隊は、酷いことをした敵軍に鉄槌を下すことには成功しましたが、少なくとも二人以上は亡くなっています。
また、母子二人のために、あるいは正義のために、誰かを殺すというのも、理想的な選択ではなかったように思います。
乙部隊は、甲部隊を二人以上倒しましたが、民間人を二人犠牲にして全滅しました。
だから、戦争はやっちゃいけなんだ!
それはそう
ただ、挑発も勘定に入れないと
ずるいイジメが正当化される
判断を多数決で決めると
少数派にとって それは暴力と
感じられるんじゃないですかね
ともかく 戦争をする人類が
ネズミのことを調べている
賢いなあ とか云ってる
賢いなあ お前たちは
うらやましくて涙が出てくる……
ありがとうございました。戦争、収束しますように。拡大しませんように。