三人目:南二城 岩尾(なにしろ いわを)
「どうも。あなたが南二城 岩尾さんですね?」
「それがどうした?」
「ああ、いえ。ただの確認です」
「俺は気分がすぐれない。面倒な会話は遠慮させてもらいたい」
「それは大変ですね。ご飯はちゃんと食べてます?」
「あのやけに硬いパンと泥水みたいなスープのことか? それなら食ったが」
「ここのスープってそんなにマズいんですか?」
「あんなもの人間の食うもんじゃない。パンなんて溶かしたらドロドロの糞だ。鼻をつまんでも流し込むだけで精一杯。あ~思い出したらまた吐き気が……」
「マジですか。デザートも無しですか?」
「ああ。どうせならもう少し気を利かせて欲しいもんだ」
「僕もこれからそれを食べなきゃいけないんですね。気が重いです」
「せいぜい慣れるように頑張ることだ。俺には無理だが」
「ここのお食事がお嫌いなんですね」
「嫌いというか、合わないだけだな……ちょっと横になってもいいか?」
「あ、どうぞ。お大事に」
「明日のメシはいらないと看守に言っておいてくれ」
「伝言ですか?」
「ああ。俺の代わりに食っていい。そう伝えてくれるか?」
「はぁ分かりました。最後に一つお聞きしても?」
「なんだ?」
「脱獄についてどう思います?」
「くだらんな」