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脱獄王の計略  作者: 青空
2/6

一人目:郷田 啄夫(ごうだ つくお)

「どうも。お世話になります」


「あん? 新入りか?」


「あ、はい。今日来たばかりなんです」


「そりゃ災難だったな。俺は郷田 啄夫ってんだ。こんな最果ての監獄に飛ばされるなんて、おめぇ人生の終わりだぜ」


「アハハ……まあ周りは完全に海に囲まれてますからね、この島。脱獄不可能な死刑囚の最終収容所って話ですし……」


「脱獄? んなもんムリムリ。そんなこと考える奴はただのバカか、とち狂ったイカレバカだけだぜ。ま、こんな絶海の孤島に送られる奴なんか、どうせはなっからロクなもんじゃねぇけどな。ガハハッ! おめぇもそう思うだろ?」


「えっと……」


「んで? おめぇはどうしてここに飛ばされたんだ?」


「さぁなんででしょうね」


「おいおい。もったいぶらずに教えろよ。どうせ上司をったとかそんなもんだろ? もしかして、シャブったのか?」


「まあ、当たらずとも遠からずって感じですかね。あ、シャブってはいないです……」


「まあここに来るのは大体そんな奴らだ。人生の墓場なんだよ。ここは。せいぜい楽しもうや」


「郷田さんはどうしてここに?」


「おっ! 聞きてぇのか?」


「は、はい」


「俺は史上初! 十億円を盗んだ銀行強盗なんだぜ!!」


「す、凄いですね!」


「へっ! こんなワル、そうはいねぇぜ。どうやったのか聞きてぇだろ? おい」


「あ、はい! ぜひ聞かせてください」


「まずよぉ~バカでっけー銀行の、三つ隣の家を買ったんだ。ちっせぇボロ屋だったが、そこに二年間も住んでな。銀行の間取りと従業員の行動を全て把握したわけよ」


「なるほど。段取りは大事ですもんね。それからどうしたんですか?」


「地下を掘り進めて、家と銀行を繋ぐんだ。張り巡らされた水道管を避けながらっつーのがかなり大変でな。たった五百メートル掘るのに一年もかかっちまった」


「よくバレなかったですね」


「下にも結構掘ったからな。あとは人がいない時間帯を狙って侵入。床をぶち抜いて金を運び出すだけだ」


「あれ? でも、監視カメラとか警報器は作動してますよね?」


「いんや。その銀行もここと一緒で、かなり年季のはいった建物でな。そんなまともな防犯設備なんてほとんどなかったぜ」


「はぇ~そうなんですか。ちなみにここの床は掘れそうですか?」


「あ~それはちっと厳しい気がするぜ。壁も床もコンクリートで固められてるっぽいしな。それに、掘ろうにも道具がねぇ。さすがに木製のフォークじゃこいつは掘れねぇだろ?」


「あ~確かにそうですよね」

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