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異世界に転生しましたが取り得が何も無かったので、とりあえずあがくことにしました。  作者: こがゆー
第0章~プロローグというにはあまりにもお粗末なプロローグ~
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第4話

ストーリーの都合上、一部設定を変更しました。


 乳飲み子として両親、乳母に甘えること1年。ぽやっとしているうちに時間がたってしまった。魔力を感じてみたり、なんかすごい感じのものをやってみたりしたかったんだけど、所詮は赤子。ついつい眠くなり、気付けば朝、ということもざらにあった。精々将来に思いを馳せるぐらいしかやることが.......いや、待った。一つだけ進捗があった。


 なんと、俺、識字と拙い会話が出来るようになりました。


 きっかけは半年前。お付きのメイドのアンリさんが絵本の読み聞かせをしてくれた時のこと。何もできず八方塞がりだった俺の中に衝撃が走った。「これだ」と感じたのである。

 人間、無から何かを生み出すというのはそう容易いことじゃない。それに比べ、一を十にするのは容易だ。つまり、分かりもしない魔法をあれこれ試すより、読み聞かせの時に食い入るように文字を見つめ、アンリさんが言っていることを真似した方が良いのではないかと思ったわけだ。これから何を学ぶにしても、言葉を知っておくことはとても大切である。幸い、生まれた時から皆が話している言葉を聞いており、意味は半分ぐらい分かるようになっていたから言語獲得のスタート地点はかなり優位である。


 ということで、その日から俺は絵本の読み聞かせをねだり、読みと発音の練習を繰り返す日々を過ごすことにした。


 後から聞いた話だが、アンリさんは当時大人しかった俺に正直....飽き飽きしていたという。どうやら色々と世話を焼きたかったらしい。そこで色々と考えた末に絵本の読み聞かせという結論に至った。

「正直、そこまで坊ちゃんが絵本に夢中になってくれるとは思いもしませんでした」

とはアンリさんの談。

あまりにも俺の食いつきが良かったものだから、家にある本を片っ端から読んで聞かせてくれたんだとか。どうりで理解出来ないお話があると思った......



さて、文字が読めて喋れるようになったとはいえ未だ一歳児。意味が分からない言葉も多いし呂律もあまり回らないのは誠に遺憾である。どうやら俺の言葉を理解してくれているのは俺に付きっきりのアンリさんだけのようで、乳母殿も母上もニコニコ頷くのみ。はて、どうしたものか。まあ意思疎通が出来る相手がいるだけで僥倖ではあるが、少々物寂しさを覚える。




 最近気付いたのだが、俺、父親にも兄弟にもまだ会ったことない気がする。アンリさんにその話をしたら、出産には立ち会っていたという。まああの時は気が動転していたから全く覚えていない訳で、言われてみれば確かに当時男の人の声が聞こえてきた気がする。

 んで、そのパパ上と兄上達はというと、なんと現在諸国漫遊中。我が家エスニア家に代々伝わる一大イベントらしい。色々な事を叩き込まれる前に世界の広さを思い知れ、という意図で行われるらしく、自分のちっぽけさを痛感した上で商会に貢献していってほしいという、初代からの願いが形になったのがこの旅なんだとか。

「おうおいいあい(僕も行きたい)」

とアンリさんに言ったら、

「坊ちゃまはまだお若いですから.....それに三男だからそんなに重荷を背負わなくても良いのですよ?」

とやんわりと言われた。

 どうやら次男も連れていくのは、長男に万が一があった場合を想定しての.....ということらしい。うむ、中々に世知辛い話である。




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