星の王と十二宮の魔法使い
光徒歴程(原典)第一章第二項『igaru ir asterize』より
鳥の骸から飛び散った青い炎の多くは、地上にも降り注ぎました。
青い炎は光によって焼け死んだ人々の魂と結びつき、星の力を持った子どもたちがたくさん生まれました。
しかし、星の力は強大で、子どもたちは力に囚われるようになりました。
一番強いのは誰か。
この世界を支配するのは誰か。
やがてアストロロジカ全土で星たちの争いが起きました。
星の子たちの争いは数百年と続き、多くが死にました。
星の王が誕生し、世界が落ち着きを取り戻した頃。
死んだ星の子の身体から、黒い炎が溢れ出しました。
……痛い、……苦しい、……悔しい、……悲しい、……憎い。
黒い炎は瞬く間にアストロロジカを包み込み、世界を再び暗闇に堕とそうとしました。
星の王のもとに、十二宮の魔法使いが集められました。
彼らは戦争を勝ち抜き、イガルの加護を得た優秀な星の子です。
星の王は、十二宮の魔法使いにこう命じました。
「黒い炎を鎮め、封印せよ。」
十二宮の魔法使いはこれを受け、七日間の戦争の後、光の輪を設けました。
光の輪はアストロロジカの周囲を取り巻き、黒い炎を下半球に追い遣りました。
魔法使いたちは各地を巡り、残党を倒し、星の民に平和と希望を与えました。
この働きを褒め称え、星の王は彼らに地位と栄誉を授けました。
十二宮の魔法使いは王に忠誠を誓い、各地の平和を守りながら、世界の有様を記録する役目を負いました。
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テオフィルスの王は、この星の王の子孫とされています。
十二宮の魔法使いは、現在の十二宮の礎となった存在です。引継ぎは世襲であったり禅譲であったり、その宮によって異なります。
光の輪とは、カイパーベルトまたはロジカの環と呼ばれ、アストロロジカの環として存在しています。
黒い炎はネガルと呼ばれ、星の民から忌み嫌われています。
ネガルは死んだ星、つまりロストが放出するものです。
現在、人々はネガルの脅威を忘れ、平和を享受するようになりました。
故に下半球は忘却の領域と呼ばれ、ロストや死者、失われた者が住む所とされています。