誇り高き猛り火の獅子
光徒歴程(原典)第七章第五節『Ras lug-ned』より
誇り高き者の物語
誇り高き者 ラス・ルグネドの伝承
覇者は煌々と誇り高く
その背に一切の逃げ傷なし
燃える鬣 歴戦の目
大嵐の如く戦場を駆り
猛り火は闇を屠る
覇者は煌々と誇り高く
その背に続く星の子の夢
鋭い歯牙 歴戦の爪
大嵐の如く戦場を駆り
猛り火は闇を裂く
猛り火の青 星の輝きを讃えて
宵刻の闇の中で 閃光のように駆ける
それはまるで鳥のように
天幕に穴を開けるように
鬣は翼 光を抱く生命の象徴なれば
魂は指針 我らを導く王の化身である
ラス・ルグネドは青き炎の鬣を持つ獅子であり、その驚異的な強さと、どんな逆境においても絶対に退かない意志の強さから、ロストはおろか味方である星の子らすら恐れ慄いたとされています。
彼には元々名前がなく、ラス・ルグネドという名は星の王や聖獣、星の子らが与えた名前であると伝えられています。
【未来を約束する偉大なる獅子】
彼は元々、聖獣ではありませんでした。名もなき頃の彼は幼い頃から流浪の戦士として、たった一体で世界中を旅しておりました。カルパティア山脈を越え、夢の湖に訪れた際、彼は黒い炎に襲われている魔羯宮と星の子らを助けました。大いに感謝した磨羯宮は、彼に歌と『Ras』という呼び名を贈与しました。『Ras』は魔羯宮と星の子らが親しみを込めて付けた、未来という意味を持つ言葉です。彼らは名もなき獅子の圧倒的な強さと凛とした佇まいに、安寧を導く光を見出していました。
また、その功績を讃えて宝瓶宮が贈ったとされる『lug』は偉大さを示す言葉であり、金牛宮らが贈った愛称『ned』と合わせ、星の子らを栄光ある未来へと導くように、という想いを背負いました。
ラス・ルグネドは白羊宮との力比べで三日三晩死闘を繰り広げた後、星の王によって聖獣として認められました。そして、青き炎の加護によって常に煌々と燃える青い鬣を得たのです。
星の子戦争では無類の強者として戦場を暴れまわり、星の子戦争七日目の宵刻では、エラトステネス北部氷の海でその力を奮い、吹雪の中炎を絶やさずに立ち回ったことから“猛り火”という異名を得ました。光が一切無い宵刻でありながら、彼の周囲はまるで空の大穴から降り注ぐ光のように眩しく、半身が凍りながらも戦うことをやめなかったと伝えられています。それは、今までに出会った子らの希望や願いを背負った、『ラス・ルグネド』の意志の表れでした。名もなき獅子は孤高でありながら幾千の意志と共に戦い、エラトステネス北部氷の海にて勝利を収めたのです。
その後、遠い異国の地で、磨羯宮と星の子らは星の子戦争におけるラス・ルグネドの戦いを伝え聞き、その功績を讃えて数々の歌を残しました。
鬣は翼 光を抱く生命の象徴なれば
魂は指針 我らを導く王の化身である
彼らはラス・ルグネドを星の王の化身として敬愛し、彼が亡き後、今でもラングレヌスの夢の湖近辺の村々では、星の子らの子孫たちがその伝承を語り継いでいます。