序文
光徒歴程(原典)序文『si am ee』より
__創星の頃の記憶より、この世界の理を説く。
声が聞こえる。さんざめく星々の声が。
空間を耕し、そこに話の種を蒔く。
種は芽吹き、成長し、花を咲かせ、実を結ぶ。
それを三叉の足で収穫する。
神の名歌うこと禁ず。
神の名騙ること禁ず。
神の姿象るを禁ず。
ただ運命を享受せよ、見えざる手の導きのままに。
ただ生を謳歌せよ、見えざる手の導きのままに。
その手に逆らうを禁ず。
其は摂理にして機構。
種を蒔き育む者。
声が聞こえる。さんざめく星々の声が。
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ある考古学者は憶測を語る。この惑星は暗い宇宙の果てで、約二十万年前に生まれたのだと。しかし、どのようにして形成され、どのようにして生命が芽生えるに至ったのか、その科学的メカニズムを解くには至れず、歴史を語るには、未だ伝承と信仰に頼る他はない。
見えざる手、すなわち名もなき神が蒔く「種」とは、我々のような生物、ないしは物語である。この序文に登場する見えざる手の存在は、無神教であるアストロロジカでは、その名を知らぬまま、偶像を造ることもなく、ただ言語によってのみ綿々と語り継がれている。
三叉の足が収穫するは物語。すなわち死をもたらす者として、見えざる手と同様に語り継がれている。しかし、三叉の足は神ではないとされ、しばしば三本足のカラスのような姿で描かれる。イガルを信仰する者たちは三本足のカラスを畏怖し、丁重に祀っている。
三叉の足は神と民の間を取り持つ使いであった。一億の時が経った折、民が紡いだ物語を収穫し、新たな種を蒔くための供物として神に送り届ける約束をしていたのである。時に罪人を刈り取り、間引きながら、約束の時を待っていたのだ。
……その収穫の時を早めたのは誰か。
……約束を打ち砕いたのは誰か。
……摂理を壊したのは誰か。
……均衡を崩したのは誰か。
si am ee , Noe to fifias asteriaz m si.
ceg , daz mer fiass neim ……