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“聖剣”はポニーテールと共に  作者: 飛鳥
二章〜少年期
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二章4〜“王都ゼレーネ”

 こんにちは!

 本日もガタガタと馬車に揺られてお尻が痛いのです。

 二度目の人生2回目の馬車ですが乗り心地はお世辞にも良いとは言えません。

 三半規管が弱い人なんて5分も持たずにトイレに駆け込むと断言出来るレベルです、なんなら昨日私は非常に気持ち悪かったです。

 前世の車が如何に偉大か、しみじみと感じます。特にタイヤと道路!

 街道と言えど砂利道じゃねぇの?と疑いたくなります。

 やけに愚痴っぽいのは風景にも飽きたからで、2度目故か昨日より気分はマシなのでした…。



 そんなふざけた事を考えていると、窓から外を見たクリスが嬉しそうに俺の肩を叩いてくる。


「ほらレオ!見て」


 クリスがこの瞬間を待っていましたと言わんばかりに、窓の外を見るように促す。


「なんですか?…うぉぉ…おぉぉぉ‼︎」


 高く聳え立つ城壁。

 来るものに圧迫感を与え、その国の大きさを、強さを見せつけるように立ち並ぶ壁。

 そしてその壁の奥から覗かせる天に向かって真っ直ぐ伸びる城は威圧や恐怖といった印象の中から、煌びやかな美しさを感じさせる。

 俺はただただその大きさに圧倒された。

 この国の城壁は世界一高く世界一堅いらしい。

 そして最も人口の多い都市でもある。


「レオリス様、危ないので中へ」


 身を乗り出して王都ゼレーネの外からの景色を堪能する俺を、御者台からリドルフが注意する、そらそうだ。

 冷静に考えれば俺は窓から上半身を乗り出して外を眺めていたのだから危険極まりない。

 隣にいてそう思わないクリスさんは流石である。

 俺は大人しく戻るとしよう、年甲斐もなくはしゃいでしまった。


 徐々に近づいてくる王都を見ていると、ワクワクしてきた。

 やはりファンタジー感が強くなると俺も心踊る。

 前世ではやはり城なんて見たことないしな、そもそも雲の上を通る飛行機があるのに城壁なんて無意味だしな。




 大人しく座って少し待つと馬車が止まったのがわかった。

 外を見ると城門の前まですでに到達していた。

 真下から見上げるこの壁は、威圧感が凄まじかった。

 これを攻めろと言われたら絶望するね、うん。

 城門の前にはお約束の門番の皆様。

 どいつもこいつも白と青を基調とした西洋風の甲冑姿で、兜のお陰で目と鼻と口しか出てない。

 目出し帽なんかよりマシだろうが、こんな連中が夜な夜なうろついていたら迷わず110番だ。


 そうやって眺めていると、リドルフが門番と話をしている。

 馬車の家紋に気付いた者達が俺達に羨望の眼差しを向けてきているのがわかった。

 気持ちはアイドル気分だが絶対に俺に向けた視線ではないので調子に乗らない。

 クリスやドレイクに向けてのものだろう。

 ドレイクは意に返さない愛想の無い天狗アイドル。

 クリスは視線が少し恥ずかしいと、下を向いている。街中でテレビレポートされた女子大生って感じだ。



 入国手続きを済ませたリドルフが御者台に上がって再び移動開始した。

 門を潜るとそこには西洋風の街並みが広がっていた。

 奥に見える城を中心に広がる街は、大まかに3つに分けられている。

 中心は勿論城であり、城を囲むように少し高い程度の城壁がある。

 その周りを時計回りにエリアが広がり、一番街二番街と続き、十二番街まで存在する。

 通りは馬車の往来が多く、橋には人間だけでなくドワーフや獣族もよく見かける、特にドワーフは多い。


 ゆっくりと街を見て回りたいが、残念なことに今回は目的が存在する。

 なので真っ直ぐ一番街の貴族居住区へと向かっていく。





 ✴︎✴︎✴︎



 一般区域を抜けるとまた検問にあった。

 恐らく貴族などの区画へ入るのだろう。

 家紋を含め、入国の時に預かった許可証をリドルフが見せ、衛兵が馬車の中を確認する。


「クリスじゃないか!久しぶり!」

「えっっ!……えっ…と…誰?」


 中をを確認した衛兵がドレイクに一礼したのちにクリスに気付いたのか、クリスを見て呼びかける。

 それに驚くクリスだが、クリスは相手を誰か認識出来ていないらしい。


「あ、あぁ…これか…」


 その反応を見て気付いたのか衛兵の男…茶髪の爽やかな男が兜を外して苦笑いする。


「アルフ!久しぶりー!」


 それを見てようやく相手を認識したクリスの声色が一気に元気になる。

 さっき相手の男は少し寂しそうな顔をした気がする。

 一方的に覚えてるのかと不安に思ったんだろうか。


「そうか、そう言えば君はアストラル家に嫁いだんだったね!」


 茶髪のアルフと呼ばれる男は、馬車の家紋を見てから何か思い出したように口にする。

 やっぱり嫁いできたようだ。

 以前の俺の考えは当たっているのかもしれないな。


「そうだよ、この子か私の子のレオ」

「レオリス・アストラルです」

「アルフリード・エルネスだ、よろしくね」


 俺は紹介された通りに車内の為、軽く会釈しながら胸に手を当て貴族風に自己紹介をする。


「失礼、旧交を温められるのは結構ですが、少々急ぎ故、後にして頂いて宜しいですかな?」


 そこにリドルフが割って入る。

 確かにこのままだとお祖父様がいつかキレそうだ。


「あ、失礼致しました、どうぞお通り下さい」


 慌てて馬車から離れると、一礼して合図する。

 仕切りになっている小さな門がすぐに開く。


「落ち着いたらまた話しに行くね?」

「ああ、基本的には隣の四番街にいるならそこに訪ねてくれたら」

「わかった!またね」


 クリスが馬車から身を乗り出すように挨拶を済ませる。

 もう夕暮れ…確かにダラダラと続ける訳にはいかないな。

 アルフリードと別れてからしばらくして、王都ゼレーネにあるアストラル邸に到着した。




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ここまで読んで頂きありがとうございます。 稚拙な文章ストーリーではありますが、 気に入って頂いた方は 『感想』『評価』『ブックマーク』『レビュー』 して頂けると嬉しいです。
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