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“聖剣”はポニーテールと共に  作者: 飛鳥
一章〜幼年期
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一章9〜“力を込めると出てくるソレ”

 

 ドレイクの教えはクリスに比べて遥かに厳しい。


 少しの気の緩みが見えると剣を弾き飛ばされたり、足を崩されて転ばされたりと、怪我らしい怪我こそ無いものの、擦り傷なんてのは当たり前である。


 クリスが基礎からゆっくり馴染ませるように教えてくれているのだとすれば、ドレイクは身体に無理矢理染み込ませるといえばいいのだろうか…。

 勿論思惑はあるのだろうが、5歳の子供には厳しいのではないかと思わなくもない。まぁそれは前世の価値観であり、この世界の価値観と同じとは限らないので、これくらい当たり前なのかも知れないが……。




 しかし確かに厳しく大変であっても、学ぶ事は多い。

 指摘も非常に細かいこともあって理解に時間が掛かることもあるが、よく見てくれていると思うことも多々ある!

 クリスが基礎的な事を教えてくれているとすれば、ドレイクはそれに比べて少し実践的といったところか。




 そうやって剣の修行を頑張っている最中に、魔法に進展があった。





✴︎✴︎✴︎




 魔法の訓練段階として、第一にマナを感じる事。

 これはミリターナに触れてもらい、マナ流し込んでもらってマナを感じ取るといったものだった。

 これは案外早い段階でクリアできた!何かあったかいだとかそういうフワフワした感覚がズレてはいなかったと、それがしっかりと感じ取れるようになれた。


 第二段階はマナの流れを感じる事、これも同じくマナを送り込んでもらい、そしてそこからマナがどう流れているのかを感じ取り、そして当てるというクイズのようなに訓練する。

 右から左なのか、逆なのか、それともそもそも止めてみたりと色々操作しながら俺の感覚を磨いていく。

 これも案外早くクリアすることが出来た。

 この段階までは合わせて1年くらいで会得出来たが、その次の段階に苦労していた。


 第三段階は放出である。

 暇な時に自主トレも含めて、自分の中のマナを感じ取れる感覚も、そしてそのマナの流れというものも感じ取れるようにもなり、それを磨いてきた!

 魔法の訓練は狭くても暗くても道具が無くても、己の身1つあればそれなりにやれるので、暇な時は色々やってみたりしたものだが…。

 何を隠そうこの訓練はつまりマナの操作方法を学ぶということであり、その初期段階として放出しているのだが、これがまた難しい。


 まず大切なのはイメージだと、魔法な限ったことでは無いが手先の感覚というのは非常に敏感で優秀である。

 なのでまずは指先からマナを放出するイメージを浮かべ、それを己に当て嵌めていくのだと。

 ミリターナとの訓練時間の時にはミリターナのマナで流れを作って感覚を掴めるように協力してくれる。


 こればっかりはなかなか上手くいかなかったのだが、ある日の風呂での出来事…。




 この世界にも風呂は存在する。

 前世の世界のようにシャワーがないが、お湯の出る蛇口とホースみたいなものがあるので、シャワーとまで便利とはいかないものの、不便はない…見栄えがあまり良くない気がするのは俺が文明世界の記憶があるからだと思うし…。


 俺としては風呂の文化あることだけでも感謝したい。

 日本人の俺としてはやはり風呂があるとないとでは、肉体的にも精神的にも大きく違う!

 体の芯から温まり、そして癒す風呂は毎日の激しい修行の疲れを取るには欠かせないのである!




 それなりの屋敷故に、風呂も広い。

 この屋敷に住む男性は俺を含め3人、3人同時に入ることなんてまずないが、3人で入っても余裕があるだろう、まぁ大浴場とは言わないが、小さな銭湯くらいの規模である。

 なんにしろ手足を伸ばせるというのは素晴らしい事である。


 今日もシャワー?で汗を流してから湯船に入って疲れを癒している中、少し暇潰しに魔法の練習をしてみたりする。

 お湯の中で指一本立て、そしてマナを放出するイメージを浮かべる。


 指先に集中している中、変に力が入った感覚があった……。




 何が触れているのかわからない程度の曖昧な何かが、お尻から腰を擦り、そして背中通過して浮かび上がっていく。

 湯の底から空気が浮かんで破裂し、そして絶妙な臭さがひろがる…。


「…くっせっ…」


 思わず独り言が漏れる中、何となく…そう何となく閃いた気がした。

 思い出すのは先ほどの背中を掠るような感覚…ではなくそれより前。

 変に力が入って、そしてそれが体内から飛び出していく感覚を…思い出した。


「いける…気がする!!」


 俺は思わず立ち上がると、人差し指と親指だけを立てて他の指は握る…形のイメージはもちろんピストルである。

 人差し指の指先を湯船の表面に当て、そして集中する。

 指先から何かが吹き出るような、そんな感覚を感じた…、同時に水面に当てた指先を中心に不自然な小さな波の波紋が広がる。


 確信した……忘れないようにすぐにその指先を逆の掌に当て、同じように力を込める。

 マナの質なのか量なのか、それとも技量やらなんやらの関係があるのかはわからないが、ミリターナにしてもらった感覚とは違う。

 だが、その感覚は確かに何度も付き合って貰ったマナの流れる感覚だった!


 俺は魔法の基礎、マナ操作の基礎である放出を会得した。

 だが、その会得したきっかけを俺は誰かに言うことはないかも知れない。


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ここまで読んで頂きありがとうございます。 稚拙な文章ストーリーではありますが、 気に入って頂いた方は 『感想』『評価』『ブックマーク』『レビュー』 して頂けると嬉しいです。
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