第5話
シリカから依頼を受けそのまま東の草原に行く、なんてことはなく市場をまだ散策していた。……装備も整ってないのになぜ依頼を自分を受けてしまったのだろう。ふと自分の今のステータスを見てみる。
PN:ロビンフッド
JOB:弓師lv1
subj:なし
20,000ゼニー
HP(体力):100
MP(魔力):100
STR(筋力):25
DEX(器用):15
AGI(敏捷):15
VIT(耐久力):5
LUC(幸運):20
スキル
・ラピッドショット
・気配感知
装備
左右:初心者の弓
頭:無し(アバター:微笑の仮面)
胴:無し
腰:無し
足:無し
アクセサリー:初心者の外套
どうやらこのゲームのステータスは体力と魔力は固定でそれ以外はランダムで決まっているらしい。ネットの情報だと最低値が5で最高値は30であるようだ。………なんだかとても悲惨なステータスである。最低値があるのに最高値が一つもないところとか。
とりあえず耐久が著しく低いので回復薬を多目に買っておく。それと近接戦になったときのための手段としてナイフも買っておく。矢もいくつか買い足しして、一応準備は整ったのでそのまま東の草原へと向かった。
『最初の町』から出てしばらくすると広い草原に出た。背の低い草が生い茂っており、見張らしはとてもよく爽やかな風が吹いていた。
少し離れた所では剣士だろうプレイヤーが三匹のゴブリンに囲まれリンチされて死亡していた。右を見れば魔法使いだろうと思われるローブの人が火魔法を放ってゴブリンを燃やしていた。………そのあと草で火が燃え上がって燃焼ダメージで死んでいたが。
とりあえず周りを見渡してもウサギの姿は全く見えず、いるのは醜い争いを続けるゴブリンと初心者であろうプレイヤーの群れであった。………ウサギってどこにいるの?
それからしばらくウサギを探しながら草原を走りまわっていた。しかしゴブリンは嫌というほど見つけることができたにも関わらず、ウサギはその影すら掴むことができない。……とりあえずウサギは後にしてゴブリンを倒して経験値稼ごう。戦闘やっているうちに見つけるだろう………さすがに複数相手にするのは不安なので単身でいるゴブリンを探していくか。
……いた。しばらく歩くとゴブリンが草むらでしゃがんでいるのを発見した。ちょうどよく背中をこちらに向けている。距離は20mというところだろうか。注意がこちらに向いていないうちに矢をつがえ、弓を引き絞り、狙い、うつ。矢はまっすぐ飛んで行き、ゴブリンの5m手前に着弾した。………なんというか思ったよりも射程が短い。
ゴブリンはその音でこちらに気付き、地面に置いてあったのか棍棒を掴みあげると、こちらに向かって走りよってきた。こちらも近づけまいと矢を放つが、矢が途中で曲がっていったり検討違いのほうにいったりと思ったように射ることができなかった。
そうこうしているうちにゴブリンが目の前まで迫ってきたのでナイフを構える。ゴブリンは近くで見ると思ったよりも小さかった。身の丈はおよそ70㎝というところだろうか。着ているのは腰に巻いた汚い布切れだけで手には棍棒を持つ蛮族である。その姿はイメージに浮かんだ通りのゴブリンという感じだ。
また攻撃も棍棒を振り回すだけと、身長と相俟ってリーチが短いため避けるのは無理に接近したりしない限り簡単だった。しかしそのあとが続かない。やたらめったらに棍棒を振り続けるために近づいてナイフで切るということができないのだ。
もし切りつけようとしたら必ず棍棒に当たってしまうだろう。………紙耐久だしなるべく当たりたくはない。どうしようかと避け続けているとゴブリンは草に隠れた石につまづいたのか転ぶ。そしてゴブリンの後頭部に振り回していた勢いのままに宙に投げ出された棍棒が当たった。ゴブリンは勢いよく倒れ、体力が尽きたのかそのままポリゴン状になって弾けとんだ。
…………なんだか初戦闘がとても絞まらない感じで終わってしまった。