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ある男のVRMMO  作者: 野良の芋
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第2話

「はぁ、やっと撮り終わったわ。もうリテイク何回目だよ」


俺、平野(ひらの)和也(かずや)はヘッドギアを外しながらため息をつく。ずっと同じ姿勢でいたためか、肩を軽く動かす度にバキバキと不健康な音が聞こえてくる。


軽く伸びをすると、手近に置いておいた水を一気に飲む。そしてパソコンとヘッドギアをコードで繋ぎ、ヘッドギア内の録画データをパソコンに移動させていく。だが思ったよりも録画データが多かったのかパソコンが熱くなり、パソコン内のファンが大きな音をたてる。


「うわぁ、結構録画時間が長かったんやなぁ。まぁ最後の魔王戦のところ結構撮り直ししていたからなぁ………取り敢えず使わないデータ消して容量をちょっとだけでも軽くしていこうか」


パソコンのファンが激しく回る音とキーボードを叩く音が九畳ほどの部屋に響き渡る。データの移動が終わると次は編集作業をしていく。流れる汗でシャツが肌に張り付く。額に流れる汗を拭いながら編集作業を続けていく。


「んにゃぴ。やっと編集終了!あとは投稿するだけやー」


大手動画投稿サイトに動画をアップロードしていく。全部で70パートほどになったので1日ずつ予約投稿することで約2ヶ月分の投稿になる。全てアップロードされ予約投稿もできたことをしっかり確認するとどっと身体の奥から疲れを感じてきた。


機械の熱で蒸し暑くなった部屋をどうにかするために、ふらふらと立ち上がり窓を全開にする。窓からは部屋よりは比較的涼しい空気が流れ込み、熱を室外へと流していった。


「……腹減った」


手近に置いてある携帯食料をもそもそと食べる。残りはスポーツ飲料でのどの奥へと流し込みながら、ブログを開いて動画を投稿したことを宣伝する。ついでなので動画内容のリクエストボックスを見ていくと結構貯まっていたので確認していく。


そこにはたくさんのゲームがリクエストされていた。国民的人気なゲームから、コアなファンをもつ古いゲーム、昨今では珍しくなったディスプレイ式2Dゲームなどいろいろだ。だがそれらの大半は多人数でやるオンラインゲームではなくオフラインゲームである。最後まで見てみたがこれといってピンとくるようなものもなかったので、もう面倒だからルーレットアプリを使用して次にするゲームを決めよう。


「どれになるかなぁ」


画面に映るルーレットがくるくると回りだす。やがて針が止まりそれが指し示したのは『Genesis Online』というゲームだった。……たしか一年ほど前にリリースされた『書物から飛び出した現実』『現実並のリアル』が標語のVRMMOだったかな。


検索してっと………内容としては剣と魔法のファンタジーな世界での自由な冒険だなぁ。ストーリーもちゃんとあるがそれを無視して寄り道し放題の自由度の高いものみたいだ。評価は結構高いみたいだな………でも人気作のためか品切れ状態で買うためには倍率千倍の抽選に当たらないといけないのか。


夏の抽選に当たらなかったら次の抽選は冬らしい。とりあえず抽選はしておく。結果は一ヶ月後に出るみたいだし、抽選が当たらなかった場合のことも考えてもう一度ルーレットをしておこう。


針が指したのは『Arcus heroibus versus』というゲームだった。聞いたことのないゲームだなぁ、と検索してみるとどうやら原作が漫画のヒーローとヴィランによる対戦格闘ゲームみたいである。とりあえず値段を見たがプレミア価格で結構なお値段がついていた。ちょっと手が出しづらいなぁ。


……まぁ、撮り溜めはたくさんあるし夏には新しいゲームも出るしそんなに急いで決めることでもないか。あ、モウコンナジカンダー、ハヤクシゴトイカナキャー。誰かに言い訳をするようにパソコンの電源を落として自室から退出した。









そんなこんなで早くも一ヶ月が経ってしまった。もう夏真っ盛りになってしまって外の蒸し暑い空気のなかでは蝉が高らかに歌っているし、太陽も燦々と輝いている。でもそんなことは関係がなく冷房がきいた部屋でゆったりとしている。文明の利器サイコー。


そんな涼しい部屋でテレビのニュースを見ながら寛いでいると、パソコンに一通のメールが届いた。メールを開いて本文を見る。………見事に抽選に受かったみたいだ。すぐに購入画面へと移り、買っておく。

その三日後無事に『Genesis Online』のソフトが配達によって届いた。

収入源は動画とブログでの広告収入とVRゲームのテスターによる収入

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