表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この異世界によろしく -機械の世界と魔法の世界の外交録-  作者: 漆沢刀也
【マスコミ炎上編】
80/279

記者会見の方針と対策

ごめんなさい。今回は短いです。

 会議は踊る。されど、話は纏まらず。

 異世界関連事案総合対策室は紛糾していた。何度、今はそれどころではないと言おうが、口を開けば責任問題が持ち上がってくる。その度に、議論がリセットされる。そんな状態だ。


 異世界からの訪問者に対する付き添いを止めるという話は、正直言って時期尚早だったというのは分かっている。だがそれでも、実際にどのような問題が出てくるのか? マスコミはどう動くのか? といったものを洗い出したかった。

 目論見と違ったことは、マスコミがここまで強硬な真似をしてきたことだ。もう少し、自重してくれるものだと期待していたが。それなら、こちらとしても色々と便宜を図る動きは出せたのだが。


 国民への説明は明日の昼。それ以上は流石に、引き延ばせそうにない。その見解が早々に統一出来ただけでも、まだマシだろう。

 とはいえ、明日の昼までには話を纏め上げなければならない。詳細を詰めていくにも時間は欲しい、そろそろ方向性くらいは決めておきたい。


 というわけで、まずは各自が自分の考えをまとめて、それを述べていこうということになった。考えを纏めるついでに、遅い昼食を摂るということで。

 時計の針は、既に午後の二時半を回っている。三時からは、また会議が再開だ。

 昼食から会議へと戻る。食堂で腕組みをするもの、窓の外を眺める者。様々な人間を見掛けた。そんな具合に他の参加者も各自の方法で案を纏めている。


 桝野は自席に座り、瞑目して天井を仰いだ。大きく深呼吸する。まずは少しでも、気分を落ち着かせたい。

 取りあえず、ここまでで異世界の警察官とマスコミの間で接触があったことは確認出来た。ファーストコンタクトの様子や白峰についての情報は、そこから漏れたようだ。

 月野や佐上女史については、まだイマイチよく分からない。だが、流れている情報を見るに、ネットか何かの噂を基にストーリーを組み立てて、それを前提に報道しているのではないか? そんな分析が出ている。


 アサと行動を共にすることで、二人も一緒にいる様子は一般人に見られているだろうし、外務省と中小企業が突然に関わるようになったとなれば、そこに変な邪推が浮かぶのもあり得る話だ。

 異世界の警察官と接触した女性記者については、既に身元も勤め先も判明している。白峰からの報告と一致しているので、まず間違いないだろう。


 だが「まあ、このタイミングだっただけ。まだマシか」というのが、桝野の考えだ。

 ここに至るまで、彼らの交流は成功だと言っていい。互いの国の元首間で親書をやり取りし、友好的な関係を築くための一定の成果を出している。やって来たことに間違いは無いと、アピールする有効な材料は用意出来るのだ。ならばまず、これを最大限使うことにする。


 マスコミの報道は期待出来ないが、国民に直接訴えることで、ある程度は理解を得られるはずだ。

 根も葉もない噂レベルの話については、きっぱりと否定する。その上で、疑惑を誘うような話は、そうではない根拠を説明すればいい。

 その上で、こちらの主張は要点を纏めてwikiにも載せる。今となっては、外務省のサイトで尤もアクセスがある記事はそこだ。そこから、情報が広まることも期待したい。異世界に強く興味を持つ層にとっては、強く訴えることが出来るはずだ。


 ちなみに、月野と佐上女史の関係については、念のため彼にも聞いてみたが。「有り得ません」との回答だった。もう少し、言い方ってものがあるだろうにと思ったが。

 「やはり、大雑把な方針としてはこんなところか」と、桝野は心の中で呟く。

 あとは、マスコミがどれだけの情報をどれだけの確度で握っているのか? それを探った上で、出方を決めるまでだ。

 桝野は瞑目したまま、小さく笑みを浮かべた。

 マスコミさんよ? 情報を分析して扱うのは、おたくらだけじゃねぇんだぜ? 国家権力を舐めんなよ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ