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この異世界によろしく -機械の世界と魔法の世界の外交録-  作者: 漆沢刀也
【マスコミ炎上編】
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白峰グルメ:異世界カレー日本風

嵐の前の日常回その1

 日本人って、カレー好きだよなあ。

 そんなことを考えながら、白峰はとある下町の通りを歩いていた。人通りは、それ程多くはない。

 今日は休日である。まあ、暦の上では平日なのだが。

 それで、折角だからお昼ご飯はちょっと外出して「異世界カレー」を食べてみようと思った。


 よく知られていることだが、カレーは元々はインド料理で、それがイギリスを経由して明治時代に日本に伝わってきた。それが、日本人の口に合うように色々と工夫が凝らされ、今ではすっかり人気料理である。

 こんな具合に、海外から伝わり、形を変えて取り入れてきたものが、日本には沢山有る。


 だから、前々から、ちょっと興味はあったのだ。果たして「異世界カレー」は、今はこの国でどんな料理になっているのだろうかと。

 まさか実物を持って帰ることは出来ないから、仕方なく「カレーの様な料理」だと報告したのだが。

そのイメージが先行したというのもあるのかもだが。いつの間にやらあちこちの店で、乏しい情報を元に、異世界カレーを再現しようと。そんな試みが行われているようだった。


 白峰は立ち止まって、ショルダーバッグから雑誌を取り出す。昨日の晩、仕事帰りに立ち寄ったコンビニで購入したものだ。政治、経済、芸能、スポーツと幅広く扱っている雑誌なのだが。表紙の「美味しい異世界カレーのお店特集」の文字が目を引いた。

 パラパラとページをめくって、目当ての店の地図と店構えの写真を確認する。どうやら、この先三つほどの路地を越えて左に曲がったところで、間違いないようだった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 「異世界カレーやってます」の張り紙がされた扉を開け。白峰は店内に入った。

「いらっしゃい」

 ランチタイムを少し過ぎた時間に来店したので、店はそれほど混雑はしていなかった。

 無言のまま、白峰は適当なカウンター席へと腰掛けた。

 メニューを確認する。目的の品は決まっているのだが、念のため。


「何にしますか?」

「異世界カレーをお願いします」

「はい。少々お待ちを」

 軽く頬杖をついて、店内を見渡す。内装は特に、変わった様子も無い。インド国旗をイメージさせるような色使いの壁紙。そして、シンプルな木の机と椅子が並んでいる。


 雑誌には、ここの店主はカレー一筋30年だとか書いてあった。スパイスの混合比は長年の研究の結晶であり、これは決して明かせないと答えていた。特別に教えるのなら、5つの盲点を突く香辛料が含まれている、とも。

 正直言って、その香辛料が何かを当てられる気はしないので、白峰はそれを深く追求する気は無いのだが。それでも、それだけスパイスの研究してきたという人が、どんな風に異世界カレーを作るのかは興味がある。


「お待ち遠様」

 白峰の前に、カレースープとパンが置かれた。結構、見た目はそれらしい感じになっているなあと思った。

 ブロック状に切られたパンを箸で摘まみ、カレースープに浸す。パンはスポンジのように柔らかく、またよくスープを吸った。雑誌によると、このパンも近所のパン屋による研究の成果らしい。

 ほどよくパンがスープを吸ったところで、白峰はそれを口に運んだ。熱くて辛いスープがパンから染みだしてくる。それがまた、甘みのあるパンと巧く纏まっていた。


 「ああ、なるほどこうなるのか」と白峰は頷いた。

 実を言うと、白峰の知っている、実物の異世界カレーとは少し味が違う。報告もしたが、異世界の方は個々の香辛料が、ある意味で尖り、自己主張が強い。それに対し、このカレーはまさしくスパイスが「纏まっている」「一体化している」といった感じだ。

 そして、当然使う香辛料も違うのだから、風味も色々と違う。

 だけど、これはこれで悪くないような気がした。


 こんなカレーを異世界の人達が食べたら、どんな感想を持つのだろう? それが気になった。

 あと、つい先日には「異世界ラーメン」を紹介したのだが。

 そっちも、またしばらくしたら特集が組まれそうだから、こんな風に挑戦してみよう。

書いてしまって悩むんですが。

異世界ラーメンって、どんななんでしょう?(汗)


そういや、日本のラーメンも結構世界に広まっているらしいですが。

つくづく強いな、日本の魔改造能力。

次回も日常回です。ちょっと短めなので、平日に投稿の予定です。その次から、本筋に戻ります。

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