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異世界間における現状の認識と今後についての意見交換

ようやく、白峰とアサがまともに会話するの巻。

 白峰晃太と話がしたい。

 アサ=キィリンからはそう、名指しされた。

 話す内容については、既に聞いている。お互いに銃と魔法についてお披露目をした。その上で、どのようにお付き合いをするべきかといった話だ。

 だったら、自分なんぞと話し合うよりも、外務省にアサに来て貰って、その上でより責任のある立場の人間と話をして貰った方がいいように思うのだが。


 しかし、自分達の世界に対し、より直接的に馴染みのある人間の方が、率直な意見交換がしやすいという気持ちも分かる。そしてその上で、アサ個人としても、色々と話をしてみたいという事だった。これもまた、同じ屋敷の人間が付き合っている相手がどのような人間なのか、その目で直接見極めたいという気持ちも分かる。

 なので、白峰はアサが待つお屋敷へと向かった。


 通されたのは、これまでにも会談で使わせて貰った、豪奢な造りの部屋だ。ミィレに聞いたところ、ここは『星群の間』と呼ばれているそうだった。

 星群の間にはアサがいた。席には座らず、扉の前に立って待っていた。そして、傍らにはティケアが控えている。

 彼女は両手を広げた。


「ようこそ、シラミネ=コウタ。私は アサ=キィリン です」

「こちらこそ、お招き頂き幸いです。白峰晃太と申します」

「いつも 朝 少し会って いる。しかし 普通に話を するの、初めてですね。前から あなたと、話をしたい 思ったです」

「自分もです」

 白峰は笑みを浮かべて頷いた。

 その言葉に偽りは無い。ティケアやミィレ達から、アサについては多少は聞いているのだが、実際のところはどうなのかというのは、白峰にとっても興味があった。


「こちらへ」

 アサに促される形で、白峰は席に着いた。アサもまた、白峰の正面へと着席した。そして、ミィレは側面の席に着席した。紙とペンを用意している。彼女はこの会談での記録係だろう。

 白峰は翻訳機を用意した。

「ティケア 説明 した 聞いた。私、アサ=キィリンが この家の 人間 です。この 場所の 貴族。そして、大使 違う。外交する 人 なったばかり です。この 話 正式 会談 違う」

「はい、分かっています」

 白峰は頷いた。


「自分も、大使ではありません。ここでの話の判断は、持ち帰って上が決定します」

「私達 同じ」

 アサもまた頷く。ここでの判断を彼女一人が下すことは出来ない。だから、一旦は王都に連絡してその判断次第ということになる。

「それと、その上でこちらも記録を取らせて貰います。あなた達を疑っているわけではなく、正しく情報を持ち帰るためです」


「何?」

 アサは白峰が取り出したICレコーダーを指さした。

「音を記録する機械です」

 実際に操作してみせる。録音と再生。その様子に、彼女達は理解を示してくれた。

「分かりました」

 あっさりと許可したことに、白峰は確信する。ここでの会話に一切の虚偽をするつもりが無いということだ。外交においては信用を失うことが、何よりも痛手である。軍事、防衛に関わる話になるが、それでもブラフをかますつもりは無い。

 そしてそれは、白峰もまた同様である。


「本題 行く 前に 日本に 感謝します。私 正しい 大使 違う。けれど 天皇 会う した。大きく 感謝。王 街へ よく 伝えた。日本 信頼 私達 応えます」

「嬉しく思います。上に伝えさせて頂きます。日本も、あの会談であなた達を信用出来る相手だと感じています」

 やはり、あのご引見の意味は大きかったようだ。王都への報告にも悪くは伝えていないと、確認が取れた意味は大きい。

「では、本題 話す しよう」

「そうですね」

 僅かに、アサの目が細められた。一瞬だが、針のように、こちらの目の奥へと視線が突き刺さったような気がする。


「私達 銃は 強い 武器 考える です。しかし、私達 守る 力 上 です」

 はっきりと、彼女はそう言ってきた。銃に対して守る対抗策は用意していると。

「同じ。日本 魔法 から 守る 力 ある です。私達 考える。シラミネ=コウタ? 日本 考え 話す 欲しい」

 それが彼女達の本来の読みなのか、それとも、仮に日本に十分な防衛力が無くても「あると思える」と言わせるブラフの余地を残したのか? そこの判断は付かないが、対策室から伝えられた、予想通りの言葉であった。

 なので、白峰も想定通りの回答を返した。


「はい。私達も同じ考えです。守る力はありますが、攻め込んでも勝利は得られません。また、その意味がありません」

「意味 無い。私達 同じ 考える」

 であれば、お互いに思いは同じであると考えてよさそうだ。

「市民に緊張が蔓延しているのは、よくないことだとも考えています。これは、日本とあなた達の街、両方での話ですが」

「私達 同じ 考える」

 アサは頷いた。


「お互いに、ゲート周辺からの、遠距離攻撃可能な武器の解除をした方がよい。そういう考えはありますか?」

「肯定 です」

 にぱっ、とアサは笑みを浮かべた。

前回にアサがちょろっと話した展開とは違うようですが、そこは後でエピソードとして説明入れるつもりです。

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