表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/279

銃と魔法のお披露目

装備についてのお披露目会

 秋葉原の天候は晴れ。というか、もの凄く暑い。

 7月も半ばをとうに過ぎて、真夏日である。

 その一方で、異世界の方は季節がこちらとズレているのか、あるいは温和な地域なのか分からないが、まだ涼しさを感じる。

 異世界からゲートを通して、白峰は秋葉原を見た。アサ=キィリンは暑さに辟易した顔を浮かべている。然もありなん。


 道路に沿って、いくつもの土嚢が積み上げられている。有島や桜野に聞くと、昨晩からこれらを用意していたそうだ。

 土嚢は幅が奥行きを考えると、だいたい小型トラックのコンテナ部分くらいかもしれない。

 積み上げられた土嚢の前には、鉄板が置かれていた。この鉄板が、銃に対する的だ。

 土嚢と鉄板のサンプルは、異世界の見学者達にも、既に見て貰っている。

 ゲートは人一人が通れる程度の高さと幅のため、視界は狭い。なので、一度に大人数で銃の発砲と着弾を見ることは出来ない。そのため、複数回に分けてその様子を見て貰うことになった。


 まずは、ルテシアの市長とサラガ、そして他数名がゲートの前に立つ。その視線の先は土嚢と的だ。白峰は彼らの邪魔にならないように、彼らの傍らに立った。

 的の約10メートルほど前のところで、桜野が銃を構えた。

 銃はH&K MP5。対テロ用などに使用される機関拳銃だそうだ。

 耳を貫くような、大きな破裂音が響いた。音が鳴ったのは、1秒足らずと言ったところか。

 しかし、鉄板にはいくつもの大きな穴が空いていた。


 白峰は、サイとサラガの表情を見た。

 その表情は、硬い。しかし、そこには恐怖よりも、冷静に値踏みをし理解をしようという真剣さの方が勝っている。少なくとも、白峰にはそう見えた。

 悪くない傾向だと、白峰は思った。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 異世界の人間達が納得するまで、何度も銃の発射は行われた。

 放水車による放水は、その場で準備をするのが少し時間が掛かるため。数回程度だった。

 機関拳銃用のものとはまた離れたところに、その度に何層か、簡単に土嚢を積み上げた。それに放水する度、土嚢は簡単に吹き飛んだ。

 こちらの機動隊の装備に続いて、今度は異世界側のお披露目となる。


 こちら側でも、道を塞ぐ形で土嚢が積み上げられている。秋葉原の方と同じく、昨晩から準備したという話だった。

 ただし、こちらには的は無い。

 白峰はカメラを構えた。

『許可 疑問』

 サラガの問い掛けが翻訳される。白峰は、ゲートの向こう側にいる有島や桜野の様子をちらりと確認し、頷いた。


 サラガもまた頷き、土嚢の前に錫杖を向けた。

『撃て』

 その刹那、錫杖の先に幾何学的文様と光弾が生まれ、発射された光弾が土嚢へと突き刺さる。そして、土嚢がボロボロと弾け飛んだ。

 大口径で散弾銃を撃ったかのような威力だった。

 こちらが見せた機関拳銃もそうだが、こちらの魔法も大概とんでもない威力をしているものだと白峰は思った。仮に、人間が被弾したら即死してもおかしくない。横目で有島と桜野の様子を見る。

 彼女らも、サイやサラガ達と同様に、真剣な表情を浮かべていた。特に、有島の視線は鋭い。恐らく、今の彼女は目の前の出来事を徹底的に覚え、そして情報を整理しているのだろう。


 次は、土嚢の前に人が立った。サラガの部下だ。

『開け』

 その言葉とともに、今度は男の前に光り輝く壁が展開された。見た目はそれこそ、アニメで出てくるバリアである。マジか。と、白峰は呻いた。

『次 やる』

 サラガは再び、錫杖を構えた。錫杖の先には、壁を展開した男がいる。

 『撃て』の声と共に、再び光弾が発射された。しかし、今度は壁に阻まれた。壁に波紋が浮かび上がり、そして消える。つまり、この壁はこのような攻撃魔法も防ぐことが出来ると。


『次』

 今度は、男はサラガの近くへとやってきた。そして、彼らの前に壁を展開する。

 壁を挟んで、サラガは土嚢へと錫杖を向けた。

 サラガの『撃て』の声で、土嚢がまたも弾け飛ぶ。つまり、壁を楯にしたまま、その裏から直接攻撃が出来るということか。こちらの常識では真似が出来ない攻防一体のやり方である。


 白峰はアサに視線を向けた。相変わらず、暑さに参ったような顔を浮かべているが、その口元は微かに笑っているようにも見えた。

 ここまで手の内を見せたという意味を理解しろ。そのように、言っている? 概ね、気のせいなのだろうが、そんな風に思えた。

 だから白峰もまた、意味ありげに笑ってみせた。

今回で、作中季節を7月と設定しました。いい加減、季節感出さないとと。

海外研修を終えたなら、多分このくらいの季節になるはず。

これまでのエピソードについては、これで問題無さそうだったら、季節関連の話を追加修正しようかと考えています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ