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ゲノム解析結果と可能性

また凄いのにお久しぶりの登場の桝野局長。

お忘れの方も多いでしょうけど、外務省の偉い人です。

 異世界の記者達が日本に移り住むようになって、10日ほどが過ぎた。事前にこちらでの生活について周知していたこともあるのか、大きな混乱は起きていないようだ。

 スマホの基本的な使い方を初めとして、彼らへのフォロー体制も整えた成果が出ていると思いたい。


 一つ、懸念事項が片付いて、少しだけ肩の荷が下りたとは言えるのだが。しかし、執務室の中で、桝野は大きく溜息を吐いた。

 机の上には、海外の新聞を印刷したものが広げられている。

 これを良い知らせと判断するか、それとも悪い知らせと判断するか。それが悩みどころだ。つくづく、問題は次から次へと起きる。


 記者達のサンプルを各国に提供したのだが。とある国の研究所から、ゲノム解析結果の一部が漏れた。

 真偽不明の扱いではあるが、匿名の掲示板に書き込みがあった。それが、功名心に負けた研究者個人によるものか、はたまたその国の指示によるものかは不明だが。


 どっちにしろ、そんなことは起きないように、発表は結果が揃ってから共同で行うというのが約束だったはずだ。それが、破られた。無論、問い合わせはしたし、「調査する」との回答は返ってきたが。そのまま有耶無耶にされる可能性が高いと見ている。あの国は、その強大な国力で以て、自国ファーストの力押し外交を行う国だから。


 今回もまた、有り余る高性能シーケンサーを使い倒して、耳目を集める研究成果をいち早く得ようとしたのだろう。そして、偉大なる自国を世界にアピールした。その方が、自国の利益になると判断した。批判は、これまで通りに押し潰せばよいわけで。それがまかり通る力を持っているわけで。

 その国のメディアは、限りなく確定に近い事実として大々的に報道している。そして、それを後追いして各国のメディアも伝えている。

 そんなわけで、今では世界中がこの結果に湧いている。


 地球上の人類と異世界の人類。両者の性染色体にほぼ違いは無い。明確に違いはあるのだが、異世界の人達のゲノム配列は地球上のどこの人種のものとも一致はしていない。そして、人種間程度にしか差が無い。

 つまりは、両者にこれまでのまったくの交雑が無かったにも拘わらず、それでいてお互いの子供を作れる可能性が極めて高いという結果になったということだ。


 念のため、日本の研究所にも問い合わせはしてみたが、解析は完了していないものの、同様の結論には至りそうとの答えが返ってきた。

 それもあり、某国が漏洩した情報は恐らく事実だろう。

 いくら解析する染色体を絞ったとしても、流石に速すぎだろうと思ったが。


 この結果から、お互いを同じ人類として認識し易くなった。同じ人類としての保証が得られ、差別問題がより深刻なものになる可能性が低くなったと考えられる。そういう意味では朗報と言えるかも知れない。

 だが、この情報を元に、各国がどのように足並みを揃えていくのかは別問題だ。無用の疑心も国家間で生まれた。意図がどうであれ、彼の国は余計なことをしてくれたというのが、桝野の正直な思いだった。


 ひょっとしたらの話だが。以前に、血液型について確認したときの話を根に持たれていたのかも知れない。こうならないように、国家間共同の組織を立ち上げようとしているのだが。

 また異世界側にも、この一件、足並みが揃っていないと判断されないかが気掛かりだ。

 それに、いざ両者に子供が作れる可能性が出てきたとなれば、お互いの付き合い方、意識にも変化が出ることだろう。いずれ、結婚を見据えて、などと考える輩が出てきても不思議では無い。


 こうなってくると、実際に? 何というか、出来ちゃったときの備えも考えておかなければならないだろう。

「前もってこれも、話し合っておいた方がいいか」

 月野達に、どう指示を与えようかと桝野は虚空を見上げた。

ごめんなさい。また短くて。

区切りの良いところを探すと、どうしてもこんな具合に細切れに。orz

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