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ミィレの望み

明けましておめでとうございます(遅っ)。

本年も「この異世界に」をよろしくお願い致します。

 深夜。ぼんやりと、ベッドの中でミィレは溜息を吐く。今日の仕事も勉強も、やるべき事はすべて終えて、後は寝るだけだ。しかし、妙に色々と頭が休まらない。何度も、同じ事を考えてしまう。

 結論は出ている。結構なことじゃないかと。


 先日に話をしたクムハによると、シラミネとカイドウの仲が、かなり親密な様子を見た人間がいるそうだ。

 別に、部屋に上がったとか、そういう真似はしていないそうだが。

 それだけ聞いて、ミィレはそれ以上は根掘り葉掘りは聞かなかった。何でも、クムハによると、シラミネと自分の間に変な噂が立っているという話である。なので、しつこく食い下がって、まるで噂通りの感情を自分が抱いているかのような印象は与えたくなかった。

 クムハは「あくまでも、ひょっとしたら位の話だから」と念を押してきた話だが。


 ただまあ、シラミネが誰を好きだろうと、誰に好かれようと。自分の人生には関係が無い。

 もしもシラミネとカイドウがそういう間柄だというのなら、二人を知るものとして喜ばしい。ああいういい人には、幸せになって欲しいものだ。


 それに、自分とシラミネとの間にある変な噂も消えてくれるわけでもある。

 だから、「結構なこと」なのだ。そのはずだ。


 うんうんと、確認するようにミィレは頷く。

 あとこれは、彼に対して失礼な仮定ではあるが。もしも、彼が自分に対して特別な感情を抱いたとしても、自分は決してその想いに応えることは出来ない。むしろ、困る。


 世界の壁だとか、種の壁だとか、そういう話もあるが。それ以前に、自分の人生はすべてアサの為に使うと決めている。この決意に、誰かを割り込ませるつもりは無い。

 シラミネには、絶対に自分以外の誰かと幸せを掴んで欲しい。そう、願う。


 少し、ミィレの胸が痛んだ。

 クムハには「誰かを好きになったときは、相談して欲しい」と言われたが、そんな日は永遠に来ないのだ。気持ちは嬉しいのだけれど。

 となると、自分がやるべき事は自然と定まってくる。

 それ即ち、シラミネの恋を応援すること。


 では、そのためにはまず、何からすべきか?

 クムハが言っていた通り、この情報はまだ信憑性は不確かだ。これも、ひょっとしたらレベルの話だが、シラミネにはカイドウと出会う以前に意中の人がいたかも知れない訳で。また、カイドウが言っていた「今は仕事が恋人」「白峰をそういう対象としては見れない」という話とも矛盾する。


 そこら辺の真偽をきちんと確かめないといけない。前提が間違っていたら、事態は面倒くさいことにしかならない。

 そこを上手く探る方法が無いものかと思案するが。さっぱり、思い浮かばない。こういうとき、その手の経験がろくに無いことは、自分の弱点だと思う。

 それこそ、クムハに相談してみるというのも手かもだが。それはそれで、邪推されそうな気もしてしまう。


 大きく、ミィレは溜息を吐いた。

 何をこんなことを大真面目に、何度も考えているのだろうかと。

 さっきも自分に言い聞かせた話だが、シラミネが誰と付き合おうと、自分の人生には関係が無いのだ。そこまで深入りする必要は、無い。


 まあ、それでも、ここまで考えてしまう理由は分かっている。

 別にこれは断じて、彼を意識しているとかそういう訳ではない。そう、自己分析をした上での話だ。何というか? うら若き女性としての興味というか? 彼を幸せに出来るような相手かどうか、友人として気になるというか? そういう感情な訳であって。クムハが自分に対する想いと同じものなのだと。ちゃんと、理解している。


「私、何やってるんだろ」

 ぐるぐると同じ考えを行ったり来たり、論点もあっちこっちにふらふらと揺れ動いて。考えはさっぱり纏まらない。答えが出ないままに、ただ頭が疲れていく。


 ミィレはベッドから抜け出す。

 どうやら今夜も、安眠薬と「眠くなる本」が必要になりそうだ。

はよ、魔法関連のネタ書きたい。

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